杉本農園 杉本さん、徳島有機ファーム 三栖谷さんの挑戦

Sponsored by 徳島県(執筆:株式会社あわわ)

さつまいも『鳴門金時』の生産地として有名な鳴門市で、代々農家の家に生まれ、六代目として現在両親と妻の4人で『杉本農園』を営む杉本仁さん。自身の家業と併せて、地域のさつまいも農家6組と資材やさつまいも苗の比較試験を行う『徳長芋屋本舗』に参加し、メンバーと情報交換することで、さつまいもの農法や販売方法などについて研鑚を積む。そんな杉本さんたちが今挑戦している、新品種『ハロウィンスイート』の誕生秘話と魅力について紹介。

もう一組は、肥沃な土壌と歴史ある豊かな水源『以西用水』の恩恵を受け、徳島県内でも指折りの農業地帯といわれる国府町で就農し『徳島有機ファーム』を営む三栖谷耕一さん。就農について考えていた際に参加した講演で知った農法を忠実に行うことで、土壌の健全化、高循環を実現し、高品質な有機野菜の多収量に挑戦している。そんな三栖谷さんが就農以来実践する農法とその理論、今後の『徳島有機ファーム』のビジョンについて紹介する。

 

目次

 
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βカロテンが一般的なさつまいもの100倍!?
さつまいも界にニューウェーブ到来

『杉本農園』で栽培しているさつまいもは大きく分けて二種類。一つは徳島県を代表する“鳴門金時”、もう一つが、そう“ハロウィンスイート”だ。ハロウィンスイートの特長はカボチャやニンジンを思わせる、鮮やかなオレンジの果肉。それもそのはず、含まれているβカロテンがなんと一般的なさつまいもの100倍という。

分類としては今流行りのしっとり系で程よく上品でフルーティーな甘さ、その色目と味覚でシンプルに焼きいもにもお菓子の材料にもピッタリなのだ。出荷最盛期がちょうどハロウィンシーズンのハロウィンスイートは、その安定した食味とホクホク系好きに定番人気の鳴門金時とともに今販路を拡大している。

ハロウィンスイートの始まり、それは偶然だった。ある生産者数件の圃場で栽培していた鳴門金時の中から、通常のいもと明らかに果肉の色が違う物が見つかった。調査をした結果、βカロテンが100倍! 第一号が発見されてから種苗会社とともに研究、安定するまでに数年を要するのだが、その間に食べ方や貯蔵熟成期間などを試行錯誤し収穫して、1カ月寝かせることで今のようなしっとりして程よい甘みが楽しめる時期に出荷できるようになった。

収穫最盛期は9月下旬、そこから寝かせて、出荷するのがちょうど10月下旬。オレンジの色目がカボチャに似ていることから“ハロウィンスイート”と命名されたわけだ。

『杉本農園』の圃場がある鳴門市大津町徳長は海に面していて砂地、用水に使う旧吉野川の水は汽水なので塩分を含んでいる。さつまいもは砂地での栽培に適し、塩害にも強くミネラルを生かせることから、この地域の特産になったそうだ。そんな中でも地域の生産者とともに徳長の土壌に合うさつまいもの苗を選抜して安定させてきた歴史がある。

『杉本農園』のこだわりはそれぞれの作物の“らしさ”を引き出せるよう栽培・管理すること。鳴門金時なら、ほくほくした食感を大切に苗を選抜し、ハロウィンスイートならしっとりとした食感になるよう貯蔵熟成した物のみを出荷する。

今後の展望を尋ねると「食べ物を作っている以上はおいしいものを作らないといけないという父の言葉を実践し、こだわりを持って作った商品を適正な価格で消費者に販売し、勝負したい」と杉本さん。市場出荷のほかにもECサイトや直売所でも販売を進めている。まだまだ取引は少ないが、自分で価格を決め、購入した人からの声を聞くことができるところにやりがいを感じているという。杉本さんの挑戦はこれからも続く。

 

Producer

 

杉本農園 | 杉本 仁|徳島県鳴門市

   

杉本農園の杉本 仁です。徳島県鳴門市出身、徳島県鳴門市在住です。
自分が生まれ育った土地で栽培している野菜の魅力を、より多くの皆様に知って欲しいと思い始めました。 

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野菜の種類も知らなかった素人が
BLOF理論で有機野菜生産者になれた件

『徳島有機ファーム』では現在、ほうれん草、チンゲン菜、ルッコラ、わさび菜、春菊などの葉物系野菜を中心に年間通じて栽培し、いずれも有機JAS認証を取得している。

代表である三栖谷耕一さんが、就農するまでは「“小松菜”という名前の野菜があることも知らないほど、野菜について興味がなかった」と言っても、今の三栖谷さんの野菜づくりの技術を知っている人は誰も信じないだろう。

三栖谷さんが就農したのは2009年、父親が農地を購入したのがきっかけだった。始めるにも何から準備して、何をすればいいのかも全くわからない。そんなとき、知り合いから紹介された講演で知ったのが、BLOF理論(Bio LOgical Farming:生態系調和型農業理論)だという。

BLOF理論とは自然生態系の法則を理解することで、植物が健康に育つために必要な適切な土づくりを行う。植物の生き様を学び、植物それぞれに備わっている能力を最大限に発揮できるように環境を整え、栄養価の高い農産物を安定生産することができる農業理論。通常有機栽培を行うための土壌改良は、数年かかるといわれるが、BLOF理論ではその期間を短縮し、適切な環境が構築できるというから驚きだ。

そのBLOF理論を実践する難しさなどについて尋ねると「この農法しか知らないから、他とくらべて簡単なのか難しいのか、わかんないね」と笑顔で三栖谷さん。この農法が有機JASの規定内だったから結果的に認証を申請したという。

BLOF理論のメリットはほかにもある。まず、作られる野菜は栄養価が高く、味も良いという。「健康な野菜はこんなにもおいしいのか!」と実感できるはずだ。さらに、土壌の分解が健全に行われるので、連作障害が起きないそう。そのおかげで、一つの圃場で同じ科の野菜の栽培が可能で、土づくりの期間を合わせても年間で6回転という驚異的な高循環を実現している。土壌の状態に関係なくBLOF理論を正しく用いれば、農地はこの結果を得られるというのだから、「この土地はもともと肥沃な土壌に恵まれた…」と言ったフレーズを書きたいライター泣かせな理論だ。

三栖谷さんの今後の農業への挑戦は、教育。自身が学び実践した農法を次代を担う若い就農者に教えたいという。学び、巣立ち、独立してグループとして生産や出荷を行えるような仲間が増えることを夢見ている。それは、日本だけにとどまらず、海外での生産や育成も視野に。『徳島有機ファーム』の未来は大きく広がりを見せている。

 

Producer

 

株式会社徳島有機ファーム | 三栖谷 耕一|徳島県徳島市

   

 徳島県徳島市の徳島有機ファーム 三栖谷耕一です。ハウス15棟と露地で葉物野菜を中心に栽培しています。

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