マグロを一流フレンチシェフが調理したらこうなった

これは、なんでしょうか。


これは、マグロのグリル。with タプナードソースです。


マグロは青森県深浦の漁港で水揚げされ、その後数日の熟成期間を経て、ここ東京に届けられました。東京とニースで一流シェフとしてお店を構える松嶋啓介さんのお料理教室がこれから始まります。


松嶋啓介さん

20歳の頃に渡仏、修行を重ねた後、25歳でご自身のお店をニースでオープン、その後ミシュラン一つ星を獲得するなどの功績を残されています。現在、ニースと東京にて「KEISUKE MATSUSHIMA」のオーナーシェフを務めています。料理のルーツやコンセプトに焦点を当てた料理教室は好評を博しています。


ヨーロッパでは魚を生で食べる習慣はなかった

日本では刺身や寿司など、魚を生で食べるのは昔からの当たり前、新鮮で美味しい魚ならなおのこと、「生で食べたい」というのが日本人。

しかし、今でこそ寿司も諸外国で食べられるようになりましたが、もともとヨーロッパでは魚を生で食べることは「野蛮」だと考えられていました。

今回はマグロの赤身の部分を使用。フライパンに油を入れ、両面をしっかりと焼きます。

焼いて食べる。これが基本だったそうです。


日本で「生のマグロ+醤油」が美味しい理由

松嶋さんによると、「旨味」というのは、グルタミン酸とイノシン酸の掛け合わせだと言います。美味しく食べられる秘密はそこにありました。


日本では漁師さんがマグロを釣り上げた後、必要な処理をして4~5日間寝かせて熟成させています。

この熟成によって、まず旨味成分として欠かせない「イノシン酸」が生成されます。絞めた直後よりもある程度の時間をおいた方が旨みが増すのだそうです。

そこへグルタミン酸である醤油が掛け合わさることで「美味しい」と感じるのだそうです。

(今回青森県深浦から漁師さん自らが持ってきたマグロは熟成されているから、生で十二分に美味しい!しかし今回は「ヨーロッパ流」に火を通していただきます。)


ヨーロッパでは別の方法で「旨味」をつくる必要があった

一方、焼いて食べるのが習慣だったヨーロッパ。そもそも、獲った魚を出荷する前に熟成させるという習慣もありませんでした。


ではそんな旨味成分の出ていない魚を焼いて調理しようというとき、「美味しさ」決め手になるのはソースです。


今回はアンチョビとオリーブの入った、南仏料理でよく使用される「タプナード」というソースを作りました。

このソースには先ほどの旨味成分であるグルタミン酸とイノシン酸が含まれています。


これが焼いたマグロの味を引き出し、「美味しい!」と感じる料理になるのです。


シンプルに両面をグリルしたマグロにタップナードソースをつけていただく。口の中でマグロの素材の味と、タップナードの旨味が合わさり、まさに「絶品!」の味です。


現代は過度な味付けで調味料におかされている?

現代は何でも味付けがなされすぎているのではないか、と松嶋さんは言います。焼き肉などは肉を食べているのではなく、タレを食べているのではないか、と。


「味付けは、素材の味を引き出すため」にするものであるという本来の意味に立ち返って、料理と向き合うことが大切で、かつそれが本来の「美味しい」をつくるということなのかもしれません。


タプナードソースの作り方

【材料】鮪赤身100gに対しての分量

黒オリーブ…200g

ケッパー…20g

ニンニクのみじん切り…1/2片

アンチョビ…20g

塩、コショウ

オリーブオイル


これらをミキサーで回せば完成です。


今回のレシピで使用したマグロはこちら!


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