「土用の前はしじみが旨い」ってなんで?宍道湖の漁師さんに聞いてみた

土用の丑の日にしじみーー。これが今、評判になっているのをご存知でしょうか?

真っ先に浮かぶのは、やっぱりウナギですが、最近はしじみの存在にも注目が集まっているんです。

しじみといえば、ビタミンなどが豊富に含まれ、「肝臓にやさしい」「夏バテにはコレ!」「二日酔いの朝に飲みたくなる」とよく聞くことがありますよね。

 

今回は漁獲量全国トップを誇る島根県松江市・宍道湖(しんじこ)の漁師・錦織淳さんに「土用しじみって何?」と尋ねてみました!

お話を聞いてみると……しじみの味は年中同じではないそうなんです。土用しじみ前のまさに今が、しじみの身が1年の中で一番大きく、最もおいしく食べられる時期でもあるんです。

Producer

錦織淳(宍道湖漁師のしじみ汁)|島根県出雲市

シジミの漁獲量日本一の島根県宍道湖の漁師です。宍道湖のシジミ漁師は約300人。シジミ漁のやり方も3種類あり、当店のシジミは機械掻きの泥の中にいるシジミです。

 

6月〜7月中旬が食べ頃。身が大きく、栄養もたっぷり

錦織さんによると、「土用の丑の日にしじみ」と話題になり始めたのは、ここ最近のことなのだそう。

でも実は、その歴史はすご〜く古いことがわかりました。

土用の丑の日にウナギを食べる習慣は江戸時代からといわれていますが、しじみはそれよりも前から、夏の暑い時期に食べる習慣があったそうなんです。なんと、しじみそのものは歴史の教科書に「●●貝塚」などと登場するように、縄文時代から伝わる食文化だそうです。

 

ーー「土用の丑の日にしじみ」ってなんでですか?


そう言われ始めたのは、最近ですね。しじみはウナギと同じビタミンB12が多く含まれていて、疲労回復などに効果的だからではないでしょうか。うちでは、ウナギとしじみ汁を一緒に食べますよ。

 

ーーそもそも、しじみにもやっぱり「旬」ってあるんですか?


しじみは夏に産卵期を迎えます。その前の6月〜7月中旬が、一番身がプリプリしていて、大きくて、栄養素もたっぷり詰まっています。漁獲量が最も多い時期でもあります。

 

ーーまさに「今が食べ頃」というわけですね!


そうですね。産卵が終わると身が小さくなり、エキスも減ってしまいます。

2018年の土用の丑の日は、7月20日と8月1日の2回あるそうです。早めに購入して、冷凍保存しておくのがオススメです。冷凍保存は約6カ月もちますし、かえって旨味成分が増すとも言われています。

しじみの旬は1年に2回、夏と冬にあって、冬の「寒しじみ」もおいしいですよ。

 

ーー「寒しじみ」とはなんですか?


12月〜3月上旬に獲れます。獲れる量は土用しじみに比べて減りますが、よりしじみのエキスが出るのは寒しじみだと思います。寒い時期にぐ〜っと栄養を蓄えていくので、しじみ汁にするとエキスがじゅわ〜っと出て、より真っ白になるんです!


なるほど……しじみには2回の旬があって、それぞれ味わい方が違うんですね〜。しかも、産卵期前の6〜7月がまさに「旬」だとは。土用の丑の日は、旬のしじみを味わう絶好の機会ってわけですね!

 

ーーどうやって食べるのがオススメですか?


味噌汁やすまし汁、しじみご飯、酒蒸し……シンプルが一番です。逆に言うと、それほどバリエーションがあるわけではないので、あまり悩む必要もないですよね。

 

ーー少し変わったメニューとなると……


トマト缶を使ってパスタにするのもオススメです。しじみはニンニクとの相性がとてもいいので、ペペロンチーノもおいしいですよ!

あと、地元ではしじみラーメンのお店もあります。ご家庭で試す場合は、塩味のインスタントラーメンとしじみがあれば十分。水を沸騰させるときにしじみを入れるだけで、しじみのエキスが出てきます。

  

冬はつらい?音で選別?……知っているようで知らないQ&A

マグロなどの「海の主役たち」に比べて影が薄くなりがちなしじみですが、いろいろ調べていくと栄養素が豊富だったり、味わい方が違ったりと奥深〜いことがわかってきました!

せっかくなので、ここからはそんなしじみについてさらに素朴な疑問をぶつけてみました。

 

しじみには肝機能修復や貧血・高血圧予防、さらには生活習慣病などに効果があるビタミン類や鉄分などが豊富とよく耳にします。また、「二日酔いに効く?」という話を聞いたことのある人も多いはず!

 

ーー漁師さんたちは、「二日酔い知らず」だったりするんですか?


地元でも「効果がある」と言われているので、しじみ汁を飲む習慣はありますね。ただ、効果がないほどたくさん飲むときもありますよ(笑)。

 

ーーどうやって水揚げするんですか?


長さ7〜8mのポールの先端に大きな網カゴをつけた「ジョレン」を湖底に沈め、泥を掻き取りながら獲ります。

使い方には3通りあって、エンジン付きの船をその場で回転させて、その推進力で掻き取る「機械掻き」がその1つです。うちはこの方法で獲っています。

他には、船の上から人力でジョレンを動かす「手掻き」と、湖の中に浸かって歩きながら掻き取る「入り掻き」です。それと、カゴの網目の大きさは、獲りたいサイズに合わせて調整します。


ーー夏(土用しじみ)と冬(寒しじみ)で違いは?


冬は水温が下がるとしじみが泥の中に潜ってしまうので、獲るのが難しくなりますね。夏は早くて1.5時間くらいで規定量を収穫する人もいますが、冬はその倍くらいかかるケースもあります。

 

ーーということは……宍道湖では、漁獲制限があるんですね!


数年前、塩分濃度の低下などによって全然獲れない時期があって、「漁獲量日本一」を明け渡してしまったことがありました。そのため、資源保護を目的に漁協がルールを設定し、漁に出るのは、週4回・朝の3時間・約90kgと決められています。

 

ーー漁を終えた後は……


今度はサイズごとに選別作業を行います。1個ずつ砂を取り除いたり、殻の音で身が入っているかどうかを見分けます。例えば、身が入っていないものは「カラカラ」という高い音がするんです。

 

料亭や旅館に出回る”特大Lサイズ”が、ポケマルなら……

 さて、今が最も食べ頃の錦織さんのしじみは、MとLの2サイズをご用意しています。


一般に流通しているしじみの多くはSやMサイズが多いようですが、錦織さんが出品してくれているMサイズは卸を介さない直送なので、お客さんから「店で買うより大きい」と評判の様子! 

さらに、Lサイズに関しては一般流通分は地元でも限られており、料亭や旅館で使われることが多いとのこと。そんな希少な”特大しじみ”がポケマルなら手に入るんですね!

錦織さんも「しっかり身が入っていて、食べ応え抜群」と太鼓判を押します。どちらも砂出し作業が済んでいるので、調理の手間も省けますよ。


錦織さんのしじみの出品はこちら 


文=ポケマル編集部


※この記事は2017年6月21日に公開したものに加筆修正したものです。

Magazine

あわせて読みたい