2024年元日に発生した能登半島地震から2年が経とうとしています。徐々に復興の歩みを進めている能登の生産者さんを応援するため「#能登の生産者にエール」キャンペーンを10月から始めており、応援の気持ちとしてお買い物1件につき、100円を能登の生産者に届けています!
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このキャンペーンの一環で、生産者インタビュー第2弾として、今回は、吉浦さん(輪島市)と内濱さん(羽咋郡志賀町)に震災当時の状況や現在の取り組みについてお話を伺いました。
吉浦さん・快進丸(石川県輪島市)「漁師として、地元の海の魅力を知ってもらうことが復興の第一歩」

輪島市で、20年以上にわたり海と生きてきた漁師・吉浦翔太さん。父の跡を継ぎ、「快進丸」の船長として輪島沖で刺し網や延縄漁を営んでいます。
南からの暖流である対馬海流と北からの寒流であるリマン海流が交わる能登の海では、のどぐろやヤナギハチメ、ブリ、タラなど、四季折々の魚が水揚げされます。
しかし、2024年1月の能登半島地震で、港は大きな被害を受けました。震災を経て、今も海とともに生きる吉浦さんに、当時の状況や現在の漁の様子について伺っています。
ー能登半島地震が発生したときは、どんな状況だったのでしょうか。地震が起きたときは、自宅で親戚と食事をしていました。午後4時10分ごろに、突然大きな揺れがきて。「とにかく高いところへ逃げるしかない」と思い、家族は山へ避難しました。
でも自分は船が心配になり、港の様子を見に行ったんです。幸い津波は来ませんでしたが、後から聞くと地盤が隆起していたそうで。運がよかったと思っています。
ー地震のあと、しばらくは漁ができない状況が続いたと思います。そうですね。港の被害も大きくて、すぐに再開できる状態ではありませんでした。船自体は無事でしたが、港の設備が壊れて、氷も使えず、水揚げの環境も整っていませんでした。
3ヶ月ほどは地元を離れて働きながら、輪島市の家の片づけを少しずつ進めていましたね。その間ずっと、「もう一度漁師に戻れるのか」と考えていました。気持ちの整理もなかなかつかなくて。
ー漁を再開できたのは、いつ頃だったのでしょうか。
まず、2024年の11月に輪島港で小規模にカニ漁で初水揚げをしました。本格的に海に戻れたのは、2025年の3月ごろです。港の復旧や施設の整備に時間がかかってしまって。
—現在の港や漁の環境は、どんな状況ですか。
まだ完全には戻っていません。港が隆起したことで水深が浅くなって、船底が海底に当たるリスクもあります。また、港湾工事が続いていて、船を係留できる場所や水揚げ施設も限られています。
作業スペースも狭いので、本当に「いっぱいいっぱいでやっている」感じです。それでも、少しずつ整備が進んできているので、焦らず続けていきたいと思っています。
—ポケットマルシェの応援企画に参加されたきっかけを教えてください。

最初は、妻の後押しでした。当時は自分もまだ気持ちの整理がつかなくて、「漁を再開できるのは2〜3年先になるかもしれない」と思っていて。そんなときに妻が「参加してみたら?」と声をかけてくれました。
最初は半信半疑でしたが、「やってみよう」と思い切って参加することにしました。振り返ってみると、あのタイミングで背中を押してもらえたのは大きかったです。
—実際に参加してみて、どんなことを感じましたか。
応援コメントや購入者の方からのメッセージが励みになりました。「おいしかった」「また食べたい」「またお願いします」といった言葉をいただくたびに、「自分を待ってくれている人がいる」と感じられたんです。直接会ったことがない人たちなのに、自分の漁や魚を気にかけてくれていることがうれしかったです。
—これから挑戦したいことや、目標があれば教えてください。
もっと多くの人に、能登の魚を食べてもらいたいと思っています。漁師として、地元の海の魅力を知ってもらうことが復興への第一歩になると感じています。今年はマダラ漁を再開する予定です。昨年は震災の影響でできなかったので、今度こそはポケマルにも出品して、たくさんの人に食べてもらいたいですね。応援してくれた方々に魚で恩返しすることが、今の目標です。
—最後に、この記事を読んでいる方へメッセージをお願いします。

自分が獲った魚を「おいしかった」と言ってもらえることや、SNSで料理の写真を投稿してもらえることが、毎日の励みなんです。「また買いたい」と言ってくださる方の言葉に応えられるよう、これからも一つひとつ丁寧に漁をしていきます。まだ大変な状況は続いていますが、能登の海の味を、ぜひ楽しんでいただきたいです。そして、これからも応援してもらえると嬉しいです。
\ただいま「鱈」出品中/
鱈はクセがなく、鍋料理やムニエル、フライやホイル焼きなど幅広い料理で楽しめる冬の人気魚です。旨みたっぷりの白子も絶品で、食卓を豊かにしてくれる季節の味わいです。
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内濱さん・農事組合法人あいかみ(石川県羽咋郡志賀町)「『やらんとダメや』と皆で声を掛け合いながら農業を続ける」
夏にはホタルが舞い、冬にはコウノトリが羽を休める志賀町。豊かな自然に囲まれたこの地で、米やもち麦、そば、大豆を育てているのが、農事組合法人あいかみです。
理事の内濱英世さんは、地域の農地整備をきっかけに、10年前、集落による営農組織として、仲間と共にこの法人を立ち上げました。
なかでも力を入れているのが「もち麦」。2024年の能登半島地震で作業場が全壊する被害を受けましたが、支援を受けて生産を再開。特別栽培にこだわり、自然とともに歩む農業を続けています。
ー能登半島地震の際は、どのような状況だったのでしょうか。私は2007年の能登半島地震も経験していますが、今回はまったく違いました。ちょうど子どもが孫を連れて遊びに来ていて、夕方4時ごろの帰るタイミングで玄関に出たときに、大きな揺れがきたんです。
とにかく長くて大きな揺れで、立っていられないほどでした。すぐに孫の上に覆いかぶさって、どうにか身を守りました。家は潰れずに済みましたが、あの瞬間の恐怖は今でも鮮明に覚えています。生きていること自体が奇跡だったと思いますね。
—ご家族と一緒にすぐ避難されたんですね。
はい。津波警報が出たと聞いて、「逃げないと」と思いました。玄関にいたのが幸いで、外に出るのも早かったです。直線距離で500メートルほどのところに小学校があるんですが、車は車庫から出せず、歩いて向かいました。途中、橋が崩れていて、どうやって渡ったのかも覚えていません。それぐらい必死でした。とにかく命を守るために動くしかなかったです。
—生産現場では、どのような被害があったのでしょうか。
田んぼが傾いてしまって、3割ほどは作付けができませんでした。地震で地面がねじれたようになり、本来なら平らなはずの田が、波打つように歪んでしまったんです。
私たちはおよそ50ヘクタールの田んぼを管理していますが、あちこちでパイプラインが破損し、ポンプも止まってしまいました。水が通らず、田に水を引くこともできない状態でした。応急的にパイプラインだけ修理して、なんとか7割は作付けできましたが、完全な復旧にはまだ時間がかかります。
—2025年現在も、7割ほどの作付だと伺いました。
そうですね。大規模な田んぼは1ヘクタール単位で区切られているので、個人ではとても直せません。業者に頼むしかありませんが、道路の復旧が優先されているので、農業関係にはなかなか手が回っていない状況です。農地の完全な復旧には、10年はかかると思っています。
—そんななか、今回ポケットマルシェに登録された経緯を教えてください。

実は、「雨風太陽」という会社名に惹かれたんです。いい名前をつけたなあと思って。
これまでもいろんなところから「出品しませんか?」と声をかけてもらっていました。道の駅でも販売していますし、ほかの営農組合とも協力して商品を出しています。でも、ポケットマルシェに関しては、県のECサイト出店支援セミナーへの参加をきっかけに、組合員の高橋さんからの後押しも大きかったですね。
それに、同じ地域の大森さんがポケットマルシェを利用していて。羽咋で開かれた出店支援セミナーで偶然会ったんです。県もECサイトでの販売を支援していましたし、「やってみてダメならやめればいい」と思って、まずは登録してみました。
—現在は準備を整えている段階かと思います。今後、ポケマルで販売していきたい商品は何でしょうか。
一番の主力は「もち麦」です。精麦から袋詰めまで、すべて自分たちの手で行っています。まずは、このもち麦を中心に全国の方に食べてもらいたいですね。
—今後の目標や挑戦したいことはありますか。
まずは「現状維持」です。米やもち麦の生産は欠かさず続けていますが、中山間地の農業はどうしても手間がかかるので、平野部のようにはいきません。それでも、田んぼを守ることが私たちの役目です。
だからこそ、地震で被害を受けた今も「やらんとダメや」と皆で声を掛け合いながら続けています。
—最後に読者に向けて、メッセージをお願いします。

能登は日本海が近く、能登富士とも呼ばれる山も見えて、農作物には恵まれた環境なんです。私たちが特別栽培で丁寧に育てたもち麦は、安心して食べていただける自信があります。一度食べてもらえれば、その違いをきっと感じてもらえると思います。能登の恵みを通して、少しでも元気や笑顔を届けられたら嬉しいですね。
\ただいま「もち麦」出品中/
もち麦は、食物繊維やビタミンが豊富な雑穀です。ごはんに混ぜて炊けばぷちぷち食感が楽しめ、シチューやサラダに加えるだけで料理の栄養もボリュームもアップ。毎日の食卓に手軽に取り入れられます。
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震災から2年。能登の生産者さんたちは復興に向けて、食の力で地域を元気づけようとしています。
「能登復興応援キャンペーン」を通じて、生産物を手に取り、生産者のみなさんにエールを送りませんか?あなたの応援が、能登の力になります。
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