編集部員おおしろから、私事ながら報告いたします。先日、大根とのひょんな出会いがあり思いがけず豊かな日々が送れましたので、筆を取らせていただいた次第です。さて——
珍しい大根にお目にかかりました
今回の食材との出会い、実はポケマルではありません。道の駅へ出かけたある日、見慣れぬ小ぶりな大根が目に入ったのです。

その名も「ビタミン大根」。濃い黄緑色の皮は、「ビタミンが詰まっています」と言いたげな存在感。思わず購入してしまいました。
別の日、普段はあまり利用しない高級スーパーへ行ったときのこと。ピンク色のニンジンのようなお野菜、いいえ、「レディサラダ大根」と出会ってしまいました。

100円ちょっとでお持ち帰りできるこの出会い、幸せなものですね。
もちろんポケマルにも心くすぐるような大根たちが揃っていますし、今これをお読みになっている貴方様の冷蔵庫にも使いかけの大根が眠っているかもしれません。
もしかすると家庭菜園や畑をお持ちの方は大根を持て余しているかもしれませんし、地域によってはお隣さんから大量の大根が回ってくることだってあります(私が茨城に住んでいるときには、そのようなイベントも発生しました)。
申し上げたいことは、"出会いはいつどこに転がっているかわからない"ということです。常にお出迎えできるよう心構えをしておきたいものです。
大根の干し方にもいろいろあるのですね

煮込んでも、スライスしてサラダにしても良かったのです。けれど私は干したいと思ってしまったのです。もし理由が必要でしたら、そこに干しネットがあり、乾燥の気になる冬の日だったから、とでも申し上げておきましょうか。
薄い輪切りにして干す方法
おやおやおや……ビタミン大根とレディサラダ大根は今日も可愛いですね。

この色合いとサイズ感で、中身はどのようになっているのでしょうか。確認しなければなりませんね。
まずはビタミン大根から見てみましょうか。

大根を名乗りながらも、中は明るい黄緑色ですね。滴らんばかりの水分が新鮮さを物語っています。やれやれ、これから干されるというのに……そそられてしまうじゃないですか。
ニンジンほどのサイズですし、色味も可愛らしいので薄く輪切りにしましょう。乾燥するとどんな姿へ変化してしまうのか。非常に楽しみです。

透かせばさらに美しいものです。

一方、レディサラダ大根は、表面こそ鮮やかな紅色ですが……

中は真っ白でした。美しい。まるでラディッシュのようですね。

おしゃれ大根たちは、乾物ネットに広げて干していきます。

今回は包丁で薄切りにしましたが、スライサーを使えばもっと簡単に干せるのでしょう。それにしてもこの大根たち、どんな変化を遂げてしまうのでしょうか。想像するだけで胸が高鳴ります。
大胆に輪切りにして干す方法
ビタミン大根とレディサラダ大根の作業が思いのほか早く終わり何気なしに冷蔵庫を開くと、奥の方から熱烈な視線を感じました。彼は使いかけの青首大根。先日、近所のスーパーで購入した、ごく一般的な大根です。
やれやれ、そんな熱視線を送られたら干さざるを得ませんね。
大根を輪切りし、皮は桂剥きにします。剥いた皮は決して捨てることのなきように。先ほどの薄切りとは打って変わり、おでんの大根のように厚めに切った大根に切れ込みを入れ、ワイヤーハンガーに掛けていきます。

皮は乾物ネットにのせて干しましょう。

調理して食べても良さそうですし、ぬか床の水分調整アイテム※としても活用できそうです。
※ぬか床の水分量が増えすぎてしまったときに、水を吸収し、ぬか床の状態を整える食材のこと。多くの場合は昆布などを使用。
大根を干しながら暮らす日々

翌朝、カーテンを開けると冬の青空が広がっていました。快晴だと理解した瞬間、私はごく自然にこう思ったのです。「ああ、洗濯機を回さなければ。そして大根も干さなければ」と。
乾いた風に揺れながら、柔らかな光を受ける大根たち。その姿を眺めるだけで、愛おしさが自然と湧き上がります。
しかし日が暮れてしまえば気候は一転、冷たく長い夜がやってきます。霜が降りてしまいますので、可愛い大根たちもお部屋の中に取り込んであげましょうか。

晴れた日には外へ出し、日暮れと共に部屋に取り込む生活も1週間になりました。ビタミン大根とレディサラダ大根の様子はいかがでしょうか。

あれだけたっぷり抱えていた水分は抜け、それぞれの色が一層濃くなったように感じます。一方、大胆に輪切りにした青首大根はというと……おやおや、少々不穏な変化をしています。
悲しみのあまりカメラのシャッターを押すことさえ忘れていましたので、図でお伝え致しますね。

何かを間違ってしまったのでしょうか。それともこれが正常な育ち方なのでしょうか。ああ、私は無知で至らない自身を悔やみながら、湿度を気にして祈りながら干し続けることしかできません。
完成したので食べてみましょうか

2週間後、とうとう切り干し大根が完成したようです。
右はレディサラダ大根、中央にあるのがビタミン大根、左奥が青首大根の皮です。レディサラダ大根は、タコ酢のおつまみに似ていますね。

煮沸消毒した瓶に詰めて、日の当たらない本棚で保存します。なかなか良い雰囲気です。

それではお味をみてみましょう。
"切り干しビタミン大根"と"切り干しレディサラダ大根"を、薄切りにした白菜とツナやコーンなどと一緒にマヨネーズで和えて、洋風サラダにしてみます。

コリッとした歯ごたえの後にじんわりと広がる甘味は、可愛らしい切り干し大根たちのしわざですね。ああ、おいしい。バゲットを用意しておくべきでした。
さて、続いては心配でたまらない"厚切り干し青首大根"です。
水戻ししたものを恐る恐る嗅いでみると、馴染みのある「切り干し大根の香り」が漂ってきます。ほっと胸をなで下ろした私は、厚揚げとこんにゃくと一緒にお出汁で煮込んでみることにしました。

一口食べた瞬間、驚きました。大根の強い甘味と合わせ出汁の旨味がぎゅっと濃縮し、さらにコリコリとした食感が舌の上を踊るのですから。そして、どうやらぬる燗がぴったりのようです。

これは思いがけず大成功だったようです。やりましたね。
切り干し暮らしは続きます
以上、切り干し大根と一緒に暮らしたら幸せな気分になりましたので、ご報告させて頂いた次第です。
しかしながら、人間とは欲深いものですね。私は知りたくなってしまったのです。皆様方がどんな切り干し暮らしを送り、どのように幸せになっているのかを。
そのため私は流行りのSNSに登録し、ひっそりと”活動”を開始しました。もしご興味があれば、貴方様の切り干し暮らしのご様子を「秘密の合い言葉」を使ってお知らせくださいませんか。
切り干し暮らしへのおさそい 切り干し大根をはじめ、野菜を干したり、調理したり、観賞したりすることで、積極的に「切り干し文化」を愛でていらっしゃる方を見つけましたら、こちらのアカウントからフォローさせていただいております。 instagram:@kiriboc.d Twitter:@kiriboc_d また、秘密の合い言葉(ハッシュタグ)「#切り干し大こんテスト」を付けて投稿してくださいましたら、後日、素敵な投稿を選んだ上で、真心を込めてリポストさせていただきます。 |
切り干し生活に必要なのは、干したい食品と干し網とお天道様だけです。私はいつでも貴方様のご参加をお待ちしておりますよ。
関連出品
記事公開時にポケマルで販売中の大根の出品たちの一部を掲載しています。もし販売終了になってしまっていたらお許しください。検索結果からさがしてみてくださいね。
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文・イラスト・写真=大城実結、編集=中川葵