「労働させてください…!」茨城県川上農園ではじめての農作業してきたよ

公園で日が暮れるまで砂遊びをしたり、美術の授業で夢中で粘土を触ったり。私たちの身近にあった「土の感触」を覚えていますか?


ポケマルスタッフはというと……忘れかけていました!!!


東京——別名「コンクリートジャングル」にあるオフィスのとある一角で、ディスプレイと向き合う日々が続きます。頭の中では農業のことで頭がいっぱいでも、なかなか現場へ行くことは難しいものです。


いや、『難しいものです』じゃないのよ、行くのよ!


そう立ち上がったのは編集N。

農作業の苦労や悩みごとを本当に理解するには、ともに体を動かすのが一番。それなのに私たちが「土の感触忘れちゃった〜」などと体たらく、これでいいのだろうか

と早口にまくし立ててきます。(……という口実のもと、コンクリートジャングルから脱出しようという本音が見え隠れするのだった)


実際に農作業をお手伝いしに行くしかない。しかも『収穫体験』のような、観光客向けのエンタメ的なお手伝いじゃない。われわれが目指すのは労働力になることだっ!


そうしてポケマルスタッフは残暑の厳しい8月末、茨城県つくば市にある川上農園へ訪問しました。

 

Producer

川上和浩(川上農園)|茨城県つくば市

緑豊かな茨城県つくば市で家族で農業を営んでいます。私達が取り組む農業は「=生活のためのもの」だけではない「=自らも楽しむもの」として、効率を考えた単一作物農業ではな く多品目を栽培する農業を行うことで多くの作物から多様な発見や感動などの刺激をもらい自らも楽しみながら長く続く農業を行なっています。

 

目次

 
     ここに目次が表示されます。    


私、一人前の労働力になりたいんです…!

ちゃんと労働力になると決めたからには、まずは川上さんにわれわれの本気を伝えなければなりません。編集部員おおしろは血走る目でこのようなメールを送信しました。

今回の取材ですが、実は農作業をお手伝いさせていただきたく考えております。普段本当にされているお仕事や、本当はやった方がいいけど手が回っておらず後回しになっている作業etc……。なんでも構いません!

from ポケマル編集部員おおしろ


するとメールの返信にはこんな内容が。

それではターサイの種まきと玉ねぎの定植をお願いします。

from 川上さん


やりました! 待っていたのはこんな作業です。

……とはいっても、ターサイの種まきって、普通にパラパラとまくのかな? 玉ねぎの定植って言っても……いったいどんな状態の玉ねぎを植えるの?

な、なにもわからん……。とりあえず足手まといにならないように、立派な労働力になるぞ

意気込みながら当日を迎えます。


8月のある日、午前8時。通勤のビジネスマンやOLが行き交う秋葉原駅に集合!

指定持ち物のタオル・手袋・長靴・着替えも持参


秋葉原とつくばを結ぶつくばエクスプレスに乗車し約1時間。突如、広大な畑が私たちの目に飛び込んできました。ん……?遠くの方で大きく手を振っている人がいます。

ようこそ、川上農園へ!


さわやかな笑顔で出迎えてくれたこの人が、川上さんです。昨年10月に就農した”新米農家”で、奥さんと2人で農園を切り盛りしています。


正確に200粒の種を植える。ターサイの豆まき

それではさっそく作業開始です。まずは炒め物でお馴染み、ターサイの種まきからです。

最初はこの発芽トレイに土をまんべんなく入れます


そう取り出したのは、200の穴が開いた発芽用のプランターです。つまり少なくとも一人200粒の種を撒くということですね、川上さん!

一度土をぎゅっと指で押さえて圧縮し、減った分だけまた土を足します。ここでのポイントはしっかりと土を詰めていくこと。ひとつひとつ丁寧に押していきましょう


さて土の準備ができたので、次は種まきです。ちょうど真ん中に埋まるように、種を植えていきましょう


なるほど、地味ではありながら正確性が求められる作業です。それでは作業開始!


手を夢中で動かしつつも、ぽつりぽつりと始まる雑談。普段の取材では向かい合い、目を見つめ合うものですが、今回はひと味違います。見つめるのはターサイの種、他愛もない世間話がぽつりぽつりと始まります。

お若いながら新規就農ということは、もともと農業に関係のあるご実家だったんですか?

いや、僕の実家は東京・杉並区の老舗靴屋なんです。

そう来ましたか! 農業と全く関係ないじゃないですか!


意外な返答に思わず手が止まりそうになりますが、いけない……! 作業が最優先です。詳しくお話を聞きたいところですが、ここはグッとこらえて作業後のインタビューに回します。


ようやく種植えの終了です! 完成したらお水をかけて発芽を祈ります。


*数日後、川上さんから発芽のご連絡が!

みんなスクスクと伸びています! 純粋に嬉しい、そしてかわいい〜!


気付けばハウス内の気温もぐんぐん上昇し、額から汗が滴り落ちていました。

4人で同時にやれば、800粒を撒けるんですよね

いつもはお一人で作業しているという川上さん、さすがです……。それじゃあ、次いってみよう!


玉ねぎの定植で千本ノック! 

お次の作業は、屋外の畑にて玉ねぎの定植です。


実は玉ねぎの栽培も、今回がはじめての試みです。この時期(8月)に植え、11月ごろに収穫できればいいなあと


畑に敷かれたビニールの穴に沿って、ひとつひとつ丁寧に玉ねぎを植えていきます。

穴に沿って玉ねぎを置き……

頭が少し出るくらいに土をかける


まさに千本ノックもとい……「約千個玉ねぎ」! 気合いをいれてやっていきましょう。


玉ねぎを植え、上から土をかけ……を繰り返します。時々立って背伸びをすると、背中と腰に鈍い痛みが。さらに酷暑ではなかったとはいえ、さすが8月。汗が流れ落ちます。

あの、よく今年の夏は異様に暑かったと言われていますが、毎日変わらず作業を続けていたわけですよね

恐る恐る尋ねる編集部員。


はい、もちろん。最初は暑いなあと思っていたのですが、毎日続けていると慣れますね

なんてことなく、なんてことあることを言う川上さんに脱帽。酷暑でも極寒でも毎日作業をし続けている川上さんの働きっぷりには感服です……。


*後日の玉ねぎ畑の様子がこちら。ちゃんと伸びてくれています!やった!


他にも手伝うべき作業があったのですが、コンクリートジャングルで鈍りきってしまった私たちにはレベルが高すぎました……。

立ち上がるたびに立ちくらみ、酷暑に体は驚きの声を上げる。そんな自分の体が恥ずかしかったというのが率直な感想です。川上さん、もっと鍛錬して帰ってきますね!!


ということで本日の作業はこれにて終了! 


程よい疲労感とたっぷりの達成感を感じつつ、ふとビニールハウスに視線を移すと……


豪華な手料理の数々が目の前に広がっていました。なんと腹ぺこな私たちに、奥さんがお料理を作って待っていてくれたのです。


ともに労働したあとは、ともに食し語らいを。全く縁もゆかりもなかった農業との出合いからこれまでの歩みor道のり。さらに多品目栽培する理由、野菜の価格について思うこと。農業とともに人生を歩む川上さんの想いを、とれたてお野菜と共にとことん頂きます。


>>後編はこちら:靴屋の息子は農家になった。就農1年目、作ると売るのビジョンを語る<<

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あの日のターサイ、すくすく育ってお客さんの元にいけたかな……

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Writer

大城実結/MIYU Oshiro

フリーランスライター・編集者。自転車や地域文化、一次産業、芸術が専門。紙雑誌やWeb媒体問わず執筆中。ポケマルでは農業初心者を生かし、わかりやすく愉快な記事の執筆を目指す。イラストや漫画も発表中。

Writer

近藤快

化粧品専門誌の記者として8年勤務。東日本大震災後、業界紙・東北復興新聞にプロボノで参加、その後専属に。他に、企業のCSR・CSV、一次産業、地方創生などのテーマで取材〜執筆している。


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