草なのに菌? 秋のふしぎ食材マコモタケの正体と食べ方って?

「マコモタケ(マコモダケ)ってイネ科の植物なんですよ」

それは某レストランでのこと。白っぽい物体を握りしめながら、ウエイターのお兄さんが鼻高々と教えてくれました。


へえ、その白いのがマコモタケですか。◯◯タケっていうもんだから、てっきりキノコの仲間かと。で、どんな味なんですか?


えっとですね、たけのことエリンギを足して割ったような……


でもイネ科の植物なんですよね?たけのこはイネ科だけど、エリンギはきのこよアンタ


ま、まあ、そうなんですが、とてもコリコリしてて……つまり、おいしいんです


その時、お兄さんの目が宙を泳いだのを見逃しませんでした。


きっとこのお兄さん、マコモタケが何なのかわかってないな?(私もだけどな)


そしていざ実食のシーンになり、一口ぱくり。


あっれ〜…たけのことエリンギを足して割った食感だ。なるほどわからん、でもうま〜い!

 


 

目次

 
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食感コリっと界ルーキー・マコモタケ降臨!

レストランで食して以来、気になるあの子的ポジションを確立したマコモタケ。とある秋の日、とうとうポケマルで出品されたのを筆者は見逃しませんでした。

我が家に初めてガールフレンドをお招きしたかのような緊張感


蓋を開けると中には備中農園さんからのお手紙が。

マコモタケの処理方法やおすすめレシピまで、マコモタケライフを謳歌できる情報が満載!


そしてマコモタケと対面!

「あれ…?なにこれ??白くないじゃん」ガールフレンドが思っていたよりもマッチョだったような気持ちに


「まあね、確かに稲っぽいけども」


以前見た可憐で美しい白色の姿とはうって変わって、稲の根元のような風貌です。

あの姿はどこへやら。どうやって食べるの?


所要時間3分。簡単すぎる下処理

「マコモタケは癖がなくアク抜きの必要が無いので、下処理がとても簡単です」

と、生産者・備中農園さん。その言葉を信じて、気軽に下処理に取りかかってみましょう。


①外側の緑色の皮を取り除く

とうもろこしの皮を剥ぐように剥いていきます。

「いや〜ん♡」とマコモタケの声が聞こえてくるよう。一瞬にしてあられもない姿に


②残った緑色の部分を、白い部分までピーラーで剥く

食感が悪くなるので、この工程は丁寧に行おう


「あ〜っ!私の知っているマコモタケはこれだーッ!」

開封からこの状態にするまで所要時間は3分ほど。なんて簡単なのでしょう。


さっそく食べてみよう!

それではさっそく実食してみましょう。


①素焼き

軽く炒めて完成です。お塩やマヨネーズをつけていただいてみましょう。

強いクセもなく、どんなお料理にも活用できそうな雰囲気


なるほど、おでん界だとはんぺん。チーズ界だとモッツァレラ

長けた協調性とともに、コリコリとした特徴は確かに健在。これならいろんな料理にそれとなく加えることができそうです!


②中華炒めに投入してみよう

もともとは中華の高級食材として重宝されてきたマコモダケ。たけのこの代わりに食感を出すため、デイリーご飯にガンガン使ってみましょう。

お手軽! 麻婆春雨 with マコモタケ。豊かな食感のおかげで、食べ応えアップ!


にんにくの芽炒め with マコモダケ


前世から約束されていた出会いのような、素晴らしいマッチングです。

ちなみにマコモタケ調理ポイントは、ずばり厚く切ること!ガンガン強気に厚く・乱切りでいきましょう


箸が止まんない……!マコモタケ炊き込みご飯

食欲を加速させるお料理、炊き込みご飯にも挑戦です。

ニンジン、しめじ、マコモタケとお米2合を炊飯器に投入、適宜かつおだしとお醤油、みりん、料理酒をブレンドし、炊飯スイッチをぽん!

1時間後、部屋中に福音(炊きあがりの合図)が鳴り響きました。

ほっかほかご飯に食材の甘みが染み込み、マコモタケのコリッと食感そのまま


秋といえば栗ご飯、キノコご飯……そしてマコモタケご飯という新常識が生まれてしまったな


「下処理簡単、コリコリうまい、腹持ちも抜群! マコモタケ大好き!」と叫びつつ食べる


ていうか、マコモタケってなんじゃい

マコモタケ完食後、気づけば筆者はマコモタケを長年連れ添った彼女のような存在に感じていました。

そんな中、衝撃の事実を突きつけられたのです。


——「マコモタケ」という植物は存在しない


……は?何言ってるの? 理解できないまま、時だけが無情に過ぎてゆきました。


あ、わかった。この展開は『長年連れ添っていた彼女はすでに数年前にあの世に旅立っており、自分に見ていたのはただの幻影だった』というSFにありがちなパターンだ


と、勝手に自己解釈を続ける筆者。それはさておき、じゃあマコモタケって何者なの?

調べてみると、「マコモ」という植物がヒットしました。


マコモ【イネ科マコモ属 多年草】

東アジア〜東南アジアを中心に分布。成長すれば2mほどの背丈になる。夏に黒穂菌に感染したマコモの茎は肥大化し、その部分を”マコモタケ”として食用する。


つまり、黒穂菌という菌に感染したマコモの茎部分を”マコモタケ”と呼び、食し、恋人のように感じていたのです。

それを言ったら、ウエイターのお兄さんの「マコモタケはイネ科なんですよ」という発言も、厳密には違うということになりますね。


これは愛した人が幽霊だったオチの映画と同じ展開だ。でも……菌に感染してようが、幽霊だろうが、愛してしまったのだもの。しょうがないじゃない


ちなみに黒穂菌とは担子菌類半担子菌綱クロボキン目に属するカビの一種。イネ科やタデ科に黒穂病を起こし、黒い胞子を発生させるのだとか。

9月下旬〜10月半ばの収穫期を逃してしまうと、黒穂菌が黒い胞子を飛ばし始め、中に黒い斑点が現れるのだそう。

ここまで便利で美味しいのにメジャーじゃない理由が明らかになりました。つまり旬の時期が短いからなのですね。


※参考資料: コトバンク>クロボキン福岡教育大学>マコモ(イネ科)


1ヶ月限定の「マコモタケまつり」を見逃すべからず

つまりマコモタケを味わえるのは、栽培地域にもよりますが、一般的に9月中旬から10月いっぱいまでの約1ヶ月間

年に一度だけ訪れる貴重な季節を存分に謳歌すべく、再度マコモタケについて振り返ってみましょう。


一、そもそも”マコモタケ”という植物は存在しない。

一、黒穂菌に感染したマコモの茎部分を”マコモタケ”と呼んでいる。

一、調理の際は厚めに切るべし! 強気に乱切りばっちこい!

一、面倒な下処理ゼロなので、時短飯に最適。


秋の味覚の謎キャラ・マコモタケは、植物と菌類の贈り物でした。さあ今年も「マコモタケまつり」がはじまるよ!

備中農園さん、ごちそうさまでした。


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Writer

大城実結/MIYU Oshiro

フリーランスライター・編集者。自転車や地域文化、一次産業、芸術が専門。紙雑誌やWeb媒体問わず執筆中。ポケマルでは農業初心者を生かし、わかりやすく愉快な記事の執筆を目指す。イラストや漫画も発表中。公式サイトmiyuo10qk.wixsite.com/miyuoshiro

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