平成の百姓一揆イベントレポ④ 本当の一揆はこっちだった。編集部が目撃した小さな「ごにょ」たち。

\この記事は4本立てでお届けしています/

  1. 高橋博之が語る「ポケマル国」とは?
  2. 高森さん茶太郎さん、いらっしゃ〜い
  3. 五味さん八幡さん、いらっしゃ〜い
  4. 本当の一揆はこっちだった。編集部が目撃した小さな「ごにょ」たち。(この記事)

千秋楽で有終の美を飾ったラスト百姓一揆。高橋博之の演説に始まり、作り手×食べ手のトークショー「○○さんいらっしゃい!」、さらに作り手一人ひとりが語らうイベントにリアルマルシェ。2周年を迎えたポケマルの新たな出航として、大きな節目のイベントとなりました。


……な〜んて、堅苦しい話は一旦置いておいて!

ポケマル編集部がお伝えしたいのは舞台裏

みなさん、一揆ステージ上だけで起きていたんじゃないんです! 会場内の至る所で、作り手と食べ手のみならず作り手同士の交流も同時多発的に発生していました。

その様子をポケマル編集部取材班は見逃しませんでした。国王には言ってませんが、「これこそが、本当の一揆なんじゃないかい?」とひそかに思っています。


「食べること」を通じて生み出された「ごにょ」という繋がり。ひとつひとつは小さな「ごにょ」でも、それが集まれば大きな「ごにょごにょ」になるのです。

それでは、ご覧いただきましょう。会場に訪れた1人ひとりが生み出した、小さなごにょたちの結集を。

 

目次

 
     ここに目次が表示されます。    

一揆を裏で支えた者たち

2019年2月23日12時、渋谷ヒカリエBホール。


入り口付近には受付テーブルが並び、オレンジのバンダナを身に付けたスタッフが控えていました。

スタッフ勢揃いでお出迎えをしました


中に足を踏み入れると、壁一面に大きなパネルがずらり。おや、これは全てポケマルの生産者さんのプロフィールじゃありませんか。

あれ、彼はポケマルのミスター固定種として有名な!

あ、知っている面々、知っているぞ……


スタッフ控え室に入ると、普段着姿の漁師・高森さんの姿がありました。

関連記事:平成の百姓一揆イベントレポ②高森さん茶太郎さんいらっしゃ〜い


満を持して、本一揆の首謀者でありながらポケマル国の自称国王、高橋博之が現れました。

公演直前の博之氏。これは不敵な笑み……なのか?


そして、予定時刻より少し遅れて、超満員の300人を迎えイベントがスタート。

司会はスペイン人グロースハッカーのタオさん。「Hello, everyone!」の第一声に会場の皆さんがぽかんとされていたように感じたのは気のせいだと思います


国王と作り手と食べ手の面々がホールの中で闘志を燃やしていたその頃……ホールの外では運営スタッフたちが東奔西走していました。

インカムを聞きながら会場内を走るスタッフ・細越

ポケマルおやつを高速で作るポケマル生産者さん担当の中山

緊迫した面持ちで芋煮の鍋を運ぶポケマル食べ手のなべひろさん(左)とテリーさん(右)


開始より1時間半後、とうとうそのときはやってきました。第一部が終了し、参加者全員が外のブースに姿を現します。

腹が減っては戦はできぬ。カラフルなおやつたちも準備完了!


これより始まったのが真の一揆。編集部員は予測不可能な交流を観測すべく、ごにょごにょ・ポケマルワールドへ乗り出したのです。

それぞれ独特な世界観で「いらっしゃい」と誘います


全国の作り手さん大集合!

まずはいらっしゃった作り手さんを捕まえてお話をお伺いしてみましょう。あれ、あれはもしや……

相馬の革命児・菊地さん


ミルキーエッグじゃないですか!  ということはここは菊地さんのブースですね。菊池さんと言えば、2月に放送されたカンブリア宮殿で紹介されたこともあり、一躍時の人となりました。忙しい中、いらっしゃってくださったんですね。とても嬉しいです。

談笑する農家の菊地さん(左)と日本食べる通信リーグの工藤さん(右)


――菊地さん、こんにちは。今日は来てくださってありがとうございます!

百姓一揆では直接食べ手のみなさんに会えるので、今日は直接お礼を言いに来ました


――そんなそんな嬉しいです。

いやぁ、高橋さんの話を聞いて、農業をはじめた頃の「農業という一つの手段を使って、何かをやりたい」という気持ちを思い出しました。改めて頑張らないと、と思いましたね


――何とも心強いお言葉です。

地元では若い農家さんの元気がないんです。だからこそ、まずは自分が目立っていきたい。そこから元気の輪を少しずつ広げて、農業を盛り上げていきたいですね


みかん調査に情熱を燃やすみかん農家・松坂さん

ふと視線を移すと、あっあれは! 有田みかんの松坂さんじゃあないですか。

松坂さんといえば、ポケマル編集部においしいみかんの選び方を教えてくださった、自他共に認めるみかんマニア。お話を聞いてみましょう。


――松坂さん、こんにちは!

こんにちは。最初、今日来ようかどうしようか迷ってたのですが、まだ枠があるとのことで、ギリギリになって滑り込みました


――ありがとうございます! ずばり参加へ何が背中を押してくれたのでしょうか?

そうですね、他の生産者さんがどういう人なのか見てみたかったというのが一番ですかね。あえて食べ手の視点で会ってみたいな、と


――なるほど、確かに農作物の種類に関わらず生産者さん同士がリアルで会える場所も限られますものね

私はもっと効率化を重視して、ひとつのメーカーとして生産していきたいと考えているのですが、他のみなさんはどんな様子なのだろうと気になっていまして。今日はそれも知りたいな、と


アーティストのような生産者から、研究家的な生産者……個性豊かな方々が集っています。どうぞ沢山交流しちゃってください!


お酒に作り手同士のやりとりに……ナイスごにょを発見!


「実は今日、お酒持ってきてるんですよ」

と辛党なら思わず反応してしまう声がけをしていたのは、兵庫県からいらっしゃった田中さん

唯一無二の食感で多くの食べ手が虜になった「山の芋」を生産しながら、山の芋で醸造したオリジナル焼酎を手がけています。

テイスティングさせてもらって上機嫌な筆者(左)と田中さん(右)。勧めるのが上手なんだから〜


今日は山の芋をアピールすべくはるばる上京しました! とりあえずうちの自慢の山の芋焼酎をどうぞ

――いや〜ん、お酒を差し出されちゃったら、頂かないわけにはいかないじゃないですか♡ 田中さんには以前、サクサクふわとろな山かけ丼を作った時にお世話になりました。とろろというか、もはやお餅なんですよね〜!


ふと周りを見渡せば、濃〜い作り手さんが続々と集合! 良いごにょごにょが醸成されつつありますよ。


こちらは東京三鷹市で6代目となる農園を営む鴨志田さん

野菜作りの他に、現在はネパールで生ゴミの堆肥化を推進する事業に携わっているそうです。そしてなんと農家を継がれる前は、数学の先生だったのだとか。う〜ん、濃い!

「君も変態だね〜!」と褒める代表高橋(左)と鴨志田さん(右)


あ、あそこにいるのは長野県の上原さんと……新潟県の渡邊さんじゃないですか! 果樹農家同士何やら話し込んでます。何を話してるんでしょう? 勝手にソワソワしてしまう筆者でした。

渡邊さん(左)と上原さん(右)。作り手同士の会話は、職人同士のやりとり。我々は入り込めない領域です……


会場の至る所で繰り広げられた「ごにょ」の数々。全てを書き表すことができないのがもどかしいです。

依田ファームのみなさま! 販売を担当する功刀(くぬぎ)さん(右)と功刀さんのお姉さまご夫婦

岩手からお越しいただいた農家の加藤さん。この乾燥秘伝豆、水で戻すだけで美味しいんです

会場でいちばん目立っていた背中は、東京都の農家・浜中さん

青森の森山さん夫妻(左)とえがおファーム清岡さん(右)

いらっしゃ~いにも登場した茶太郎さん(中央白シャツ)を囲む食べ手の皆様

\ピンポンパンポ~ン♪/

ここで、お客さまのお呼び出しをいたします。上の写真の赤いTシャツの坊やのお母様、かわいいお写真が他にもあり、できればお渡ししたいと思っております。もしこの記事をご覧いただいてましたら、こちらからポケマル公式アカウントにご連絡くださいませ~。


とてもゴニョゴニョしてきたゾ

さあ、一揆もディープな時間帯に差し掛かってきました。一次産業のるつぼに揉まれながら、筆者もナイスごにょを探そうと会場を徘徊します。

と、そこで聞こえてきたのが「非公式なんですけど明日……」という声。なになに、スクープ!?


生産者×食べ手の邂逅 〜川島さんを囲む非公式イベント発生〜

当日いちごバターを持参してくださった静岡の農家・川島さんのブース


「実は明日、ポケマルで出会ったお友達と川島寛さんを囲むイベントをするんです〜」

とおっしゃるのは、ハンドルネーム・ぷーちんさん。ポケマルで繋がった作り手と食べ手同士で、翌日に非公式のイベントを開催するというのです! 

そうそう、これ! これなんだ! と、一気にテンションが上がる取材班。

私たちが願うのは、作り手と食べ手がポケマルをきっかけにして出会い、自然に交流が生まれるようになること。

つまり、ぷーちんさんや川島さんたちによって計画されたこの非公式イベントは、ポケマルが目指す作り手×食べ手のひとつの完成形なのです……!

 イエス、ナイスごにょ!

左が川島さん。人気作り手同士の奇跡のタッグ、川島さんが渡邊さんブースのお留守番をするというレアなシーン**

**ポケマルマニア以外は「?」だと思うので補足説明を。2018年の年間ランキングで5位の川島さん(いちご)と1位の渡邊さん(イチジク、桃、なし)が交流するという光景。洋楽に例えるとフレディ・マーキュリーとジョン・レノンが互いのバンドのサポートしたようなことです


濃厚な愛知県勢 〜10代の一揆参加者登場〜

一揆も終盤になりぼちぼち帰りの準備をし始めるみなさん。

と、そこに愛知県でお茶を栽培する石川さんと、同じく愛知でサツマイモを生産する鈴木さんが。話を聞くとクルマで乗り合わせて参加してくださったそうです。感謝!

鈴木さん(左)と石川さん(右)。乗り合いがきっかけの出会いとのことですが、すでに息ピッタリのご様子。


「でももっと濃い子がいるんですよ。『私も千秋楽一揆に参加したい!』と自らの意思でやってきた中学3年生、酒井紗雪ちゃんです」

ええ、えええ〜!!! 一見物騒に見えるこの百姓一揆に自らの意思でやってきた中学生(しかも愛知県から)がいたとは。

さっそくインタビューしてみましょう。

彼女が中学生(当時)の酒井紗雪さん!! キラキラとした瞳でお話してくれました。


――今日はわざわざ参加いただきありがとうございます。ええと、なぜ一揆へ?

「面白そうだな」と思って、以前愛知で開催された百姓一揆に参加しました。それがキッカケで、つい千秋楽にも来てしまいました


――なんて意識の高い10代だ……! 

中学を卒業したら長野の高校へ進学する予定です。そこでは食について専門的に学べるので、グローバルな視点から改めて食を勉強していきたいなと考えています


と、キラキラと目を輝かせながら沢山お話してくださいました。ポケマル編集部一同、応援しています! がんばって!

ディープな愛知県勢。ありがとうございました!(左から、鈴木さん、石川さん、酒井紗雪さん、紗雪さんのお母さん)


次の”ごにょ”を生むために、ポケマルは歩みを止めない!

「これからまた乗り合いで愛知に帰ります!」と去って行く仲良し愛知県勢の後ろ姿。


そして、とうとうイベント終了の時間がやってきました。

最高潮に高まったごにょごにょも……

ポケマルインターン生と固い握手を交わす川島さんの後ろ姿(左)


波が引くように……

猪肉を販売する「山の恵み」の山口さんは「わーいパネル持って帰りますね!」と満面の笑み


静かにな……

「これ俺だよ俺〜〜!」と上機嫌の八木澤ブラザーズ


もとい、最後まで全然、静まりませんでした!!!

「いえーい!!」と最後まで大盛り上がりの作り手勢

2次会、飲み過ぎないでね。


最後の最後まで大盛況に終わった平成の百姓一揆。

普段、オンラインで交わされているやりとりをリアルの場で体感するとどうなるか。答えは「とーってもディープ!!」でした。


それぞれの繋がりは一言では表現しきれない複雑なもの。

ひとつの「ごにょ」が生むのは、ほんのわずかな摩擦熱。ですが、それらが多数集まれば大きな熱となり、発火します。私たちポケマル編集部は、その火を絶やさぬよう、薪をくべ、見守り続けていきたいと思います。


みなさまの「ごにょ」それこそが、ポケマルの目指す食の世界である「ポケマル国」を作ります。

さあみなさん、も〜っとごにょごにょする準備はいいですか?

さあ、今日のポケマル最新出品をチェックしよう!

Writer

大城実結/MIYU Oshiro

フリーランスライター・編集者。自転車や地域文化、一次産業、芸術が専門。紙雑誌やWeb媒体問わず執筆中。ポケマルでは農業初心者を生かし、わかりやすく愉快な記事の執筆を目指す。イラストや漫画も発表中。Webサイト:https://miyuo10qk.wixsite.com/miyuoshiro

編集・写真=中川葵

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