こんにちは、ポケマル編集部インターンの金澤です。みなさんは「イセエビ」を知っていますか? 知ってますよね。知らない人の方が少ないですよね。
あの言わずと知れた高級食材「イセエビ」です。日本では縁起ものとされ、ご祝儀や正月飾りになっているアレです。
私、金澤22歳。実はイセエビを食べたことがないんです。ましてや、貧乏ひとり暮らし大学生にとってイセエビは縁遠い食材。でもでも、一度は食べてみたい。
そんなことを考えながらポケマルの出品画面をながめていると……。
!?
伊勢海老をチェックする
私の心の声が届いたのでしょうか。売っていました、イセエビ。出品者は、静岡県の藤井美帆さんです。
伊豆の海で育ったイセエビたちと目が合ってしまいました。特にめでたい日というわけでもなく、何かおめでたいことがあったわけでもありません。……が、物は試し、言ってみました。
毎日質素な食生活を送っている貧乏大学生が、ついにイセエビを食べる! 今回は、金澤のイセエビ初体験レポートをお届けします。
初回公開日:2019.01.03. 最終更新日:2020.09.22.(商品リストを更新)
イセエビ、開封の儀。
数日後、ポケマルオフィスへ丁寧に梱包された発泡スチロールの箱が届きました。
「ゴソ…ゴソ…」
なにやら箱の中から音がします。ビクビクしながら恐る恐る箱を開けてみると……。
\ バーン!/
\ バーン!!/
生きてる!
楽しみにこの日を待っていましたが、実際に現物を見て感じたのは恐怖。人って、見慣れないモノを見ると恐怖するんですね。こんなに大きな海老が生きているという現実を受け止めることができません。
中川が無邪気に箱から出すと……
ワラワラワラワラ……
ひええええええ!!!!
大都会新宿のオフィスの一室とは思えない光景になりました。尾びれをばたつかせ後退しながら暴れ狂うイセエビたち。恐怖し、なにもできないまま慌てふためくポケマル編集部員。
あれ、今日って楽しくイセエビを食べる日だったはずだよね……。
イセエビの鳴き声を聞く
はじめはイセエビの襲来に驚きを隠せませんでしたが、慣れとは恐ろしいもので……。あんなに怖かったイセエビが、眺めているうちにかわいく見えてきました。
普段あまり見ることのできないイセエビ、この機会にじっくり観察してみましょう!
見てください、この立派な姿を! まるでプラモデルのような光沢。
イセエビはその鎧を着けた武士のような見た目から、別名「グソクエビ(具足海老)」とも呼ばれているのだそうです*。
正面からイセエビのお顔をのぞいてみる
つぶらな瞳で、ときどきこっちを見てくる!
思わずイセエビに恋心にも似た感情を抱いてしまった……
ビィィィィィィィ
ん?
ビィィィィィィィ
まさか……
\ ビィィィィィィィ!/
耳をすませば……
そのまさか、イセエビは鳴くんです。正確に言うと、威嚇する際に第二触覚の根元にある発音器から音を出すんです*。
うんうん、そうかそうか。魚は鳴かないけれど、おまえは鳴いてくれるんだね……オヨヨ。不思議と手に馴染むというか、謎のフィット感。完全にイセエビに心を奪われてしまいました。
*参考文献:からだにおいしい魚の便利帳 , 藤原昌高著, 高橋書店
イセエビの捌き方
イセエビたちと戯れるのもここまで。ここからは弱肉強食、大人の世界。容赦なく捌いていきたいと思います!
……と、威勢良く心を決めたは良いものの……。
普段、簡単な料理しかしていない金澤にとって、イセエビを捌くのはハードルが高い。ポケマル編集部にもイセエビを捌いたことのある者はいない……。
元気なイセエビを眺めながら途方に暮れていたそのとき。
シャキーン
キッチンばさみを片手に登場したのは、北海道在住のライター、わたなべひろみさん。わたなべさんは、これまでポケマルマガジンでさまざまな魚を捌き、美味しそうな料理記事を書いてくださっています。
そうなんですね……。それにしても、なんという心強い助っ人。
①氷水で冷やす
イセエビを元気な状態で捌くのは至難の業。捌く前に氷水へ入れてイセエビを弱らせます。汚れを落とす目的もあります。
水が冷たすぎてイセエビを洗う手が冷え冷え
完全におとなしくなったイセエビ。あとはまかせてね。ごめんよ……。
このような桶に入れることで高級感が出ます
②頭と胴体を切り離す
用意するもの
○キッチンばさみ
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○細めのナイフ(今回は牡蠣剥きナイフを使用)
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○氷水を入れたボウル(万が一イセエビが動き出したら冷やして弱らせる用)
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イセエビ解体セット
まずは背中側から頭と胴体の隙間にナイフを入れ、ザクザクと一周するように切り込みを入れていきます。
今回は牡蠣剥きナイフを使いました。ステーキナイフなどでも大丈夫そう
ひっくり返してお腹側からも同じようにナイフを入れていきます。
金澤もわたなべ先生に教えていただきながら捌いてみます!
最後はねじって切り離します。
ねじって……
「とれたあ」
頭を切り離してもピクピクと動く胴体に生命の不思議を感じました。
と、ここでここぞとばかりに他の編集部メンバーも集まってきました。ここからは編集部チームで共に捌いていきます。
まずは「イセエビ慣れ」していない女子、日野原!
恐るおそる……
といいつつあっさりと解体終了。海老が泡を吹くほどの腕前。
パキッ
③身を取り出す
【腹殻を剥がす】
お腹側の殻(腹殻:ふくかく)を剥がします。体の横に付いているビラビラ(腹肢:ふくし)を切り落とします。
殻と身の間にはさみを入れて、背中側の殻(背殻:はいかく)と腹殻を切り離します。左側も同じく切り離します。
背殻と腹殻を切り離したら、腹殻をつまんで身を押さえながら思い切り引っ張り、身から殻を剥がします。
「もうこれ以上剥がせない!」というところまで剥がしたら、はさみで腹殻を切り落とします。
【背殻を剥がす】
イセエビ捌きにおいて、この行程が一番の難関と思われます。身と殻の間に親指を入れ、少しずつ身を剥がしていきます。
自分に暗示をかけながら慎重に作業を進めます。
ぺりぺり
上手く剥がせそう!
腹殻と同じように、端まで剥がしたらはさみで背殻を切り落とします。
できた!
みかん大好き女子、インターン尾形も挑戦。
ぺりぺり〜
背殻から身を剥がすのに苦戦する尾形
みかん大好き女子に言わせると、イセエビの殻を剥がすのは難易度文旦レベルなのだそうです。
殻を剥がしたイセエビの身は、まさにお寿司屋さんで出てくる寿司のネタのような見た目。通常の海老の2倍もありそうなくらいの大きさに驚きすぎて、テンションがおかしくなりそうでした。
【背わた取り】
背わたを取ります。背わたは海老の消化管なので、取り除かないと臭みやジャリッとした食感を感じるそうです。
引っ張るだけでツルンときれいに抜けました!
【薄皮をはがす】
身は赤く薄い皮で覆われています。
白い身の部分まで剥がれてきてしまうので、注意力が必要です!
無事に薄皮を剥がすことができました
見てください!この綱のように発達した筋!活きの良さが伝わってくるようです。
実際に食べてみよう
イセエビ捌き体験を終えたインターン3人。生きものを自らの手で捌くという初めての体験でしたが、わたなべ先生の指導の下、上手に捌くことができました。
最後は、自分たちの手で捌いたイセエビを、責任を持ってお刺身でいただきます。今回は姿盛りに挑戦です。
盛り付けも自分たちの手で行います
完成!
これは……。おもわず笑ってしまいそうになるくらいの貫禄。あらためて「イセエビは高級食材なんだなあ」と感じました。そして……。
\ いただきます!/
ありがとうイセエビ。
箸にズシッとくる重み、遠近感が狂いそうな身の大きさ。
「うんんまああ」
あまりの美味しさに、みんな「うわー」とか「美味い」しか言葉が出てきません。この美味しさは、自分たちが持つ語彙力では表現できないレベルです。
愛おしすぎるあの人に対して「好き」だけじゃもの足らないのと一緒ですよ。
* * *
金澤の「イセエビ食べてみたいなあ」から始まったイセエビ体験レポート。北海道からわたなべさんが捌き方を教えに来てくださり、みんなで楽しく捌いて、贅沢にお刺身で食べて。終始幸せでした。
わたなべ先生、ありがとうございました!
「イセエビくらい食べたことあるよ〜」というリッチな方も、生きた状態のイセエビを自分で捌いてみたら、また違った感動を味わうことができるかもしれませんよ。
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おまけ
金澤をはじめとするインターン大学生たちが帰った後、ポケマル編集部の大人たちのお楽しみタイム。イセエビのガラを使って一品作ります。
頭を縦に切ります
パカッ。
味噌がきれいにたくさん入っています!
グリルで焼いてからお味噌汁にしていただきました。
最後まで余すところなくいただきました。イセエビさん、漁師の藤井さん、ありがとうございました!
文=金澤善空、編集・写真=中川葵