【大阪発・農業×福祉】障がいのある方もいきいき取り組むバラエティ豊かな農の現場👨‍🌾👨‍🌾<後編>

Sponsored By 大阪府環境農林水産部農政室

農福連携は、障がいを持つ方や高齢者などが農業の分野で活躍できる場を提供し、農作業を通じて社会参画を実現していく取り組みだ。大阪府では、農業の多様な担い手の確保と障がい者の雇用・就労の拡大を図るため、ハートフルアグリ(農と福祉の連携)を推進しており、府内でも取り組みが拡がりつつある。今回取材した大阪市内でハートフルアグリに取り組む2件の事業所は、ポケットマルシェ初参加となる。それぞれの取り組みを紹介しよう。

今回は、2件の事業所の1つである「株式会社 舞洲フェルム」代表取締役の中野さんに話を聞いた。

 

目次

 
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\この記事は2本立てです/

  1. 【大阪発・農業×福祉】障がいのある方もいきいき取り組むバラエティ豊かな農の現場<前編>
  2. 【大阪発・農業×福祉】障がいのある方もいきいき取り組むバラエティ豊かな農の現場<後編> (この記事です)

USJの側にある舞洲(まいしま)の巨大ビニールハウスで栽培される新鮮野菜

 ユニバーサルスタジオジャパン(USJ)の西側にあり、2025年に開催予定の大阪万博会場の北側に位置する、大阪のベイエリア「舞洲」の広大な埋め立て地で、巨大なビニールハウス群を運営しているのは株式会社舞洲フェルム。代表取締役の中野友明さんと、指導員の永本伸枝さんに話を聞いた。

 舞洲フェルムの親会社は、老舗の映像制作をしている会社である。農業と制作会社とはなかなか結びつかない。農福連携に取り組むことになったきっかけは、親会社である株式会社エキスプレスが創立50周年を迎えたときのことだ。映像制作の仕事をしていく中で、今まで難しくてできなかった障がい者の雇用を積極的に行いたいという思いからであった。どうせなら生きがいややりがいを感じてもらえることがしたい。そう考えていたとき、当時社内で人事を担当していた中野さんに白羽の矢が立った。試行錯誤するうちに、先に農福連携に取り組んでいた企業の施設を見学に行く機会を得た。そこでは、5年前より主にサラダほうれん草を水耕栽培で育てていた。そこで最初から働いている人たちが、誰も辞めていないということに衝撃を受けた。「映像制作業界とは畑違いではあるが、面白いかもしれない。どうせやるなら生きがいの感じられることがしたい」と、農業に取り組むことに決めた。今から10年前のことだ。

試行錯誤の連続がわからせてくれたこと

すぐに、支援学校の卒業生7名を招き入れ、TV制作一筋だった社員数名とともに、先に取り組んでいた企業の農場に通い、農業と障がい者との向き合い方を勉強した。その農場は泉南の山奥にあり、片道1時間以上かけて毎日通った。農業に関しては素人で、障がい者への接し方や指導の仕方もわからなかったが、障がい者と一緒に農業を学ぶことで覚えていくことができた。想定外だったのは、障がい者と一緒に農業をしているうちに社員自体のストレスも減り、いきいきしてきたこと。障がい者と仕事をすることは、彼らの為だけではなく、自分たちにも効果があることがわかった。2013年には株式会社舞洲フェルムを設立し、2014年7月から舞洲のスポーツリクレーションゾーンだった場所に設備を整え、ビニールハウスでの水耕栽培をスタートさせた。現在は、就労継続支援A型事業所として13名の障がい者を雇用している。

太陽光を利用した水耕栽培で農薬を使わない安心安全の野菜づくり

 舞洲は大阪湾を埋め立てた、大阪市内とは思えない広々とした太陽が降り注ぐ場所である。ここで太陽光を利用したビニールハウスで土を全く使わず、植物の成長に必要な養分を溶かした水溶液で野菜を育てている。330坪と144坪の栽培場があり、それぞれ年間25,000㎏、11,000㎏の葉物野菜が収穫できる。サラダほうれん草、サラダ水菜、スイスチャード、ルッコラ、ワサビ菜、パクチー、ロメインレタスなど12品目を栽培している。どれも個性的で付加価値の高い品種である。販売先の依頼に応じているうちに種類がどんどん増えてきたそうだ。すべて農薬不使用の安全安心な野菜である。ここでは、雇用してから最初の1か月間は作業をひと通り担当してもらい、向き不向きや適性を確認し、それぞれの障がいに合った作業シフトを組む。播種(種を植える作業)、定植作業、収穫作業、水耕ベッドの洗浄、計量作業など、ひと通り経験してもらい、その姿勢、仕草から、この子にはどの作業を任せたら自信をもって働いてくれるのかわかるそうだ。かなり根気と集中力がいる作業である播種作業を任されている青年は「最初の頃は苦労しましたが、すっかり慣れました」と答えてくれた。小さな種を決められた場所に間違えずに播くのは、忍耐力も必要で、至難の業に見えた。ハウス全体の作業を管理している担当者に聞くと「播種作業は、集中力が続く人しか任せられないので、あきらめない力のある子しかできないんですよ」と教えてくれた。

コロナ禍の影響で出荷は6割減

 大手スーパー、ホテル、レストランへの直接販売の他、大手通販サイトでの販売もしているが、今年の1月、2月は去年の半分まで落ち込んだ。ホテルやレストランの需要が減ったことが主な要因だ。新たな事業として今年の1月、大阪市内で初のいちご狩りができるスポットを隣地にオープンさせた。その名も『風舞う海辺のいちご畑』。章姫、紅ほっぺ、おいしベリー、新品種のよつぼしを栽培している。完全予約制で人数制限をしながらではあるが大阪市内で唯一、いちご狩りができる場所として好評のようだ。ここのいちごも他の野菜と同様に障がい者のみなさんが丁寧に育てている。


●株式会社舞洲フェルム

〒554-0042 大阪市此花区北港緑地2丁目1番19号

https://www.maishima-ferme.co.jp


楽しく作る野菜は美味しい

今回取材させていただいた大阪市内の2件で印象に残ったのが、そこで働く障がい者の方含め、他のみなさんもこのコロナ禍の中でも、元気に明るくやりがいを持って働いている姿。大阪という都市にありながら「みなさんに喜んでもらえる、美味しい農産物を作ってる」という自信と喜びを感じられる笑顔に囲まれてできた野菜は、安全で安心なだけでなく美味しく健康に育っています。障がい者のみなさんが手間暇かけて、丁寧に育てた野菜、ぜひご賞味ください。

ハートフルアグリに取り組む生産者さん

Producer

 

  

豊田みどり|大阪府大阪市西成区|よろしい茸工房

   

よろしい茸工房の豊田みどりです。大阪北新地で生まれ、今、西成で菌床椎茸の栽培をしています。大阪のど真ん中西成から食卓へ大阪もんしいたけをその日のうちにお届けする、そして西成をしいたけの街にすることでイメージが変わり、地域が元気に!!を掲げ頑張っています。

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Producer

 

小林將元|大阪府高槻市|NPO法人クラウドナイン

     利用者さんと職員で育てました。ぜひご賞味ください。

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Producer

 

中野友明|大阪府大阪市|株式会社 舞洲フェルム   

舞洲フェルムの野菜は太陽光を利用した水耕栽培で、栽培期間中は「農薬を使わない安全安心の野菜」です。

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Producer

 

辻晃佑|大阪府和泉市|F.C.農縁

     大阪・和泉市で農薬、化学肥料を使わずお米と野菜を育てています。

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Producer

 

中島光博|大阪府和泉市|GreenGrove

     初めまして、大阪府和泉市にて洋野菜を中心に栽培をしているGreenGroove(グリーングルーヴ)の中島と申します。
看板商品の「ヨーロピアンリーフミックス」は多くのレストラン・ホテルのシェフより好評をいただいている自慢の一品です!2019年6月に開催されたG20大阪サミットでは特定食材としてご使用いただきました。是非皆様もお試しください! 

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Producer

 

加藤秀樹|大阪府泉佐野市|泉佐野アグリカレッジ   

     泉佐野アグリカレッジは、「NPO法人おおさか若者就労支援機構」、「株式会社 泉州アグリ」、「有限責任事業組合大阪職業教育恊働機構(A’ワーク創造館)」の3つの団体で構成された共同企業体です。
それぞれが取り組んできたこれまでの蓄積をもとに、3社の特性と泉佐野の地域性を活かした新たな事業をつくり出すために設立されました。

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