「1月はお好み焼きの旬」は本当か?噂のキャベツで焼いて検証してみた

新年1月3日のお昼にこんにちは。ポケマル編集部です。

2020年1月、ポケマル編集部の仕事始めは、「正月が終われば粉もんが食べたくなる」という編集部員おがたの記事でした。

関連記事:そろそろ粉もん食べたくない?妄想お好み焼きのたしなみ 

それから10ヶ月ほど経った11月のある日、縁あって粉もんに欠かせないキャベツと出会ってしまった編集部員。詳しく話を聞くと「このキャベツが旬ならばお好み焼きも旬」なのだとか。

「そりゃ確かめるほかないね」と、"至高のお好み焼き"を追求するべく準備を始めたのです。

目次

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この記事の登場人物
  • なかゞわ:本記事の編集担当。猫と暮らす物件検索にハマっている。
  • おがた:学生インターンを経て現在は山梨県在住。無類の柑橘フリーク。
  • おゝしろ:本記事の執筆担当。鳥と自転車に囲まれて生活をしている。

「お好み焼きの旬」検証のため集合

というわけで、本日は12月1×日。約11ヶ月ぶりに集合したポケマル編集部一同でございます。しかしながらね、おがた部員。お久しぶりです

どうも、お久しぶりです

最後に直にお会いしたのは1月でしたっけ

その後はオンラインばかりだったせいで私の中でみなさんは概念のような存在になってましたが、ちゃんと実在していたんですね

いましたね

それでですね、今回はお好み焼きを作りましょうということで、ここに色々と食材が並んでいるわけですが

これらは私が用意した、お好み焼きのベースとなる食材たちです

しかしなぜお好み焼きに? 
そしてなぜわざわざこの時期に?

『松波』というとても良いキャベツが旬に入ったからですよ

一説によると、松波が旬の12〜1月はお好み焼きの旬でもあるそうなのですよ

ところでみなさん、宿題は覚えていますか?

「お好み焼きに入れたい食材を予算内で用意せよ」というお題ですね。もちろん持ってきました。こちらです

ほう

2020年1月に旧パッケージが販売終了となりリニューアルしたというニュースに衝撃を受けまして……今回の食材を選びに行った店で新パッケージ版を見かけたのでつい

コンビーフお好み焼きですか

これだけだと予算が余ったので、韓国餅と広島のおいしそうなお好み焼き用ソースも買ってきました

あれ、今日は大阪お好み焼きでは

やっぱりそう思います?

おいしければOKでしょう。おがた部員は?

私はコレを用意してきました

発泡スチロール……まさか生もの?

いえ、違うんですがコレで届いたのでそのまま持ってきました

こ……これは乾燥甘えび!

実は私も前から気になっていました

これだ……山形県・五十嵐万早樹さんの『ぱりんこエビ』。もはや最高の予感しかない

即座にポケマルを開きチェック

お好み焼きにすべきキャベツ『松波』

はい、それでは久々にはじめましょう。
主役はこの方、松波キャベツさんです

これが松波……

松波は大阪府泉佐野市の特産"泉州野菜"のひとつで、12月中旬から1月頃が収穫シーズンにあたります。
「お好み焼きには松波」と言われるほど、お好み焼きに欠かせないキャベツなのだそうですが、本当なのでしょうか。本日はそれを検証するのです

それにしても立派なキャベツですね。お尻側を見るとボリューム感がよくわかります

頭の葉がすこし紫色になっているのが見えるでしょうか

言われてみれば

これは冷え込みが厳しくなると出てくるアントシアニンの色で、松波がおいしくなってきた合図なのだそうです。では半分にカットしてみますか

まぁ、包丁の先端がまな板につかないうちに刃が全部埋まってしまいました

うおお……でかい

ザクッザクッと……切れました

うおお……ぎっしり

葉っぱがぎゅっと詰まってますね

これをお好み焼き用にカットしていくわけですか……ときに、大阪のお好み焼きは、千切り流みじん切り流に流派が分かれると聞きましたが

私もそう聞きました。なので、今日は両方を用意します。カット担当はおゝしろ部員にお願いします

はいよろこんで

みじん切り流も千切り流も。
両対応でカットします

ではまず、半割にした松波を上下で分かれるようにもう半分に切ってください

この切り方は珍しいですね

葉軸が細くて葉が柔らかめな上側を5〜8mmくらいの千切りにします

なるほど

感触と音からキャベツの密度の高さを感じます

千切りが終わったら、次は葉軸が太くて葉がしっかりしている下側を1cm角くらいのみじん切りにします

はい

いやあ、刻み甲斐のあるキャベツですね。手応えが違うなあ

中心の硬い芯が残るようにうまく切っていきましょうね

千切り、みじん切り共に完了しました

キャベツ半分ですごい量になりましたね

で、最後に残った芯ですが……噂によると
松波の真骨頂は芯の甘さ 
だとか。確かめてみても良いでしょうか

確かめましょう

いかがでしょうか

これは……想像を絶する

ちょっとみなさんも食べてみてください!

こ、この甘さは……! これは期待が高まりますね

具材は"お好み"のセルフ焼き

さて、本日の主役・松波キャベツの下準備ができたところで、お好み焼きを焼いていきましょう。

感染症対策のため、お好み焼き会場は屋外に設置。ソーシャルディスタンスを確保し、調理はひとりずつ順番に行います。

※部員3名はこの日の14日前から普段より厳しく三密回避を意識し会食を控えるなどの感染対策をして過ごしました。

「みじん切りベースに、ぱりんこエビをオン」

さていよいよ焼き始めますが、キャベツはどのくらい入れるのが正解なのでしょう?

いつもお好み焼き屋さん任せだったので、全くわかりません。ここは自宅お好み焼き経験者のおがた部員に焼いてみてもらい、様子を見ることにしましょう

ではおがた部員の"お好み"をご披露願います。まずはこちらのトッピングコーナーからお好みで具材を選んでください

では、ぱりんこエビお餅にします

ほう…タネに混ぜ物はしないのですね?

まずはシンプルに松波キャベツの味わいを感じたいと思いました

次はキャベツです。みじん切り、千切り、お好みの方をお好みの量お取りください!

……よし。みじん切りにします

お玉一杯のタネに対して、どんぶり一杯の松波キャベツ…大胆な量をいれますね

これ、混ざるのでしょうか

混ざりました

混ざるんですね。というより"和える"のほうが適切かも。では焼いちゃってください!

ぱりんこエビとお餅を上に置いて、片面が焼けるまで蓋をして待ちます

お好み焼きが焼けるまでの間に

すでに香りからして素晴らしいですね…

片面が焼けるまで、5分くらいでしょうか

待ち時間ですね…

……ところで…おがた部員の今年は、どんな一年でしたか?

そうですねえ。家にいる時間は長くなりましたけど…地元の農家さんのところで農作業の手伝いとかもしてたので、畑か家かで過ごしていましたね

そういえば、出荷シーズンは忙しそうで…だったよね。コロナ禍で諦めたこととか…なかった?

あー……漁船に乗りたかったです……

そっか(だからぱりんこエビを選んだのかな)

そろそろひっくり返しますね

おおっ、キレイに!

また蓋をして5分くらい待ちます

あとは、なんとなくですけど……また旅をしながら執筆をしたいな、と思います

学生の頃から長期休みに遠くのみかん農家さんのところに手伝いに行ってたもんね。また行けるようになると良いね

来年どうなるか……わからないですけどね。
はい、焼けました

「お好み焼きの旬」は本当にあった

ということで、全員分焼き上がりました

ふたりはどんなお好み焼きになりました?

私はコンビーフを混ぜ込んだタネに千切り松波を和えて、

韓国餅をのせ、ぱりんこエビで取り囲んで焼きましてですね……

さては鉄板の上でかきおこソースを?

良い香りでしょう。対するなかゞわ部員は?

みなさん、私はね、お好み焼きに紫カリフラワーを入れてしまったのです

おお……

自宅冷蔵庫にあった広島の石野智恵さんのちいさめかえりを混ぜたタネに、

食べやすい大きさまで分解した紫カリフラワーとみじん切り松波を和えまして、

このとおりです

カリフラワーが青くなっている

ということで、それぞれの松波お好み焼きを各自で実食してみましょう



「あま〜〜!!」



なんという甘さだ。キャベツが甘いというレベルじゃなくて、お好み焼き全体に自然の甘みが満ちている……

実は私、キャベツ独特の青臭いような甘みが苦手だったんですけど、これは……最高においしいみんな食べてみてほしいです

まさかこんなに美味しいとは。「松波の旬=お好み焼きの旬」説には首肯するしかありません

みじん切りか千切りかで語らおうとしていたのに、あまりのおいしさにそれどころではなくなってしまいました

松波が大切にされる理由がわかった気がしますね

みじん切りvs千切り…結論出るか?

一方、みじん切りと千切りどちらで作った松波お好み焼きがよりおいしかったか? の結論ですが……

取り分け禁止のため自分のお好み焼きしか食べなかったので「さっぱりわからない」という結末です

千切り松波お好み焼きはとても柔らかく食べやすかったです。細長く切った葉が絡み合ってて、ひっくり返しやすかった

みじん切り松波お好み焼きは芯のシャキシャキ感が残ってて良かったです。濃厚な甘みを味わえましたね〜

そうなると、食感・食べ応えみじん切りなのか……?

柔らかさ・食べやすさ千切り……?

どっちもおいしいのならば、その時に使うキャベツの特性によって切り方を選ぶというのもアリかも

……つまり?

キャベツの上の方だけ残ってるときや春玉キャベツなどのふわっとした品種だったら千切り、キャベツの芯付近が余ってるときや寒玉キャベツなどのしっかりめの品種だったらみじん切り……とか

こりゃ、流派が分かれるわけです。でもどちらにせよ、松波ひとつでこんなにお好み焼きを楽しく味わえるのだから、幸せなことですなあ

2021年も「おいしい」の1年になりますように

最後は残った材料で特大お好み焼き

ところで、おゝしろ部員の2020年はどんな一年でしたか?

基本的に在宅で執筆をしていたのですが、なんだか質素な生活が続いたため健康になってしまったようです

世間ではコロナ太りとも言われていますが、それは良いことですね

これまでの登場具材全部入れです

でも、仕事はダメダメでした。誰にも会わないで仕事をしていると、ときどき「しんどいな〜」と感じちゃって。なかゞわ部員は?

私もずっと家で仕事です。毎日休まず記事を公開した一方で、だんだん燃料切れしそうな車みたいになっていった気がします

その感覚、私も感じていました。でもなぜだろう

生産さんの感染リスクを重く考えて現地訪問取材を控えたというのもあるし、部員と直接会うことがなかったのも大きそうです

フライ返しひとつでひっくり返せるか…勝負の瞬間

オンライン上でもある程度のことはできたけど、なにか"足りない"気がします

オンラインお月見会もしましたが、やっぱり今日のように集まって一緒に食べるとひと味違います

関連記事:オンライン月見の予行演習をたしなんでみたよ

ホットプレート上で切り分けて各自の皿に分けます

ひとつ確かなのは、とにかく今晩の松波お好み焼き会は"足りた"ということ。我慢しなくてはいけないこと、気をつけなければいけないことはたくさんあるものの、満足です

ご飯を食べることに夢中になるこの感覚、忘れていました

2021年には、あたりまえのように「同じおいしい」を共有できる世界が、また戻ってくるといいですね


* * *


2020年という歴史に残るであろう年が終わる頃、私たちはひとつの気づきを得ました。

私たちにとって"夢中"という感覚は、生きていくための原動力になっていたのです。

例えば訪問した生産現場から、生産者さんとの会話から、食卓を囲んでの「おいしいね」から。

いつどこに転がっているかわからない夢中を拾って、多くの人に伝えるために記事という形を与えています。だからこそ、夢中を探すことをやめてはいけないのだ、と、思うのです。

セルフタイマーで撮りました

出演したポケマル食材

松波

紫カリフラワー

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ぱりんこエビ


かえり


フルーツのみなさん


制作  ポケマル編集部(大城実結、中川葵)

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