トマトでつくる「セビーチェ」|中医薬膳師井澤由美子の“はたけ”と“からだ”つながるレシピ

北海道のとある農園で自ら野菜づくりも手がける、料理家で国際中医薬膳師の井澤由美子さん。実際に土と作物に触れている井澤さんが、専門の「中医学」の視点から体が喜ぶレシピを提案します。

第1回は、フレッシュなトマトを魚介と合わせてシンプルにマリネした「セビーチェ」。


宝石トマトとたこのセビーチェ

 宝石みたいなキレイなミニトマトが袋いっぱいに詰まって送られてきました。入っているトマトは色も大きさもさまざま。

小さいものはそのまま、少し大きいものは半分に切って食べやすくし、トマトのジュースも出るように。オイルと果汁がからまって美味しいドレッシングとなります。


トマトのフレッシュな美味しさと、可愛らしい形や色も残したかったので、調味料はシンプルに上質のオイルと粗塩だけ。

あとはタコ、青とうがらし、パクチー、たっぷりのレモン果汁だけであえて、ペルーやメキシコで国民食として親しまれる魚介のマリネ「セビーチェ」風にしました

 

【材料】(つくりやすい分量)

ミニトマト 20個

ゆでたこの足 100g

パクチー 6枝

青とうがらし 1本

青レモン(国産) 1/2個

オリーブオイル 大さじ1〜2

粗塩 3つまみ

 

【つくり方】

①ミニトマトはへたを取り、大きめのものは半分に切ってボウルに入れる。


②小さめのぶつ切りにしたタコ、粗く刻んだパクチー、薄切りにした青とうがらし、青レモンのしぼり汁、オリーブオイル、粗塩を加え、スプーンで混ぜる。


トマトで体を“さび止め”しよう 

夏野菜代表格のトマトの原産地はペルー。水分が多く喉の渇きを癒し、体の余分な熱をとるので、のぼせやすい方にもおすすめの野菜。

トマトは非常に栄養豊かな野菜で、ビタミン類やカリウム、クエン酸を含有するので体の疲れをとり、暑い季節のバテ防止にはなくてはならない食材です。


たんぱく質の消化を助ける働きがあり、肉や魚と合わせて調理すると胃腸の負担が少なくなります。その効能はことわざに「トマトのある家に胃腸病なし」「トマトが赤くなると医者が青くなる」と表されるほど。

また、コラーゲンの生成を助ける働きもあるので、肉や魚と一緒に摂取すると肌をより健やかに保つことができます。


そして、カロチノイドと呼ばれる赤色の天然色素のひとつであるリコピンは、体の“さび止め”に有効。抗酸化作用が高いので、動脈硬化や脂肪肝の予防、美肌効果UPなどが期待できます。リコピンは大玉トマトやスイカ、柿などにも含まれていますがミニトマトが断トツ。

 

トマト= “涼性”

 薬膳では、トマトの性質は体を冷やす“涼性”とされ、体内にこもった余分な熱をとる働きがあります。

中国や台湾でポピュラーな卵や牛肉との炒めものは、調味料や香辛料を使い熱することで、トマトの冷やしすぎを防ぎます。

また、卵や牛肉には脾胃(胃腸)を整える働きがあり、加えて体を熱しも冷やしもしない穏やかな“平性”の食材でもあり、胃腸を滋養するレシピとなっています。


また、生でトマトをいただくときも、体を冷やしすぎないように黒糖としょうがを混ぜたものを添えるなどの配慮をします。これは黒糖が砂糖の中でも体を温める効能が一番高く、しょうがには発汗作用があるから。


まさに医食同源で、日常に使える伝統知識はたくさんあって参考になります。


トマトは旨みが強いので、煮詰めるだけで美味しいソースに。フレッシュな美味しさをギュッとビン詰めにして保存するのは、毎年の楽しみです。


井澤由美子 いざわ・ゆみこ

調理師・国際中医薬膳師。旬の食材の味と効能を生かしたシンプルなレシピを日々考案。なかでも発酵食品のレシピ開発はライフワーク。薬膳にも精通している。北海道でヨーロッパ野菜と在来種を栽培。NHK「きょうの料理」「あさイチ」「趣味どき!」などのTV料理番組他、雑誌、カタログ、企業商品開発などを手がける。「乳酸キャベツ健康レシピ」(マガジンハウス)など著書多数。レモン塩の火付け役としても知られる。


今回は秋田県・菊地晃生さんのトマトを使用しました。

ポケマルでは、旬の食べものを直接農家さんや漁師さんから買うことができます。農家さんこだわりのトマトで「セビーチェ」、作ってみてはいかがでしょうか。

※野菜セットは、それぞれの農家さんが、その時の旬のお野菜をセットにしているため、商品写真とは異なるものが入っている場合や、また写真に写っていても実際の商品には入っていない場合もあります。お野菜の旬は短いため、その季節ごとの旬を是非楽しんでくださいね!

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