平成の百姓一揆イベントレポ② 高森さん茶太郎さんいらっしゃ〜い


「ポケマル国王」を自称する株式会社ポケットマルシェ代表の高橋博之。前回の記事では、高橋の国王演説をレポートしました。

この社会は、私ひとりで叫んでいても変えることができません。しかしたくさんの作り手・食べ手・関係者がグラウンドに立ち、みんなで前に進めば変えられるのではないでしょうか。


その訴えは決してただの机上の空論では無く、ポケマルの2年半の歴史の中で実際に起きた事例を元に、国王の心の中で確信となったものです。


そこで! 

ここからが平成の百姓一揆の目玉企画。ポケマルの中で素敵なごにょごにょ関係を築き上げた作り手と食べ手のペア(以降、「ごにょブル」と呼びます)を壇上にお招きし、とことん語らってもらいます。題して、


○○さん、いらっしゃい


勘の良い方はお気づきかもしれませんね……あの伝説の名番組「新婚さんいらっしゃい」へのオマージュとして、そのポケマル版をやってみようというわけです。大事な司会の桂文枝師匠役には、もちろん国王の高橋博之を配し、美しいごにょごにょエピソードを引き出してもらいました。

 

目次

 
     ここに目次が表示されます。    

高森さん&茶太郎さん、いらっしゃ〜い


いらっしゃい企画では2組のごにょブルに登壇していただきます。1組目のごにょブルは、漁師高森さんと茶太郎さんです!

1組目のごにょプル
  • ポケマルの食べ手界を背負って立つ、プロ食べ手のひとり。家族三人でポケマルライフを楽しむ。本人は超がつくほどのバリキャリで、パワフルな生活を送っている。食費全体の約8割をポケマル食材が占めているのだとか。(関連記事:「冷蔵庫の中みせてください」ポケマルMGUの茶太郎さんに会ってきました!

  • 「愛される漁師になること」が夢の、ホタテ養殖をメインに行う青森県の漁師。日々現場のリアルを発信し、都市の食卓にイノベーションを起こしている。


コミュニケーションの中心が食卓に

茶太郎さん(左)と、高森さん(右)


——【司会】茶太郎さんはどこでポケマルを知ったのでしょうか。

普段はベンチャー企業をお手伝いする仕事をしています。ある日、いくつものベンチャー企業が集まるピッチイベントに仕事がてらいったら、そこで高橋さんが熱く語っていたんです。それを聞いて、おもしろいと思って始めました。


——それまでの生活で、生産者から直接食べものを買った経験はありましたか?

ないですないです!


——実際にポケマルを利用して、食事の場は変わりましたか?

基本的に生産者の名前と食品をセットで呼ぶようになりましたね。「これは○○県△△さんのお野菜だよ」とか。息子は魚の名前にやたら詳しくなって夫は自ら台所に立つようにもなりました。それまでの食卓は急いでかきこむだけでしたが、コミュニケーションが増えましたね。


——なるほど。でも、ポケマルをたくさん使っていると、食費は高くなってしまうんじゃないでしょうか。

確かに高くなっているのかもしれませんが、毎日家に帰るのが18時半。そのあとスーパーに行って重いものを持って帰って料理することを考えると、おいしいものを家まで届けてくれるポケマルが高いとは思いません。


——茶太郎さんはこれまで500回近くポケマルで買い物してくださってるんですよね。その中で出会ったのが、お隣に座っている高森くんだったと。


「おいしい、ありがとう」は漁師のエネルギー


僕は青森県は外ヶ浜町からやってきました。ホタテ養殖が中心で、ホタテがない間は未利用魚セットを出品しています。「未利用魚」とは、市場に出荷する際青森では食べなかったり、ちょっと傷がついているだけで取り扱ってもらえなかったりする魚たちのことです。

関連記事:23の命が詰まった「未利用魚セット」を買っておいしく食べ尽くしました!


——ポケマルと出会って、どういう変化がありましたか?

単純に嬉しいですね。「おいしい、ありがとう」はエネルギーになります。消費者と繋がってないとそういう声を聞くことがまずありませんでしたから。


——高森くんは元々東京の不動産会社で勤めていたんですよね。なのにどうして地元に帰り、仕事を継ごうと思ったんですか?

うちの地域だと漁師はバカにされていて、小さい時はすごく嫌いで絶対にやるもんかと思っていたんですけど。営業マンをしている中で、改めて地元を振り返り、漁業の価値に気付いたからです。


都会っ子の茶太郎さんの息子さん、将来の夢は「漁師」

茶太郎さん息子さんの夏休みの自由研究にも登場するポケマル生産者さん(茶太郎さんの投稿より)


——ポケマルを介して出会った2人ですが、茶太郎さん、それ以前は漁師の知り合いなんていなかったわけですよね。

はい、初めてです。


——高森くんと繋がって、息子さんが将来何になりたいって言ってるんでしたっけ?

漁師になりたいと言っています。


——東京で生まれ育った、漁業と無縁の子が漁師になりたいと言うなんて、いったいどんな漁師像なんでしょう?

コミュニティ投稿で漁師さんの普段の様子を一緒に見ているのですが、息子は「魚と戦って持って帰ってきて、こんなにおいしいものを人に届けるってすごい!」って言ってます。私なんかは天候に関わらず毎日仕事ですが、そうじゃない人たちがいることを知ったみたいです。


——戦隊モノに見えてるのかな(笑)。都会だと定時の仕事ですが、そこはびっくりしますよね。僕は「知らないこと」って罪だと思っていて。知れば待てる余裕もできるし、待つ楽しみもできますね。

息子は天気予報をチェックして、各地の漁師の心配をしています。私は「あなたが心配してもどうにもならないよ」って言ってはいるんですが(笑)。


——これが将来の消費者になったら楽しみですね。高森くん、都会に住む子供が自分の浜の天気を気にしてくれているってどうですか?

めっちゃ嬉しいですね。そうやって思ってくれてることを今初めて知って、もっとやる気になりました。茶太郎さんは毎日のようにしてる投稿に、よくメッセージくれるから支えられてるなって思います。


——高森くんが送ってくれる「未利用魚セット」には色んな種類の魚が入ってますよね。いつもどうやって食べているんですか?

とりあえず食べてみて、毎回いちばん美味しく食べるための実験をしています。捌くのは夫です。息子は最初「かわいそう」と抵抗していたんですが、お魚のおいしさに感動して、最近ではカワハギをさばくようになりました。


——ちなみに茶太郎さんは、漁業現場に行ったことはありますか?

ないんです。夫も息子も船に乗りたいって言ってます。乗せてもらっていいんですか~?

もちろん!企画したいですね。


応援したい気持ちに、場所なんて関係ない


——高森くんはよく現場の様子を投稿していますが、届く魚の背景を説明しようとしてるんですか?

思いついたら全部だだだって書いてます。漁師の現場で何が起きてるかは正しく伝わっていないので、クリアに生産物とお金が循環するシステムを目指したいです。

これが「だだだ!」と書いている高森さんのコミュニティ投稿。溢れ出るエネルギー


——地方ではよくあることですが、新しいことをやろうとすると打たれるんですね。悪くいうと保守的。

公表するのは初めてなんですが、去年の9月にホタテ養殖施設を故意にナイフで切られました。ずっと体調悪かったんですが、それでもやっぱりやめたくない。戦いたい。変えたい。そんな想いでここまで来ています。


(会場に拍手が沸き起こる)


——どうしますか茶太郎さん。こんな思い聞いちゃったら、より応援したくなりますね。

東京応援部隊として、応援したいです!


——高森くんも、支えてくれる人がいなかったら踏ん張れないですよね。

元もとメンタル弱いから、自分を鼓舞するためにも強気の言葉で投稿してます。


——関係は育まれることも別れることもあります。無理に継続させろとはいいませんが、関係は力です。どうか末永くお幸せに!


* * *


いらっしゃい2組目は近日公開予定! どうぞお楽しみに!


文=尾形希莉子、編集=大城実結・中川葵、写真=中川葵


さあ、今日のポケマル最新出品をチェックしよう!


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