2020年1月下旬。
今まで出会ったことのないちょっと変わった食材を求めてポケマルの出品を眺めていた編集部員Aが、気になる出品を見つけました。
「アピオス」という名前に、なんとなく南国の果物を想像しつつ商品紹介部分を読み進めてみたところ
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イ、インディアンの戦闘食!??
少なくとも果物ではなさそうだな……。ねぇアピオス、あなたは一体ナニモノなの?
しかも、1〜2月限定と書かれているではありませんか。
これは急いで購入して、実際に見て、触れて、観察してみなければ……!
ということで、今回は「インディアンの戦闘食」とも呼ばれているアピオスをじっくり観察してみることにしました。
これがアピオスだ!

レターパックで届いたのはころころとした茶色いもの。なんだかピーナッツのようにも見えます。これがアピオスなのか。
こちらは青森県下北郡にお住まいの園山和徳さんからポケマルで直接購入したものです。
大きいピーナッツのようにも見えます。これがアピオスなのか。

離れてみると小さなラグビーボールのような形をしていて、ラグビーにわかファンの筆者はすでにワクワクしています。
なんだかこの子たちかわいいなぁ。
さて、じっくりと観察をしていきましょう。
アピオスの表面は茶色く、不規則的なシマシマ模様。ところどころに窪みがあります。

こちらは蔓についていたと思われる側。つまりアピオスの"おへそ"ですね。

届いた中で最も大きかったアピオスを手に持ってみます。

小さめのジャガイモのようにも見えますね。肌はジャガイモよりもすべすべとしていて、硬いです。
重さを量ってみたところ、小さめのアピオスはひとつ6gほど。

個体差はありますが、大きめのアピオスはひとつ25gほどありました。

猫も触りたくなる不思議食材アピオス
- アピオスの基礎知識 - アピオスは、北アメリカ原産のマメ科ホドイモ属の植物。「アメリカホドイモ」とも呼ばれる。19世紀ごろまでネイティブ・アメリカンが食べていたという説があり、ジャガイモとの比較では約30倍のカルシウムを含むといわれています。 参考:コトバンク「アメリカホドイモ」, 下北アピオス振興会ホームページ |
さて、中身はどのようになっているのでしょうか。

だだんっ
硬くて切りにくいかな? と思ってましたが、さくっと簡単に切れました。

さくっ。
中身は滑らかで真っ白でした。やっぱり小さなジャガイモのようです。

ただ〜ん
よく見ると、切り口から白い汁がしみ出しています。
- アピオスの品質チェック -
園山さんから購入したアピオスはとてもきれいな状態でしたが、念のためいちど水で洗いつつ、品質チェックをします。
流水で洗うのではなく、水を張った深めのボウルにアピオスを入れるのがポイントです。

この時に水に浮いてくるアピオスがあれば、そのアピオスは良い状態ではありません。取り除きましょう。また、洗ったり削ったりしても取れない汚れがあったり、柔らかくなっているものも同様に取り除きます。
品質チェックが終わったらざっと流水ですすいでザルにあげます。
※今回のアピオスの中には品質の悪いものはひとつもありませんでした。
アピオスはどんな味がするの?

観察・調査をしてみて、アピオスがどのような植物なのかなんとなくわかりました。でも味はさっぱり想像がつきません。
芋のような味なのか、それともマメっぽいのか……。「生食不可」とのことなので、試食も加熱して行わなければなりません。どうやって調理したらいいんだろう?
生産者の園山さんによると、
とのこと。ということで、今回はおすすめの食べ方両方チャレンジしてみました。
- 蒸してみる -

まずはプレーンな味わいをチェックするべく、電子レンジで蒸してみます。レンチンはとにかくアピオスを簡単に早く食べたい!という時にもおすすめの調理法です。
アピオスを電子レンジ用の蒸し容器に入れ、蓋をします。700Wの電子レンジで2〜3分程度温めます。
※アピオスの爆発が心配な方は、アピオスの皮に切り込みをいれたり爪楊枝で穴を開けておくと良いでしょう。

串や爪楊枝がすっと刺されば食べ頃。お好みで塩やこしょうをつけて完成です。
\完成/

左にあるピンクのものはローズソルト(岩塩)です。
ほくっとしていて、素揚げとはまた違った甘みを感じられます。
ジャガイモに似た見た目ですが、味わいはサツマイモの方が近いと思いました。生落花生を茹でたときのような風味もあります。
塩以外にマヨネーズにつけて食べてみましたが、マイルドさが増して、まるでスイートポテトを食べている時のような味わいがしました。

電子レンジさえあれば、簡単に楽しむことができるのもいいですね。
- 揚げてみる -
園山さんイチオシの素揚げにも挑戦……と思ったのですが、油をたくさん使うのは気が引けてしまい、少なめの油でできる「揚げ焼き」にすることにしました。
【ご注意】洗いたてのアピオスを使う場合、アピオスについている水気をキッチンペーパーなどでよく拭いてくださいね。水が残っていると油がはねて危ないです。
小さめのフライパンに、底全体に行き渡るくらいの量のオリーブオイルいれて熱し、油が温まったらアピオスを入れます。

試食用に少なめの量で
全体が満遍なく揚がるように菜箸で返しながら、アピオスを見つめます。油断すると焦げてしまうだけでなく、アピオスが爆発して危険ですのでご注意を。
素揚げの場合、園山さんが同封してくれたレシピブックには「180℃で5分」とありましたが、アピオスの大きさや調理器具やいちどに作る量によって加減が必要です。
今回は約2分で全体が黒くなり始めたので、この段階で油からあげました。油を切ったらアピオスが熱いうちに塩をふりかけて完成です。
\完成/

好みにもよりますが、今回は塩を多めにつけてみました。
これがうんまい。
電子レンジ蒸しよりも甘みが強くなったように感じます。塩とアピオスのぎゅっとした甘みが合わさって、何個でもいけそうです。
この味、なぜかどこかで食べたことある気が。あ!これは………「某”夢の国”売られているキャラメルポップコーン(を食べている時の感覚)」に似てる!
高温でアピオスの糖分がカラメル化されたことによって、キャラメルポップコーンのような風味を感じたということでしょうか……?
※下北アピオスのホームページに書かれているアピオスの栄養成分表によれば、アピオスは全体の3割が炭水化物(糖質)となっています。
アピオスおいしすぎる。これなら何個でも食べられる……と思いつつ、園山さんのコミュニティで先人たちの投稿をチェックしてみます。
ああ、素揚げしながらビールとか最高だよ。

おゝしろさんの投稿より
アピオスとクリームチーズという魅惑的なデザートまであるじゃありませんか。投稿者は園山さん。さすが、アピオスの名産地。

園山さんの投稿より
「素揚げ、蒸し以外にもいろいろなアレンジで楽しめそうだ!」と想像を膨らませていた筆者ですが、おっといけない、園山さんの注意書きのことを忘れていました。

・アピオスは精が強いので、一度に食べ過ぎると体調を崩すことがあります。(何事も過ぎたるは及ばざるがごとし)
・1日に30〜50gが目安とされています(年齢や体格によって異なります)
とのこと。
すでに食いしん坊の心が読まれていたようです。食べ過ぎには注意したいですね。
アピオスの謎、解明!
と、いうことでアピオスの謎が解明しました。
ーアピオスはこんな食材だ!ー 外見:一粒5〜25g程度と小さめで、ラグビーボールのような形をしている 触感:スベスベとしていて硬い 香り:生の状態では香りは全くない 総合的な味わい:蒸すとホクホクで、サツマイモのように甘く、生落花生のような風味もある。揚げるとカラメルのような風味で更に甘みが強くなる。ビールのお供にもおやつとしても楽しめる。
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「インディアンの戦闘食、アピオス」というキャッチコピーからは、どんな強そうな食材が届くんだ? なんて思っていましたが、ころころっとかわいらしく、どんな食材にも合う不思議な食材に出会ったのでした〜。
* * *
今回は謎の食材アピオスをとことん観察してみました。
しか〜し! まだまだ私たちが知らない食材はたくさんあります。これからもおいしい食材を求め、食権(?)を乱用し、観察を続けていきます!
関連出品
◎青森県佐井村から届く生アピオスは、1〜2月だけの限定販売。在庫なくなり次第売り切れですので、おはやめに〜🏉
◎生が終わったら蒸し冷凍も。
◎アピオスの花茶もあります。
園山和徳さんの出品をもっとみる
文=日野原有紗、写真・編集=中川葵