日本有数の富有柿の産地、福岡県朝倉市。
柿とぶどうを育てる柿之屋の秋吉さんのところへ私が伺ったのは12月の半ば過ぎでした(シーズンには間に合わず)。

柿之屋の秋吉智博さん
その頃には柿の収穫も全て終わり、冷蔵柿の出荷作業を行っているところでした。今シーズンの柿の販売は、この冷蔵ものが出切った段階(だいたい1月末頃)で終了するとのこと。
と、いうことは・・・
次の春頃にぶどうが芽吹き始めるまで、農家さんは何をしているのでしょうか。
もしかして・・・・・あまりやることない・・・・・?
そういえば、先日お話を伺った原木椎茸やお野菜を育てている農家さんは、冬の収入源として干し柿を作っていました。
他にも、収穫時期の異なるいろんな種類の作物を作ることで、できるだけ年間通じて出荷できるものがある状態をつくられている方も多かったです。
実はシーズン以外の果樹農家さんの仕事ってあまり知らないなあと思い、聞いてみることにしました。
果樹農家の冬の仕事
編集部ぬのい:
今の時期、収穫が終わって、こうした出荷の作業もあると思うのですが、これからのいわゆるシーズンではない時期というのは、どんなお仕事をされるんでしょうか?
柿之屋・秋吉さん:
剪定作業っていうのがずっとあるんですよね。
ぬのい:
聞いたことあります。
秋吉さん:
柿って毎年、その年の新芽(新しく伸びた枝)に実がついていくんですね。

伸びて実がついての繰り返しなので、そのまま放っておくと、土地がどれだけあっても足らないようになってしまうんですよ。
ぬのい:
枝ってそんなに伸びるんですか!
秋吉さん:
そうなんです。なので枝を切り戻していくという作業が3月頃まで続きます。

そのあと4月に芽吹いて、5月に花が咲きます。
そしてうちの場合は、新しい1つの枝に対して1つしか実をならせないようにするんですね。
ぬのい:
1つだけですか!?
秋吉さん:
はい。本当は5個も6個もできるんですが、いらない芽と実をとることによって制限をします。
ぬのい:
たくさんならせばいいっていうものでもないんですね。
秋吉さん:
果樹は自然に従うと、「隔年結果」と言って、1年たくさん実がなると次の年はあまり実がならないというのがあるんですね。
人間と同じで、たくさん実をならせた年は木にとっても負担が大きいんでしょうね。次の年は疲れて少し休むことが必要なんだと思います。
でもそれでは、私たち農家にとっては不安定なので、100%の半量〜1/3程度でもいいので、毎年平均して同じ量をとれるように、実を制限していくのです。
畑を見せてもらいました

斜面にずらーーっと並ぶ柿の木
ぬのい:
これ・・・何本くらいあるんですか?
秋吉さん:
うちのところで1500~2000本くらいあるんですかね〜。
これからやる剪定の作業というのが、1日一人でできる量がだいたい10本くらいなんですね。

だから単純に計算しても・・・間に合わないのでいろんな人の手も借りたりしながらやっていくことになります。
ぬのい:
ちょっともう、想像もつかないですね・・・
剪定の作業、拝見しても良いですか?
秋吉さん:
ここが今年新しく伸びていくところですね。だからこのあたりで切っていきます。

パチン、パチン、パチン。

(は、早くてよく分からない・・・!)
ぬのい:
どういうことを気にして剪定しているのでしょうか。
秋吉さん:
一つは、枝同士が重なったりぶつかったりしないように意識します。
枝が伸びていく方向や長さを想定して、ぶつからないように切っていくんですね。あとは日当たりを意識したりだとか。
ぬのい:
そういえば、果樹の木ってみんなこういう形をしていますよね。
↓こういう形。縦に伸びているのではなく、横に広がっている。

秋吉さん:
作業がしやすいように、木が上に伸びていかないようにあえて剪定はしていますよね。梯子に乗ってギリギリ手が届くぐらいになるように。
剪定していないといわゆる普通の木みたいな感じで伸びていきますよ。

↑普通に伸びた木
ぬのい:へえ、剪定でここまで形が変わるんですね!
気になる冬の収入・・・
ぬのい:
これだけ冬の間にもやることがあって、でもいわゆるシーズンの、収穫して販売する時期って本当にわずかな期間なんですよね?
秋吉さん:
そうですね。ぶどうも柿もほとんどが、お中元やお歳暮の贈り物用で出ていくので、その時期に合わせて一気に収穫をして、販売していくようなイメージです。
ぬのい:
あれだけの数を一気に収穫するのですから、本当にすごいことですよね。いくら手があっても足りなさそうな・・。
そして言ってしまえば、その1年のわずかな瞬間に収入が入ってきて、それ以外の期間はそれによる収入はほとんどないということになるんですか?
秋吉さん:
そうですね〜。でも、自分の小さい時からずっとそのスタイルできているので、慣れてしまったというか、それが当たり前と思っている、というか。

ぬのい:
なるほど〜。だいぶ感覚も生活スタイルも、私のような会社員とは違いますね・・・
秋吉さんのぶどうの詰め合わせは夏に、柿は来冬に出てくる予定です。


こうしている間も、木を一本一本剪定されているのかなぁと想像します。
花が芽吹く時期が待ち遠しいですね。