とっておきの日、あこがれのシードル

「令和にかんぱ〜い」


子どもの頃大人が楽しそうに飲んでいるのを見てから、ずっと憧れている「シードル」。


「シードル」とは、りんごで造ったスパークリングワインのこと。フランス語の名称なんだって。

ね、なんかかっこいいでしょ?


このシードルを造っているのは、岩手県でりんご農家を営む及川さん。


及川さんによると、このシードルは、製造方法によって『ミックス』と『オリジナル』という2種類に分けられるそう。


「『ミックス』は、陸前高田市米崎町や一関市大東町のいろいろなりんごをブレンドして発酵させたものなんだよ。だから香り豊かな味わいが楽しめるんじゃないかな」

とか、

「『オリジナル』は、低温で時間をかけて発酵させたものだから、りんごの香りを楽しみながらすっきりとした味わい。お刺身とか合うと思うよ?」

とか、

格好つけて言ってみたいな。大人の飲み物だからね。


お酒が飲める歳にはなったのだけど、いきなり憧れのシードルを飲むのはどきどきしてしまう。

及川さんはりんごジュースも売っているから、まずはりんごジュースで乾杯してみようかな。


ちょっと大人なボトルに入っているから、特別な気分が味わえそう。わざとワイングラスで飲んでみたりね。


でもどうしてアップルジュースも作っているんだろう?


及川さんはお父様、お母様、及川さんご夫婦、そして3人のお子様の7人家族で経営を行っている……。

あ、そうか。

小さな子どもから年配の人まで幅広い年齢の人に、りんごの味を楽しんでもらいたい。だから、及川さんはシードルだけじゃなくて、アップルジュースも販売しているんだ。


家族経営だからこそ、「家族みんなで、一緒に楽しめるように」って及川さんのあたたかい思いが伝わってくる気がする。

いつか家族みんなで乾杯したいな。


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文=日野原有紗

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