6月が旬!つるつる食材「じゅんさい」とは?農家さんに聞いてみました

まるで「まんが日本昔ばなし」に出てきそうな日本の原風景がそこには広がっていました。たくさんの木々の中にぽっかりと浮かぶ大きな沼。

ここは秋田県北西部、日本海近くにある三種町。この小さな町は、古くから「じゅんさい」の生産量で日本一を誇ります。

ところで、「じゅんさい」って…? そう思われた人も、きっと多いはず。つるつるぷりぷりさっぱりな、なんともいえない爽やかな食感です。

6月は収穫の最盛期!まさに今、旬の味を楽しめる時期なんです。

今回は、「じゅんさいブラザーズ」(安藤食品)のじゅんさい次郎さんこと、写真や動画撮影などクリエイティブ隊長としても活躍する近藤大樹さんに、「じゅんさい」の魅力について語ってもらいました!

※この記事に掲載しているじゅんさい写真は、全て近藤さんが撮影したものです。

Producer

じゅんさいブラザーズ@安藤食品|秋田県山本郡三種町

秋田県三種町で「じゅんさい」「あきたこまち」「きりたんぽ」を栽培、加工、販売している安藤賢相(左)近藤大樹(右)です!

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目次

 
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じゅんさいってナニモノ?

ゼリー状の寒天質で覆われた、この瑞々しい物体の正体、これこそが「じゅんさい」です。

じゅんさいとは、沼に生息する水草の一種。沼の底に根を張り、そこから水中で茎を伸ばし、さらに成長して楕円形の葉を水面に浮かべます。茎から出てくる新芽は透明なジュレで覆われており、これが食用として摘み取られます。

その葉で緑一色に覆われたじゅんさい沼の様子がこちら!

春のじゅんさい沼

近藤さんによると、収穫期は5月上旬〜8月下旬が目安で、最盛期は6月とのこと。現在、ポケマルに出品中の摘みたての生じゅんさいは、今最もおいしく食べられる時期なんです。

この時期は、透明なジュレが最も多く含まれているそうで、〝つるつる〟〝ぷりぷり〟な極上の食感が味わえます。

ちなみに、秋〜冬へと季節が移ろいでいくにつれて、葉はどんどん少なくなるそうです。冬の沼には水面にうっすらと氷が張られます。氷の向こう側に、葉が見えますね。

冬のじゅんさい沼

これもまた、なんとも神秘的な光景ですよね。この間に水中で力を蓄え、春〜夏にかけてまた新しい茎、そして葉を伸ばすサイクルを繰り返しています。

じゅんさいブラザーズのコミュニティには、近藤さんが撮影した、日々の「じゅんさい写真」がアップされています。ぜひご覧ください♪


——沼の中に生息する「じゅんさい」。いったいどうやって摘み取ってるんですか?

縦横2m×1mほどの小船に乗って、水面に浮かぶ葉をかき分けながら水中のじゅんさいを探し出します。一粒一粒、手作業で丁寧に摘み取るので、とても重労働です。腰が痛くなったりと大変なんです。

——船でバランスを取るのが大変そうですね……

思ったほど難しくない、というのが僕の印象です。ただ、風が強い日は船が流されてしまうので、大変ですね。1日中、船に乗っていることも多いので、慣れない人は筋肉痛になりますよ(笑)

——その摘み手が、高齢化していると聞きました。

そうですね、ピークの頃に比べると半分ほどに減っているらしいです。生産量も減少傾向にあります。

このままではマズい…。そんな危機感から、現在は町を挙げてじゅんさいの認知度アップに取り組んでいます。


農家のせがれ×元ニート!「じゅんさいブラザーズ」が町の希望に

そうした中、若手のホープとして町の期待を集めているのが、じゅんさいブラザーズです。

今から6〜7年前、30歳という節目の前後で家業を継ぐ決意をした「じゅんさい太郎」こと安藤さん。そして、その中学校の同級生だった「じゅんさい次郎」こと近藤さん。2人はなぜ、タッグを組んだのでしょうか。


僕は、賢相に誘われたのがきっかけです。当時、ニート状態の「失われた3年」を過ごしていました。それを心配してくれたのか、声をかけてくれたんです(笑)

——安藤さんは、なぜ家業を継ぐと?

継ぐつもりはあまり考えてなかったようですが、茨城県の農学校で指導員をしていたときに「農業をやりたい」を熱く語る生徒たちが、実家が農家でないと就農するのが大変な現実に直面していたそうです。

「やりたくてもやれない人がいる。俺には実家に帰れば農地もあって、すぐにできるじゃないか」。そう思って、決意したそうです。


一方、ニートから農家へ。驚きの転身を遂げた近藤さんは、地域では一風変わった農家として有名です。

それは、自ら写真や動画などを撮影し、ホームページやFacebookなどで発信しているから! しかもそれがとっても本格的なんです。

ドローンを使ったり、もはや素人の域をはるかに飛び越えているんです。

——どういった経緯で、写真や動画を?

最初は安藤食品のホームページの制作からでした。ニート時代に暇だったので、独学でWEBの勉強をしてまして。それが役に立ちましたね(笑)。すると今度はそこに載せる写真が必要になって、カメラを手にしました。やり始めたらおもしろくて、今では休日も毎日写真を撮っています。

——撮影するとき、どんな思いを込めてるんでしょうか?

若い人にはあまりじゅんさいに馴染みがないので、僕の写真や動画がじゅんさいを知るファーストコンタクトになれば嬉しいですね。第一印象がよければ興味を持ってもらいやすいので、情報発信は重要だと思ってます。

近藤さんは昨年、「じゅんさい」の収穫風景などを映したCMを制作し、これが「あきたふるさと手作りCM大賞」で最優秀賞を受賞しました。秋田県を中心に、東北地方で年間365回放送される予定だそうです。

(動画は安藤食品のFacebookで公開中です)


そうめん、パスタ、冷奴…「どうやってもウマい」

それでは、じゅんさいのおいしい食べ方を近藤さんからレクチャーしてもらいましょう!

——ズバリ、どうやって食べるのがオススメですか?

これから暑くなるので、冷たく食べるのがオススメです。僕が一番好きなのは、熱湯でサッと茹でで、氷水でキュっとしめ、キンキンに冷えたところをワサビ醤油で食べる味です。

——これからの季節、冷たく食べたいですね〜

冷たいそばやそうめん、パスタなどの麺類に乗せてもよし。

冷奴冷たいスープなどに添えて、さっぱり食べてもよし。

クセのない食べ物なので、どうやっても結構うまいと思いますよ。

——〝地元ならでは〟の食べ方でいうと?

地元の定番は鍋ですね。他にも、味噌汁やお吸い物に入れることも多いです。

地元のJAが販売しているソフトクリームも、さっぱりしていておいしいですね。


最後に、近藤さんにこれからの目標を尋ねてみました!

暑くなると、スイカが食べたくなりますよね。それと同じように、「夏になったらじゅんさいが食べたくなってきたなあ」と思ってもらえるように、夏の風物詩にするのが夢ですね。それくらい、多くの日本人に知ってもらいたいです!


……「じゅんさい」の魅力、伝わったでしょうか?

今が食べ頃の希少な生じゅんさい。「知らなかった!」「食べてみたいなあ……」と思われた方、この隠れた名品は、日本人なら絶対一度は食べるべきですよ!

6月は、ジュレがたっぷりのった、最もおいしく味わえる時期です。

その後も収穫は8月下旬頃まで続きます。本格的な夏に向けて、ぜひ早めのご購入をオススメします!

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文=ポケマル編集部

※この記事は2017年6月28日に公開した記事を加筆修正したものです。

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