食材たちは年末年始どう過ごしたの?生産者さんに聞いてみた

こんにちは、編集部インターンのカネザワです。

年が明けしばらくたちました。生活のペースももとに戻り、今年もあと11ヶ月がんばるぞと意気込んでいる方には申し訳ないのですが、ちょっと思い出していただきたい。

みなさまは年末年始、何をして過ごしていましたか?

実家に帰省し、お年玉を貰いorあげ、正月番組を眺めていませんでしたか? もちろん、年末年始の間も働かれていた方はいらっしゃったと思いますが、普段とは違う時間の流れを感じませんでしたか?

そう、年末年始とは1年の中で最も時間の流れがゆっくりになる期間。多くの方が仕事や学校などの現実を忘れることのできる非現実な時間。


そこでふと思ったんです。僕たちがノホホンとしている年末年始、「食材たち」は一体何をして過ごしているのか。

人間と同じようにだらけているのか、凧上げてコマを回しているのか。それとも人間がいないのをいいことにに暴れ回っているのか……。気になりませんか……? 僕はすごく気になります。

その実態を知っているのは、生産者さん! 生産者さんなら、きっと食材たちの年末年始の様子も知っているはず!

今回は、生産者さんに教えてもらった食材たちの年末年始の様子を、僕カネザワがイラストでお伝えします。

食材たちがあんなことやこんなことを……


 

目次

 
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「寒い、とにかく寒い、無理」~野菜編~

この時期は鍋の具材として大活躍の野菜たち。僕たちの前ではグツグツと煮えわたる鍋の中で踊っている彼らですが、年末年始は何をしていたのでしょうか?

野菜セットが大人気、長野県の五味さんに聞いてみました。


ー カネザワの想像 ー

まずは僕の想像から。きっとこんな感じだろうとおもう。

あたたかい。外寒い。ずっとこうしていたい……

ああ!お野菜がダメになっている!!

ー 五味さんが教えてくれた現実 ー


年末年始、農家さんがお休みしている間に野菜たちが寒すぎて風邪をひいたら困ると思うんですけど、野菜も人間のように暖かく過ごさせているんですか?

してないですよー。年末年始の時期、五味農園では毎日氷点下となり雪になることもよくあるんです。気温は寒いときで-16℃~-20℃です。めっちゃ寒いです

氷点下に雪……

現在出品中のサラダ野菜たちはハウス内で育てていますが、ハウスも暖房設備はなく、夕方16時から翌朝10時すぎ頃まではハウス内とはいえかなり冷え込みます。ビニールは二重になっていて、野菜の畝(うね)に合わせて更にトンネルをかけて寒さから野菜を守っているんです。日中、太陽が出ている時には二重カーテンを開け太陽が直接野菜に届くようにし、扉を開けてよく換気します

ほんとにしんどい

そんな環境で野菜たちは元気に過ごせるんですか?

野菜は寒い時間帯にはしんなりと萎れていますが、日を浴びることによりシャキッと元気な状態に回復するんですよ! 寒い冬の時期は成長は遅いですが、その分、甘さや旨みがぎゅっと詰まって美味しくなります。野菜が寒さから自分を守ろうと頑張る、その生命力によって美味しくなるのだと思っています。色も冬の時期のほうが、赤や緑やそれぞれの色が鮮やかに映えます


私たちが家でぬくぬくしているとき、野菜たちは寒さに耐えながら成長しているんですね……。

*現在、五味さんは収穫量が少ないため一時的に新規受付をストップしています。畑の状況が整い次第、順次出品されるとのことです。

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「シーズン中は躍る暇もないよ!」~いちご編~

体調を崩さないためにも、ビタミンは大事! 冬の果物も美味しいですよね。冬の果物と言えばいちご。お答え頂いたのは静岡県の川島さんです。


ー カネザワの想像 ー


年末年始は人がいないので夜通し踊り狂ってますね、はい

やんちゃな色してるとは思っていたが……

ー 川島さんが教えてくれた現実 ー


真っ赤に輝くいちごは年末年始も元気に踊っていそう。正月を祝って普段とは違う過ごし方をしていたりするんですか?

こんにちは、川島です。そうですね、年末年始だからといって特別変わったことはないですよ。通常通りです。晴天が続き、気温も低く、イチゴがゆっくり熟すので甘くなります。今年は30日に2件、1日に2件、3日に3件発送しました

通常通り……? ということは川島さんも通常通り働かれていたんですか?

はい、毎日ハウスの換気をしなければならないので、シーズン中は家を空けることができません

今がシーズン、休みなんてないのさ!

私の住む地域のお正月は久能山東照宮の初詣のお客様で賑わうので、イチゴ狩りも元旦からやってます


勝手にイチゴが踊り狂ってる姿を想像した自分を許してください。冬季がシーズンのイチゴに年末年始のお休みなんてないんですね……。ましてや生産者さんにも。

まだまだ続くイチゴシーズン、噛みしめていただきたいと思いました。

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「天然の冷蔵庫でおやすみなさい」~みかん編~

続いて、冬の果物代表その2。温州みかんです。和歌山県の松坂さんに聞いてみました!


ー カネザワの想像 ー


やっぱり年末年始は断捨離だよねー、この服どうしよう

え、皮、服、え?

ー 松坂さんが教えてくれた現実 ー


自己管理ができるみかんだったら手間がかからなそう……。実際はどうなんですか松坂さん!

年末年始、みかんは倉庫や蔵などの「天然の冷蔵庫」保存されています

え、収穫してすぐ出荷じゃないんですか?

品種や農家のこだわりにもよりますが、基本的に12月中に収穫され、貯蔵で味を良くしてから出荷されます。まつさか農園でも特別な栽培をしている園地以外は全て12/20には収穫を終えます。酸をしっかり下げた状態で収穫したみかんは少し酸が抜けすぎてふんわりした味になる事もあります。酸が強い状態で収穫したみかんは味にコクが出て美味しくなります

味が良くなるまで寝るのだ

収穫が終わったみかんの樹は、年末年始どう過ごしているんですか?

みかんの樹は収穫を終えると根の動きを止め、休眠状態に入ります。その間に私たち農家は薄めの液肥(※液体状の肥料のこと)を与えて疲れたみかんのケアをします。しかし、あまりにも寒い時に液肥をやってしまうと逆にみかんを傷めてしまうので、気温を気にしながらのケアになります


みかんは収穫したてが最もおいしいんだとばかり思っていました。農家さんはみかんの味の変化を計算して出荷しているんですねえ。

みかんさん、皮は断捨離しちゃだめですよ?

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「子孫繁栄!休んでいる暇など無い!」~タラ編~

海の中の出来事って、普通に生活していたらわからないことだらけですよね。ましてや年末年始に魚介たちが何をしているかなんて……。

秋田県の山本さんは、真鱈の年末年始について教えてくれました!


ー カネザワの想像 ー


あ〜だめだ、なんんんんにもしたくないわ。動けない。あーー

気持ちはわかる。すごくわかる

ー 山本さんが教えてくれた現実 ー


お腹が膨らむ?どういうことですか山本さん!

真鱈は水温が低下する12月には、産卵を控え水深約300mのところに集まり始めます。これが年末年始を迎えるあたりに急激におなかを成長させながら慌ただしく移動するんです。1月中旬になると、大きな群れを形成し沿岸を目指し始める。水深300メートルから200メートルに移動し、白子、鱈子ともにパンパンに膨れ上がります

ほんとにパンパン

白子に鱈子…大好きです!

白子(だだみ)はクリーミーな味わいに成長し、鱈子も粒が大きくなり旬を迎えます。日本海北部のタラ漁は12月下旬〜2月中旬まで最盛期を迎えますが、最も美味とされる200メートル付近に集まるのは1月下旬〜2月上旬となります


鱈たちが子孫繁栄のため、お腹を膨らませながら苦労して沿岸に集まってくる、身も白子も鱈子も、命の重みを感じます。

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「冷たい海水温、住みよい」~牡蠣編~

続いて、冬の海の旬の代表格。牡蠣です! 三重県の中村さんが教えてくれました。


ー カネザワの想像 ー


早めの引っ越し、いい物件探しへGO

計画的な年末年始だなあ

ー 中村さんが教えてくれた現実 ー


大きい牡蠣が食べたい! 今が旬の牡蠣の秘密、きっと年末年始に何かがあったのでは!?中村さん

牡蠣は引っ越さないですよ!! ふふ、今年の牡蠣はですね、12月20日頃からやっと大きくなり、年末にかけてグンッと良い身になっていきましたよ

年末にかけてグンと成長……、なにが牡蠣の成長に影響を与えているんでしょうか

牡蠣は海水の温度が低いほど成長します。今シーズンは海水温がなかなか下がらず困っていましたが、年末にかけてようやく下がりだし、牡蠣の成長期がやって来ました

冷たい海水だ〜い好き


成長が海水温の変化に影響される牡蠣。年末年始は漁師さんも目が離せない時期なのですね。

ここ数年は、海水温が高いままの日が年々増えているそうで、中村さんは牡蠣の成長が遅くなっていくことを心配していました。自然を相手にする厳しさは、家にいるだけではわからないことだらけです。

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「フリーランスは辛いよ」~イノシシ編~

ジビエ肉、最近その美味しさに気付いた方、多いのではないでしょうか。でも、狩猟鳥獣たちがどのような年末年始を過ごしているかか想像できる人は少ないのではないでしょうか?

おいしいイノシシ肉を届けてくれる、静岡県の錦織さんに聞いてみました!


ー カネザワの想像 ー


フリーランスなんで自己ブランディング、ブログの更新をしてましたねえ

真面目な一面を垣間見た気がする

ー 錦織さんが教えてくれた現実 ー


さすがのイノシシも冬は大人しいんじゃあ……あれ

猪は冬眠しないので他の季節と特に変わりませんよ! ただし雄は発情期なので雌を探して駆け回っています

冬の期間はなにを食べているんですか?

猪は雑食性ですが、この時期一番好んで食べるのはタケノコだと思います。まだ土の中に埋まっている小さいタケノコを食べてます。山に餌が少なくなると里に降りて田畑を荒らします。この界隈はみかん畑が多いので、餌に困ってみかんを食べに来ると言った方が良いかもしれません

みかんを食べるイノシシ……、餌によって肉質などはかわるんですか?

かわると思いますが、そこは野生なので分かりません。ただ、ドングリを食べた猪の脂はナッツの香りがするとかしないとか。私たちは初冬に獲れた猪をイベリコシシと呼んでます(笑)。冬を越すためや、その後の出産のために脂を蓄えているのでおいしいですよ

Let's猛進


田畑を荒らすため「害獣」と言われているイノシシですが、彼らも冬を越すために一生懸命生きているんですね……。そのハングリーな精神を私も見習いたいです。

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食材たちに年末年始などない

人間がノホホンとしている年末年始の間にも、食材たちは成長し、ときには雪などにも耐え、必死になって生きていました。

そんな彼らには、そもそも年末年始なんてなかったんです。年が明けようが明けまいが、毎日を生きていることに変わりは無いのですから。


これから旬を迎える食材たちは、いずれ私たちの胃に入るかもしれません。

──感謝。

食材たちに感謝することをわすれてはいけないんだ。そしてお気づきでしょうか。そう、生産者さんにも感謝しなければ。自然を相手にしている分、計画的な年末年始などないのだから……。


私たちが年末年始を有意義に過ごせたのは、食材たちと生産者さんのおかげ!! ありがとうございます。そして、改めて今年も、これからも宜しくお願い致します。

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文=金澤善空

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