こんにちはインターン日野原です。
今回ポケマル取材班がやってきたのは山梨県笛吹市芦川町。「取材をしつつちょっとした農作業をお手伝いできればと」と、いつものことながら編集部のゆる〜いリクエストに対し、
と快く受け入れてくれた川部源太さんの畑へ、農作業のお手伝いにやってきたのです。
この記事の登場人物紹介
川部源太さん:山梨県笛吹市の山村に移住して小さな農業を営む農家さん。育てた野菜は宅配やポケマルなどでお客さんに直接販売している。
日野原有紗:ぬか床のぬか子を育てる記事をきっかけにポケマル農家さん内での知名度が飛躍的に上がったポケマルの大学生インターン。
大城実結:ポケマルとの出会いがきっかけで農漁業への関心が高まり、ついに農家の愛読雑誌「現代農業」購入に至ったフリーライター。
畑は…作物は…どれ…?


畑は山の上の斜面にありました
川部さんの畑は、山梨市の駅から車で1時間ほど行った標高約900メートルのところにありました。
まずは川部さんが畑を案内してくれました。

野生動物よけの柵の中が川部さんの畑
※緑肥とは、畑の空き地などで育て畑の土に混ぜこむことで肥料や土づくりになる草のこと。イネ科やマメ科の植物が適している。

この日の取材班は4名。登場人物の他に、山梨在住ライター尾形と編集・写真担当の中川がいます

もうすぐ収穫できそうですネ

取材当日は雨が降ったり止んだりの梅雨空でした

作物の周りに緑肥や雑草が生え、一面の緑でした。

ジャングルのような雑草をかき分けながら川部さんの後を追う

うっかり野菜を踏んでしまわないよう一列に整列





待ってましたとばかりに、心踊る取材班

レタスのブーケができました〜

焼肉屋にいるかのような会話
川部さん、実際は年間を通じて約100品目ほどの野菜を育てているのだそう。
取材班が確認できただけでも、ズッキーニ、ココゼリ(ズッキーニ)、コールラビ、とうもろこし、もちもろこし、サンチュ、もろへいや、赤サンチュ、空芯菜など、川部さん自身も「覚えきれない」というほど数多くの種類がありました。
刈れば良いってものではない!奥深い雑草の世界

畑で採れたてのみずみずしいレタスを堪能している場合ではないのです。取材班は労働力になるためにここに来ました。川部さんをお手伝いするのです!

生まれて初めての草刈り体験だという都会っ子の尾形


左がシロザ、右がハキダメギク

生き生きと雑草について語る川部さん

博士によると雑草によって根っこの匂いも違うそうだ
川部さんにとっては、畑にあるすべてのものがおいしい野菜作りのためのヒントになる、ということなのかもしれません。

川部さんの雑草話が楽しくて、時間はあっという間に過ぎました
「自然農」でふかふかの土づくり
※編集注:ここで語られている「有機栽培」とは、化学肥料を使わずに(または使用量を減らして)代わりに有機質肥料を与える栽培方法のことを指しています。「自然農」というのは、農家によっていろいろな考え方がある栽培方法で、有機質肥料を使う場合もあれば、全く使わない場合もあります。川部さんのプロフィールには「機械で耕さない不耕起の畑に草や落ち葉を重ね、米ぬかの自家製発酵肥料を必要最小限使用してやさいを栽培しています。」と記載されています。

右がこの土地に元々ある粘土質の土

「固定種っていいな」と、雰囲気で選びました

草刈り作業をしながらお話しをしているうちに、川部さんの畑に対するまっすぐな思いが伝わってきました。きっとまだ聞き出せていない川部さん流の畑への強い信念やこだわりがありそうです。

ポケマル編集部の取材風景はたいていこういう感じ。手前の菜花はカブの種を採るために咲かせているもの
大学の教授から刺激を受けたことで芽生えた川部さんの農業への興味は、その後、訪れた旅先でよりいっそう強くなったそうです。その体験は、川部さんのプロフィールページにこのように書かれています。
学生のとき、ひとりでモンゴルに行きました。牛や山羊の乳を搾り自分たちの糧を手にいれる遊牧の子どもたちの姿に、自分が食べるものを手に入れられないことに気がつき少し恥ずかしさを覚えたことが農家を目指す大きなきっかけとなりました。
引用:川部源太さんのプロフィールページ

※固定種とF1品種とは:「固定種」は、先祖代々同じ形質(外見や味などの特徴のこと)が受け継がれてきた品種のこと。「F1品種」は、異なる優良な形質をもつ固定種(純系)どうしのかけ合わせで得られた雑種のこと。詳しくはこちらの記事を:消えかける「固定種」。その命を未来へつなぐ農家さんのお話。
「雰囲気でやってます」この一言を聞いただけでは、もしかしたら、食べ物を作っている人がこんなにふわっとしていていいのかと思う方もいらっしゃるかもしれません。
でも、私はそれでいいと思うのです。
例え同じ食材を作ったとしても生産者さんによって味わいに個性が出るのは、それぞれが違ったこだわりや思いを持って畑や海、そして食材と向き合っているから。そこに正解はありません。
それは川部さんも同じです。雑草をはじめ自然と向き合い、直感で良いと感じたものを続けてきました。それはきっと誰にも真似できない、川部さんだからこそできる食材との向き合い方なのだと思います。
虫、土、雑草など、畑で暮らすたくさんのいきものによって育てられた野菜たちには、そんな川部さん流のこだわりと思いが詰まっているように見えました。
もしかすると次にお会いする時には、川部さんの興味の対象は雑草ではなく何か別のものに変わっているかも……また、その時はまた草刈りをしながらお話を伺いたいなと思っています!
ポケマル編集部は、また素敵な農家さんに出会うことができました。短い時間でしたが、川部さん、ありがとうございました!

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文=日野原有紗、編集・写真=中川葵