〜前回のあらすじ〜
「ぬか床なら犬の代わりに飼えるかも!」ということで、家族の一員としてぬか床(命名:ぬか子)を迎えたインターン日野原。
日々少しずつ変化を見せる「ぬか子」との楽しい毎日に、早くもぬか床暮らしにはまりつつありました。
しかし、2〜3日ほど家を空けなければならないことになり、「ぬか子」の預かり手に困っていると、突如現れた救世主3人。
\\私たちが預かってあげるよ//

ということで、3人にはリレー形式で「ぬか子」のお世話をしてもらうことにしました。
せっかく「ぬか子」を家から出すのなら、いろんな経験をして欲しい。しかし、3人ともペットを飼った経験はあるものの、乳酸菌を飼うのははじめて。
「ぬか子」の運命はいかに……!?
ということで後編では、「ぬか子」のお世話をする3人の暮らしぶりをお届けします。
リレー完走後、ぬか子の異変
時は流れて、5月中旬。
私はぬか床リレーを完走した「ぬか子」と、3週間ぶりに再会しました。
「あれ? なんだこれ……ぬか子の様子がおかしい」

見た目の変化は全くないのですが
ぬか床リレーの最終走者であるエンジニアの丸山から、預けていたぬか子を受け取って、飼い主はすぐに気付きました。
「ん? あれ? ぬか子ってこんな臭いしたっけ……」

あの頃の純粋なぬか子はどこへ…
我が家にいた時は香ばしいぬかの香りがほのかに漂うほどでしたが、今の「ぬか子」はなんだかものすごい発酵臭がします。
この子は、私の知っている「ぬか子」ではありません。
3人に預けていたこの3週間の間に「ぬか子」に何が起こったのか。
その真相を突き止めるべく、私は、あらかじめ3人に記録をお願いしておいたぬか子の成長日記を読んでみることにしました。
ぬか子成長日記①~大城家~
はじめに「ぬか子」を預かってくれたのはライター大城。ゴールデンウィーク中にも関わらず快く預かってもらえたので、ものすごくありがたかったです。
しかし、彼女は大の納豆好きのとの噂……飼い主としては少し心配になりならが成長日記を読んでみました。すると……

あ、あれ? ものすごく丁寧に「ぬか子」を扱ってくれている。それにぬか漬けになった野菜たち、どれもつやつやとしてとってもおいしそうだなぁ。

自分の育てた「ぬか子」が他の家でもかわいがられていたと思うとなんだか嬉しい気持ちになります。
*日野原's ぬか床ポイント①*
大城もコメントしているように、食材によって絶妙に漬け加減の調整が必要になります。しかし、「この野菜は水っぽいから少し短めに埋めてみよう!」など、特徴に合わせて仕込み方法の調整をするのも、ぬか床暮らしの楽しみの一つではないかと思います。
ところで我が家にいた期間、つまり誕生してから1週間ほどのぬか子にはほとんど見た目・臭いの変化が見られませんでした。
しかし、大城が面倒を見ているうちに段々と発酵臭がするようになってきたそうです。
いろいろな野菜と出会うたびに、少しずつ「ぬか子」に変化が起きている……見えないところで「ぬか子」の中の乳酸菌も成長していっていたようです。
大城家滞在の最終日。なんと「ぬか子」は豆腐とれんこんを埋め込まれたようです!

豆腐のぬか漬け……なんとも聞き慣れない響きですが、チーズのようでおいしそう。
とても楽しそうな大城の日記を読んだ編集長中川からはこんなコメントが……
「ぬか子」に大きな変化が起きそうな予感です。
ぬか子、家族を持つ。~中川家~
飼い主の予感は的中しました。
「ぬか子」は、次の走者である編集中川の家で、子供を産んでいました。

野菜類を担当するのがぬかえ、その他の担当がぬかよだそうです
飼い主の知らぬ間に、人生ぬか床生の転機を迎えていた「ぬか子」。
*日野原's ぬか床ポイント②*
食材を漬けるたびにぬかが少なくなったり、水分が多くなってきたりするので、気付いたタイミングでぬかを足すといいかもしれません。ぬか床本体を作る際に、基本的なぬか床作りのメソッドについては学んでいるので、自宅でもスムーズにぬかを増やすことができますよ。
ぬか子ファミリーを増殖させることに成功した中川は、今までにない変わり種に挑戦していました。

「ぬかえ」にきゅうりを、そして「ぬかよ」にはなんと刺身類を仕込んだようです。刺身とは、なかなかリスキーなことをしたようですが、仕上がりはどちらもおいしそうですね。
ぬか漬けとおいしいご飯さえあれば、立派なお弁当に。これからの季節は、冷たいぬか漬けをつまみながら仕事をするのもありだなぁ……。
そして迎えた最終日。
お! 最後だから無難にナスのぬか漬けをつけたんだな? と思っていたら、なんと、豚肉をぬか床に仕込んでいました。お、おいしそう……。

これに味噌汁と小鉢があれば、定食として提供できるレベル
生肉をぬか床に漬けるときは自己責任で……とは思いつつ、「ぬか子」……やはり母になったことで肉をも包み込む強さが生まれたのね……。

こんな風に袋に入れて本体(ぬか子)とは別にして保存したようです
さて、中川の家ではぬか床の増殖など、たくさんの変化がありました。離れている間も「ぬか子」がたくさんの食材とふれあい、少しずつ成長していったことを知り、飼い主はとても嬉しくなりました。
この人たちになら、これから家を空ける時には安心して「ぬか子」を預けることができる。
そんなことを思っていた矢先、「ぬか子」のぬか生最大の事件が起きたのです。
ぬか子、反抗期を迎える。~丸山家~
「ぬか子」は最終走者であるエンジニア丸山の家へ引っ越しました。
丸山による初日の成長記録にはこんな言葉が……。
あぁ……ものすごく嫌な予感がします。
「ぬか子、どうにか生きて帰ってきて……」
そんなことを願いながら成長記録を読み進めました。
飼い主の予感は的中。やはりやってくれていました。

酒飲みのぬか漬け術……恐るべし
エンジニア的、仮説検証心(?)が出てしまったのか、なんと様々な食材を使って実験を行っていたのです!!
「まったく、ぬか子をなんだと思っているんだ」と思いながら写真をよく見ると……あ、あれ……なんだかおいしそう……(ごくり)。これは完全にお酒が進みそうです。
一晩漬けたお刺身たちが醤油いらずでおいしく食べられるなんて、やっぱり「ぬか子」は優秀だ!
でもやっぱり、飼い主としては複雑。自分の娘が年頃になりヤンチャな彼氏ができたような……そんな不思議な気分になりました。
そしてあっという間に最終日。初日からかなりヤンチャな食材を仕込んでいた丸山ですが、ラストは王道のきゅうりとゴーヤで締めたようです。

どうして「ぬか子」からすさまじい発酵臭がしたのか……成長記録を読んでいくなかで、なんとなく謎が解けた気がします。
私の知らないところで、「ぬか子」は少しずついろいろな野菜や人と触れ合いながら変化を繰り返し、ぬか子の中の乳酸菌は段々と成長していっていたのです。
まさに、かわいい子には旅をさせよ。かわいい「ぬか子」にも旅をさせよ。どこかで聞いた言葉通りになりました。
3人とも、とても大事に「ぬか子」をかわいがってくれ、またその暮らしぶりはすごく楽しそうでした。
しかし、筆者は日記を振り返るだけでは物足りなくなっていました。はじめてのぬか床との暮らしを通して、3人ともきっと今までにない発見があったはず!
ということで、最後にぬか子との暮らしについて語ってもらうことにしました。
ぬか床生活の魅力を振り返る
ぬか床と暮らすのは楽しい? それとも正直大変?
日記だけではわからなかったぬか床暮らしの魅力や苦労について、様々な角度から質問をしてみました。
Q. ぬか子との生活で一番大変だったことは何ですか?
かすかに変化する臭いと漬けた野菜の味でしか「ぬか子」の健康状態を把握することができないので、最初のうちは戸惑いますよね。
まさに小さな子犬を育てる時のような気分になります。
ちなみに、冷蔵庫に保存した場合はぬか床を毎日返す必要はないみたいですよ。「ぬか子」は優秀なのであまり心配はいりません。
Q. ぬか子との生活を通じて感じたことはありますか?
確かに、筆者もスーパーの漬け物コーナーに立ち寄らなくなりました。
Q. ぬか床暮らしを始めようとしている人へのアドバイスをお願いします。
筆者もニンジンを漬けてみて同じことを感じました。ベーシックな食材だからこそ、塩加減の調整や漬け時間の差が顕著に表れてしまうんですよね。ぬか床、奥が深いです。
Q. 最後に3人からぬか子へひと言お願いします。

* * *
ぬか床(=乳酸菌)は、イヌやネコのように鳴いたり、自分から餌を求めてきたりはしません。でも、毎日丁寧にお手入れをしてあげることで、少しずつですが、必ず変化を見せてくれます。
そんなところが、ぬか床と暮らすことでしか味わえない楽しさなのではないでしょうか。
いつかまたみなさまの前に「ぬか子」の成長をお伝えできるよう、これからも大切に育てていきます。
と、良い流れで終わらせようと思ったのに……納豆大好きのあのライターが……これだけで終わるわけがありませんでした。
つづきはこちら>>乳酸菌と納豆菌はどっちが強い?納豆ぬか漬けで確かめてみた。
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文=日野原有紗、編集=中川葵