お抹茶をいただくにはお作法が必須なのでしょうか。お作法も知らずにお抹茶をいただくのは邪道!? ましてや、「濃茶」なんて!
「私、実は今回とっても恐ろしいんです……」
そう言うのは、担当編集のおおしろ。というのも、茶道をたしなむ知人に、濃茶に関して軽い気持ちで尋ねたところ、見事に一蹴されたのだとか。
おおしろ:
「『いや、薄茶(おうす)の点前も満足にできないうちに、濃茶(おこいちゃ)だなんてナイナイ』って言われてしまって。言わんとしていることはわかる、けれども家でひとりで嗜むのだったら、気軽にやればいいじゃない。茶道って素晴らしい文化だとは思うの、だけど、でもサァあんなピシャッて言わなくてもさ……(どんどん声が小さくなる)」
著者わたなべ:
「わかった、ショックなのはわかったから落ち着いて(^^;)」
確かに、正式のお作法でいただくお抹茶は身も心も引き締まり、日常とは違う味わいがあることでしょう。でもここでは、あえて言わせてほしいのです。
おうちでこっそり、誰に気兼ねすることもなく、自分のために、とっておきのお抹茶を味わうのもいいじゃない!
お道具も、茶筅以外はとりあえずありあわせ、家にあるものでいいんです。
そんなわけで今回は、お抹茶のなかでも特に抹茶好きに愛される、「濃茶(おこいちゃ)」に挑戦してみます。
とにかくすごい抹茶を使ってみる
今回、使用するのは、愛知県豊田市の石川龍樹さんの抹茶。

石川さんはこれが「究極のシングルオリジンオーガニック抹茶」であるとおっしゃいます。まるで呪文のような抹茶です。とにかくすごそう。
商品詳細には、
抹茶3種(並・上・特)の中の最高級品です。渋味が少ないため、点てて飲むのに適しています。
とあります。
お茶の濃度が高い濃茶には、渋みの強いお抹茶は向きません。甘みが強く、渋みが少ない抹茶を選ぶのがコツとのことで、このとにかくすごい抹茶がぴったりなはず……!
濃茶にすると、どんな味になるのでしょうか。
薄茶は点てる。濃茶は練る?
薄いか濃いか……薄茶と濃茶の違いは、単純に言えばそういうことなのですが、一度おさらいしておきましょう。
- 薄茶の点て方: 茶杓に1杓半(1.5~2g)の抹茶をお湯70mlに溶かしこむ
- 濃茶の点て方: 茶杓にたっぷり3杓(3~4g)の抹茶をお湯40mlで練る
というのが目安です。
薄茶は「点てる」、濃茶は「練る」というそうです。お湯の温度はいずれも80℃くらい。お湯差しで少し冷まします。
濃茶は練るとのことなので、平らな底の器がよいのでは?と思い用意しました。

今回使う器、実は100均のものです。おうちでカジュアルに楽しむのであれば十分だと思います。でも、だんだん欲が出て良いお抹茶碗がほしくなるのは……いたしかたなしでしょう(笑)。
抹茶を器に入れる
ここで重要なポイントです。お湯はいっきに入れてはいけません。少しずつ分けて入れます。


粉っぽさがなくなるようにひたすら練ります。
薄茶を点てるときのようにシャカシャカ泡立てません。ただし、茶筅の先をグイグイ押しつけるように力を入れるのではなく、やさしく練ります。

とろとろになりました。

お湯を足しながら練り続けます。
あまり見映えは良くありませんが、濃茶完成。

お菓子と一緒にいただきます。

邪道かもしれませんが、お菓子は北海道の人にはおなじみの中華まんじゅう。どら焼きの皮を薄めにした感じのものに、こしあんがぎっしり詰まっています。
濃厚なお茶の香り。口の中に入れた瞬間、目が覚めるような味が広がります!
これはなんだ!? 早緑の若葉が体の中に入っていくようです。
よく考えたらお茶も緑の葉っぱからできているもの。
当たり前と言えば当たり前ですが、お茶の葉のチカラがそのまま飲み物になったかのようです。今まで飲んできたお茶とは全く別の飲み物です。
正式にはご法度? 薄茶もたのしむ自宅お茶タイム
さて、濃茶を半分くらい飲んだところで、もう一度お湯を足します。
この時のお湯の量は残っている濃茶に合わせて適宜で。茶筅でシャカシャカと点てたら、薄茶として味わうことができちゃうのです。
こちらも本来のお作法からすれば、許されないことかもしれませんが、自分だけのお楽しみということで目をつぶってもらいましょう。
ところで「究極のシングルオリジンオーガニック抹茶」って何?
さて、一服したところで気になるのは、
究極のシングルオリジンオーガニック抹茶
とにかくすごそうな名前通りの、若葉がそのまま体に染み渡っていくような香り高さと濃厚さを味わったところで、浮かび上がってくる疑問は数知れず。
何が究極なのか、シングルオリジンとは何なのか……?
改めて生産者の石川龍樹さんご本人に教えていただきました。
つまり……
- 究極のシングルオリジン=単一品種/単一家族/単一畑
- オーガニック=有機JAS認証取得
ということなのだとか。
名前の由来が判明したところで、このお抹茶の歩んできた歴史について聞いてみました。

お父様の情熱を受け継いだ「究極のシングルオリジンオーガニック抹茶」は、2002年頃から世界的にも評価されはじめたと言います。
一方で頭を悩ませる問題も。というのも近年、国内では安めの価格帯の抹茶が多く消費される傾向にあり、たくさんの手間をかけた石川さんの抹茶は売り上げが芳しくないのだとか。
と懸念する石川さん。
確かな品質の抹茶は、安さを重視した国内市場では評価されることなく、品質重視の海外市場へ流出してしまう。現状のままいけば、そんな奇妙な構図が成り立ってしまう可能性もあるのです。
日本の良いものが海外の方たちに認められ、味わってもらえるのは、うれしいことではあります。でも、その前に、日本にいる私たちが「本当に良いもの」を知らないのはもったいない!
とにかくすごそうな「究極のシングルオリジンオーガニック抹茶」は、味もさることながら、石川家2代のお茶に対する情熱と心意気、愛情がたっぷりつまった抹茶でした。
濃厚なお濃茶の味には、石川親子の思いも凝縮されていたのですね。
石川さんの究極のシングルオリジンオーガニック抹茶の出品はこちら
石川龍樹さんの出品をもっとみる
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わたなべひろみ
1968年、北海道生まれ。設計デザイン、商品開発などに携わったのち、宣伝会議 編集・ライター養成講座 上級コース 米光クラス第7期受講。修了後ライターとして活動。現在、札幌国際芸術祭2017【大風呂敷プロジェクト】に運営サポートとして参加中。