「冷蔵庫の中みせてください」ポケマルMGUの茶太郎さんに会ってきました!

作り手と食べ手を結びつけるポケマルには、食べ手になった人々のポケマル生活の様子が、「ごちそうさまでした」の文字と共に投稿というかたちで寄せられています。

食べた人たちからの「ごちそうさま」は、生産者さんにとって何よりうれしいもの。そこで、ポケマルでは、多くのごちそうさまを投稿してくださった食べ手の方を、「Most Gochi-ed User(MGU)」と呼んで、毎月勝手に表彰しています。

実は昨年、そのMGUを発表する記事の中で、”ある騒動”が起きていたのをご存知でしょうか。


それは2017年10月にはじまった…

事の発端は2017年10月のMGU記事でした。

10月のMGUは誰の手に?「ごちそうさまを伝えた人」を勝手に表彰いたします!


10月度に見事第1位にランクインした茶太郎さん。なんと10月だけで28ものゴチ投稿をしているという驚きの事実に、ポケマルオフィス内もどよめきました。

しかし我々は知らなかったのです。これはまだ伝説の序章にすぎないということを……!


翌月度のMGU記事がこちら。

11月のMGUは誰の手に?「ごちそうさまを伝えた人」を勝手に表彰しちゃいます!


おおおっ……!? 先月よりも投稿数が増えている!

まさかの記録更新。この後、ポケマルスタッフの間で「茶太郎さん」の名前が度々話題に上がるようになりました。


しかし、彼女の大躍進はとどまることを知りませんでした。

翌月、12月度のMGUランキングでは……

12月のMGUは誰の手に?「ごちそうさまを伝えた人」を勝手に表彰しちゃいます!


51ゴチ、とは一体何事なのでしょうか。

ゴチ投稿が増えるにつれて、比例するように増す「茶太郎さん」という神秘

日々をどういう風に過ごせば、ここまでのゴチ投稿ができるのだろう。果たしてどんな人柄なのか。もしかすると彼女の周りだけ時間の流れ方が違うのかもしれないぞ……?


ポケマルスタッフで話し合った結果、茶太郎さんは1月度のMGU『殿堂入り』していただくことに決定しました。おめでとうございます!

茶太郎さんのポケマル開始から2018年3月24日までのごちそうさま投稿数をグラフにしたものがこちらの図です。

茶太郎さんの軌跡、まさに生きる伝説である


さらに、茶太郎烈伝は投稿数だけではありません。彼女の手から生み出される、美しいお料理たちにも魅了されてしまいます。

茶太郎さんの投稿画像の数々


この料理の手の込み方と頻度……ある意味、ポケマルスタッフよりもポケマルの達人であることは確実です。

もはや神秘。どんな生活をしているの? 冷蔵庫の中はどうなっているの? 1ヶ月の食費ってどうなっているの……?

モクモクと湧き続ける疑問。これはもう、実際にお会いするしかない!!


というわけで、お待たせしました。好奇心でいっぱいのみなさんを代表して、ポケマル編集部が茶太郎さんに突撃取材してきました!


ポケマルの神秘、茶太郎さんと接触!

取材場所として茶太郎さんが指定したのは、ご自身の職場からほど近いという都内のオフィス街。そう、茶太郎さんは週5で会社に勤めるバリバリのキャリアウーマンなのです。


よろしくお願いします!


颯爽と現れたのは、パンツスーツとベリーショートヘアがキリリと素敵な女性。彼女が茶太郎さんです。

左:もそっとしたライターおおしろ/右:キリッとした茶太郎さん


旦那さんと今年8歳になる息子さん、2匹のネコと一緒に暮らす茶太郎さん。そんな彼女に、さっそく疑問の数々をぶつけていきます!

「冷蔵庫の中、見せてください!!」

時間の使い方も気になるけれど、いちばん見てみたいのが冷蔵庫の中身でしょう。どれだけポケマル食材が占めているのか、どんなふうにやりくりしているのか、スタッフ一同気になっていたのです。


はい、こちらが我が家の冷蔵庫です


そう言って見せてくださったのがこちらの写真。


すっきりキレイに食材が保管されています。

しかしこれだけだと、どれがポケマルのものなのかよくわかりません。ということで、その場で印をつけていただきました。

これは**さんの…と生産者さんの名前を呼びながら◯をつけていきます。


それがこちら。で囲んだものがポケマルで買ったもの、がポケマル以外のマルシェで買ったものです。

「ほぼポケマルですね〜」と茶太郎さん。これはポケマルワールドin冷蔵庫


なんと、冷蔵庫の中の7割がポケマル食材で埋められています。生のものもあれば、保存がきくように加工して瓶やタッパーに詰められているものも。

茶太郎さんの、きちんとしていて丁寧な生活ぶりが伝わってきます。


さらに気になっていたこの質問もぶつけてみます。

「日々の生活のタイムスケジュールを教えてください!」

そうですね、朝4時に起きて……


ただならぬ発言から始まった茶太郎的日常トーク。なにやらここでも凄まじいことが起こっているようです。

というわけで茶太郎さんの1日を円グラフにしてみました。

茶太郎さんはお仕事するのも大好きなのだそう。


主に通勤時間でポケマルをチェックして注文。帰宅後、18時半から約1時間で夕飯の支度をしているそうです。

調理時間〜夕食の時間帯に商品が届くよう、【19〜21時】の配達時間指定をするのがポイントなのだとか。


図からもわかるように、うちでは食事の時間が家族の時間なんですよね


ちなみに週末もポケマル達人ならではの1日を過ごしていると教えてくれました。


魚介類を捌くのは夫の役目なんです。なので、生産者さんに相談をしながら、毎週末に届けてもらえるように魚介を注文しておきます。土日は魚介を家族で囲むのが我が家の過ごし方なんです


旦那さんもマイ出刃包丁を握りしめ、毎週届く魚介類に胸を踊らせているそうなのです。


だいたい水曜くらいになると、『今週末は何の魚が届くの?』とチャットが飛んでくるようになりました。きっと週の半ばからソワソワしはじめちゃうんでしょうね


さらに深くツッコんでいく編集部員。

「食費の支出でポケマルが占める割合を教えてください!」

ポケマルは食費全体の8割程度ですかね。あとはリアルのマルシェやスーパーで購入してます


どよめき立つ編集部員。「ポケマルだけで生活したい!」そんなポケマル愛好家の夢のライフスタイルを実現した人が、今、目の前に……。


さらに鋭く切り込んでいきます。

「ぶっちゃけ、ポケマルって高くないですか?」

茶太郎さんは少し考えたあとで、スパッと返答してくれました。


高くはないし、ポケマルを始める前と変わりませんね


思いっきり拳を握りしめて立ち向かったのにも関わらず、ひらりと可憐にかわされてしまったような感覚に陥ります。


どこに価値を見出すかなんですよね


彼女の語る”ポケマルが高くない理由”。それは、金額だけを指した言葉ではありませんでした。


1,時間的コストの削減

仕事帰りにスーパーへ寄って食材を購入し、重い荷物を持って帰宅する。まずこれも大きな労力なんですよね。スーパーに寄らずに会社から直接帰宅できるというのはとってもありがたいことなんです


2,調理時間が減った

購入したら生産者さんにいちばん美味しい食べ方を聞いています。ほぼ間違いなく推奨されるのが、蒸す・焼くといったシンプルな調理法。素材自体がとても美味しいから、それだけで十分なんです。手の込んだソースを作ったり味付けに気を遣う必要がなくなったので、調理自体は楽になったんですよ


3,家族の時間が濃厚になった

私の家の場合、食事の時間=家族の時間なんです。食卓を囲みながら、それぞれの食材について話したり、生産者さんのことを思い浮かべたり、コミュニティ投稿の話をしたり。家族の共通の話題が生まれました。ポケマルを利用するまでは、週末は家族で必ず外食に行っていたんです。けれど外食は『食べる』ことしかできませんよね。ポケマルでは食べるときだけではなく、注文する前から、ひとつの”食物語”がはじまっているのです。食べる時間が濃厚になったからこそ、家族の時間もより濃密なものになっていきました


茶太郎家にポケマルが浸透するまで

茶太郎さんの初ゴチ投稿はこちら。「茶太郎」のHNは飼い猫のお名前から。


はじめて購入したのは山菜セットでした。


だって自分で山に分け入って採ることもできないし、自分の代わりにその場へ行って収穫して送っていただけるってすごくありがたいじゃないですか


山菜セットを満喫した後、ふとポケマルマガジンである記事を目にしたといいます。

それが【67歳はじめてのスマートフォン】生産者だって頑張ります!


この記事はポケマルをはじめるために、はじめてスマートフォンを手にした農家・大久保守さんの奮闘記です。

食材の魅力ももちろんのこと、記事で書かれている「問い合わせへの返信に時間がかかったり、融通がきかない点もある」というのが本当なのか興味が湧いてしまったと茶太郎さん。


実際に確かめるべく注文したんですよね。そしたらやっぱりそのとおりで、『ほんとに大久保さんだ!』って嬉しくなっちゃったんです


何度も発送完了連絡のメールが送られてきたり、変換ミスであろう誤字脱字もちゃんとある……。茶太郎さんはそこに生産者のぬくもりを感じたのだとか。


こんな体験はじめてだったんです。作り手さんの顔がわかるだけじゃなくて、人となりもわかって食べることがこんなにも素敵なことなんだって、心から思いました


小学生の息子さんは、それまで野菜やお魚などはあまり口にしなかったといいます。そんな彼が野菜を食べられるようになったのは、大久保さんがキッカケだったのだとか。


大久保さんの野菜セットをリピートして購入したんです。2回目のときに息子が『あ、あのおじちゃんの野菜だ』と言って食べはじめました。私たち大人が楽しそうに大久保さんの話をしていたのが印象に残ったんでしょうね。興味本位で食べてみたらとっても美味しかったみたいです

大久保さんのレタスを豚しゃぶとサラダに


夫は元々、食べ物に対してあまり興味を持っていませんでした。が、ある日、峯村さんのリンゴをかじりながら『このリンゴ、うまいな……』とボソッと呟いたんです。それが夫がポケマルに興味を持ちはじめた瞬間だったと思います


決定的瞬間を見逃さなかった茶太郎さんは、この後、妙案を思いつきます。


夫に出刃包丁をプレゼントしたんです。ほら、男性って道具が好きじゃないですか。『ほら、よく切れる出刃包丁だよ! おいしい魚、食べたくない? 私ポケマルで買うから、捌いてほしいなあ〜』と。そしたら案の定、張り切って捌いてくれるようになってくれまして


なんという策士! よくわかってらっしゃる!!

こうして茶太郎さん一家のスタイルが確立されました。ちなみに息子さんの将来の夢は、今のところ「お寿司屋さんかカニ漁師」なのだそう。完全にポケマル的英才教育のたまものですね。


ごちそうさま投稿=食べ手の責任

ポケマルでは作り手さんがしっかりと情報発信をしてくれます。今まではごく当たり前に食べていた食材も、それぞれ作り手さんのお話を聞いたり、苦労している様子を目の当たりにして、そのおいしさが”あたり前”じゃないのだと気づきました。だからこそ台風が来たらずっと心配だし、今まで縁もゆかりもなかった地域の天気予報も気になってしまうようになりましたね


あたり前だと思っていたことが実はあたり前じゃないと気づかせてくれた、作り手さんの言葉たち。その経験を通じて、茶太郎さんは食べ手としての責任を感じていると話してくれました。


顔が見えるからこそ、しっかり美味しくいただこうと思うのは大前提です。その上で、こだわりを持ってしっかり届けてくれたものを『こうやって食べたよ! おいしかった!』と伝える義務が私たちにはあると思うんです。だから私もコミュニティへの投稿で、しっかりと『ごちそうさま、ありがとう』を伝えるようにしていました


——たかがごちそうさま、されどごちそうさま。

そう。あの驚異的な投稿数は、茶太郎さんの想いそのものだったのです。


美味しく食べてもらえるように、一生懸命届けた食材。生産者さんから受け取った、”食べ物となった命を全うさせる”という使命。

命のタスキは、食べ手が作り手にごちそうさまを伝えたときに、ようやくゴールまでつながります。


謎のヴェールに包まれた茶太郎さんの人物像。紐解いていくと、そこには、家族で過ごす時間を大切にする、ひとりの母親の姿がありました。

茶太郎さん、ありがとうございました!


Writer

おゝしろ実結

writer&editor&illustrator 自転車や地域文化、芸術を専門に執筆。東西奔走、自転車に荷物を積み離島へひっそり渡航するのが生きがい。2012年に短編小説『常套的ノスタルジック』が筑波学生文学賞 大賞を受賞。2016年執筆のルポルタージュ『ワニ族の棲む混浴温泉』が宣伝会議 編集ライター講座大賞を受賞。他、自転車雑誌やグルメ系Web媒体など幅広い分野で執筆を行っている。旅のイラストなども随時発表中。公式サイトmiyuo10qk.wixsite.com/miyuoshiro