きゅんとする甘酸っぱい香りと艶やかな赤色の果実、イチゴ。
そんな幸せの果実が目の前いっぱいにあれば、老若男女問わず誰もが笑顔になってしまうのは当たり前です。
2018年仕事はじめから数日経ったある日、ポケマルオフィスに春の足音を感じさせる幸せなお届けものがありました。
静岡市久能地区でイチゴ農家を営む川島寛さんが育てたイチゴ「あきひめ」です。

一般市場への流通不可!? とびきりの甘さ・完熟あきひめ
海と山に囲まれ静岡県の中でも特に暖かい久能地区では、明治時代からイチゴ栽培が行われてきました。
「あきひめ(章姫)」はこの地で作出されたイチゴ品種。果肉は柔らかく、酸味は少なく、完熟したときに味わえる濃厚な甘みが特長です。
しかし一方で、美味しいがゆえのデメリットも。
完熟した実は非常に柔らかくデリケートなので、一般市場に出すことはできないのだとか。イチゴ狩り向けに栽培されることが多く、スーパーではなかなかめぐり会えない味なのです。
おいしいのに一般流通にのせられないとは、なんともったいない……!
とてもデリケートな逸品をポケマルで販売することにした生産者・川島さん。「発送したイチゴの状態や痛み具合をテストしたい」ということで、ポケマルオフィスにイチゴを送ってくださいました。
愛情込めて育てたイチゴが、どんな形で消費者まで届くのか。口に入るその瞬間までを気遣うその姿勢に、ポケマルスタッフ一同思わず感動です。
川島さんが撮影した発送前のいちごの写真がこちら。つやつやでしっかり赤く色づいています。

静岡から東京までは、発送の翌日に届きます。
イチゴを東京のポケマルオフィスで受け取ったのは午前11時半ごろ。即開封して状態チェックをはじめました。

パッケージには①から④までの番号がふられていました。番号ごとにどんな違いがあるのかは明かされていませんが、パックごとの状態を確認します。
収穫からたったの1日……ですが、イチゴどうしの接触部分はすこし白くなっていますね。

隅々までイチゴの状態をチェックし、川島さんへ写真を送ります。
急遽はじまるイチゴ品評会…という名の試食タイム
ひと通りイチゴをチェックし終えたスタッフ。いつの間にか社内全体に甘い香りが広がり、思わずヨダレがこぼれそうに…。それではお楽しみの試食タイムの開始です!
ただ食べるだけじゃつまらない、ということで即興イチゴ品評会を開催することとなりました。①〜④までそれぞれ味見をし、アレヤコレヤ語り合い決選投票を行います。

「うわあ濃厚! 柔らかい」
「むむ、このお皿のイチゴの方が甘みが強い気がする」
メンバーひとりひとりが全身全霊で味覚に神経を研ぎ澄まします。

「え、食べてるうちにわかんなくなってきた……」
「あれ、これ何番だっけ」
「…ぜんぶ、おいしい」

その濃厚な甘み&クリーミーな果実に舌がどんどんメロメロに。筆者はすでに「それぞれの味の違いはわからないが、とにかく美味しくて手が止まらないモード」に突入していました。
ということで、美味しかったイチゴの番号にヘタを置いて投票です。①〜④に加えて「どれもうまい(青い付箋)」という、迷える子羊を救済する選択肢も与えられることに。
そして結果はこちら!

なんと大人気だったのは③のイチゴでした。「③は甘みがとりわけ強かった気がする」という意見が多数。一方、筆者を含めた3人は「どれもうまい」と大きく頷きます。
「おいしさ」と「きれいさ」どちらが大事?
後日、川島さんから1通のメールがとどきました。
“たくさんの写真、ありがとうございます。かなりの傷みを確認できました。想定の一番悪いあたりです。アドバイスに従って本日、商品登録しました。”
正直、ポケマルスタッフはこれくらいの傷みは完熟収穫ならあたりまえと思っていたのですが、川島さんにとっては「かなりの傷み」だったのですね。。
その結果生まれた出品がこちら。テストでは常温便で発送したところを正式な出品ではクール便に変えたのだそうです。
商品説明文に、傷みに関するご注意も明記してくださっています。

青果物の販売経験のあるポケマルスタッフがこう話していました。
「おいしいイチゴを食べたいなら、完熟のイチゴを畑で摘んですぐに食べるのが一番です。だから、畑まで行かずにおいしいイチゴを食べたいときも、『完熟で収穫したのを送ればいい』と思いますよね。
でも、そううまくはいきません。
完熟イチゴはとてもデリケートです。畑から市場へ、市場から小売店へ、運ぶ過程で時間がかかるのはもちろん、輸送中の振動や、イチゴどうしの接触ですぐに傷んでしまいます。
傷んでしまうと、スーパーでは売り物にならなくなります。
痛みが出ないようにするには、イチゴがまだ固い未熟なうちに収穫して発送しなければなりません。しっかり色づいてないうちにもぎ取っても、輸送中にだんだん色づいて、売り場に並ぶときにはだいぶ赤くなっています。
でも、それは見た目だけのこと。本当の完熟収穫のイチゴのおいしさには、到底かないません。(詳しくは、福岡県のくわの農園さんがこちらの記事で説明してくれています:[赤ちぎりって何?]完熟イチゴをお届けする工夫)

川島さんのいちごハウス。この中から適熟のものを選んで収穫する。
『本当のイチゴのおいしさを味わってほしい。喜んでほしい』
そう思う農家さんは、【おいしさ】と【きれいさ】の葛藤を抱えています。
お客さんに許容してもらえるギリギリの収穫適期を見極め、梱包を工夫し、配送業者さんに気をつけてもらえるようにわかりやすくして……。そこまで気をつかっても、ときどきお客さんの許容範囲を超えてしまうことがあります。
もしも、届いたイチゴが傷んでいると思ったら、まずはおちついて農家さんに相談してみてくださいね。『これくらいの傷みはでるものでしょうか?』と。お客さまのことを思う農家さんは、ちゃんと答えてくれますから」
川島さん、ごちそうさまでした!
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おゝしろ実結
writer&editor&illustrator 自転車や地域文化、芸術を専門に執筆。東西奔走、自転車に荷物を積み離島へひっそり渡航するのが生きがい。2012年に短編小説『常套的ノスタルジック』が筑波学生文学賞 大賞を受賞。2016年執筆のルポルタージュ『ワニ族の棲む混浴温泉』が宣伝会議 編集ライター講座大賞を受賞。他、自転車雑誌やグルメ系Web媒体など幅広い分野で執筆を行っている。旅のイラストなども随時発表中。公式サイトmiyuo10qk.wixsite.com/miyuoshiro