「そばってどうして『打つ』っていうんだろう?」
退職したお父さんたちの新たな趣味に選ばれることも多いそば打ち。自宅でおいしいそばをいただけるのはうれしいものです。
それにしても、なぜそばは「打つ」?そんなことを考えつつ、そば打ちに初挑戦することになりました。
今回は神奈川県秦野市の桐山清さんの「はだの新そば粉」をお取り寄せしました。新そば……絶対、良い香りに違いない!

たっぷり1㎏。ほんのり薄緑色です。
調べるほど高くなる…そば打ちのハードル
とにかく初めてのそば打ちなので、インターネットで打ち方のコツを探し求めました。
「自宅でもかんたん」「今すぐできる」などの方法が出てくる一方、「うまくまとまらず、そばにならなかった」「茹でる時、そばが切れる」とネガティブな情報も。
まずは、落ち着いてポイントをまとめてみます。
①なによりまずは「水回し」
「水回し」とはそば粉に水を加えること。このタイミングによりそば粉がまとまらなくなることがあるようです。いちどに入れず、2〜3回に分けること。
②乾燥に注意
そばが切れる原因のひとつは乾燥だそうです。包丁で切ったあとも乾かないようにラップをしておく。
③手早くスピーディーに
はじめる前に、粉・水・道具の準備をしっかりしておく。そば打ちの途中で間があかないように。
「十割そば」は憧れですが、初心者は「二八そば」(そば粉八割・つなぎの小麦粉二割)で修業します。
道具は家にあるものです。大きめのボール、計量カップ、めん棒、パン捏ね用の帆布、包丁。これだけ用意すれば大丈夫でしょう。
準備万端! いざ、そば打ち!!
そば粉と小麦粉を量り、ボールへ。よく混ぜます。

混ぜムラがないように
水を少しずつ、全体に行き渡るように入れて、まとめていきます。

この感触、何かに似てる?
パン生地を捏ねる時と一緒ではないですか! そば、そば……と緊張していましたが、同じ粉もの。ふっと肩の力が抜けました。この時点で、ふわっとそばの良い香りが。
まとまってきたら、しっかり捏ねます。

しかし次第にパンの時とは違う事態が。
とにかく、硬い! 力がいる。どこかに打ちつけたいくらい……おや? もしかして、そばを打つというのは、ここからきているのでは?
こんな感じでいいのかな……というところで、伸ばすために移動します。

パン捏ね用の帆布に軽く打ち粉をしておきます。

円錐状になったてっぺんをぎゅっと押しつぶすようにして、平らにします。

そして、ひたすら伸ばします。全体が四角くなるように伸ばしていくのがポイント。

なかなか四角くならない……
伸ばしたところで、まずは上下に半分に、横方向は左右から1/3の位置でたたみます。

できるだけ細く切ります。もう少し薄く伸ばせばよかった……。

なんとか、そばらしくなりました。麺としての形は整っているようです。すぐに乾燥防止のためにラップをかけて、茹でましょう。

完成!

ちょっと太めなのは、ご愛敬。そばつゆにつけずに噛みしめると、香りと甘みが口の中に広がります。

どんなに不格好でも、自分で打ったそばはウマい! 本当は良質のそば粉だから、ですが。
晩酌はそばづくしで
初めてのそば打ちが成功に終わりほっとしましたので、夜はそばづくしで晩酌と相成りました。

そば味噌

そば味噌は、正式にはそばの実で作るものですが、なんとかそば粉で出来ないか挑戦してみました。
味噌と砂糖、みりん、酒を練り上げたところに、炒ったそば粉を投入。そば粉の分量が少し多かったため、仕上がりが固くなってしまいましたが、味噌とそば粉の甘みがちょうどよく合って、日本酒がすすみます。
そば豆腐

そば豆腐は、そば粉と片栗粉を水で溶いて加熱、とろみがついたものを型に流して冷やしたもの。
本来はくず粉を使うレシピが一般的なようですが、片栗粉で代用しても、十分プルプル、もちっとした食感。わさびを添えていただきましたが、柚子胡椒でもおいしいでしょう。
そばがき

そば粉料理の王道、そばがき。そばつゆを器に張って。そばとは一味違うやわらかさは、胃腸が疲れている時でもよさそうです。
そばぼうろ
最後にデザートも。

そばぼうろです。こちらもそば粉、砂糖、卵、すりごまを粉っぽさがなくなるまで混ぜて、焼くだけの簡単おやつです。
* * *
初心者でも、特別な道具をそろえなくても、おいしいそばを打つことが出来ました。
コツは焦らないこと。そのためには、始める前の準備をしっかりしておくこと。打ち始めたら躊躇しないこと、でしょうか。
「失敗してもいいや」くらいの気持ちでチャレンジしてみてはいかがでしょう。
ちなみに、なぜ「そばを打つ」というのか。
昔、まとめたそばの生地を木槌で「打つ」行程があったことから、あるいは、中国で餅や麺を作ることを「打つ」と表現したことからきているそうです。
なるほど、やはり生地は確かに硬かったのでした。実際、手を動かしてみて実感できることがあるものですね。
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1968年、北海道生まれ。設計デザイン、商品開発などに携わったのち、宣伝会議 編集・ライター養成講座 上級コース 米光クラス第7期受講。修了後ライターとして活動。現在、札幌国際芸術祭2017【大風呂敷プロジェクト】に運営サポートとして参加中。