大阪グルメの立役者『松波キャベツ』の旬がやってきた![PR]

大阪・泉州地域に伝わる"とある"キャベツ。

『松波』と名付けられたそのキャベツは、大阪の食文化に無くてはならない存在なのだといいます。

この冬ポケマルで松波を販売する『泉州アグリ』を訪れ、松波や泉州野菜について話を聞きました。

\この記事は2本立てです/

  1. 大阪グルメの立役者『松波キャベツ』の旬がやってきた![PR](この記事です)
  2. 農家だけが生産者じゃない。泉佐野アグリカレッジに見た農業の多様性 [PR]

目次

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大阪が愛する食材『松波キャベツ』とは?

2020年11月中旬。大阪府泉佐野市のとある畑にやってきました。目的は、大阪を代表する『松波』という名のキャベツの謎に迫るためです。

気持ちよく拓けた空の下を進めば、色々なトーンの緑色が賑やかな畑にたどりつきました。その中にいるのが、今日お話を聞かせてくださる株式会社泉州アグリ・加藤秀樹さんです。

松波キャベツとお好み焼きの深い関係

(株)泉州アグリ|大阪府泉佐野市

地元の農家さんから教えを受けて、10年近く前から泉州ブランド野菜の生産から加工、販売まで行っています。泉佐野市は昔から農業が盛んな地域で、水ナスや松波キャベツ、玉ねぎなどの特産品があります。大阪だけではなく、全国の皆様にそのおいしさを伝えたいと思っています。

加藤さん、本日はよろしくお願いします。単刀直入にお聞きしますが、『松波』とは一体どんなキャベツなのでしょう?

『松波』は12月から1月にかけて旬を迎える冬キャベツです。ぎっしり葉が詰まっていて、芯まで甘い。粉もん文化の大阪に無くてはならない味です

大阪の粉もんといえばお好み焼きですね。『松波』はお好み焼きにとって特別な存在なのでしょうか ?

そうやね。お好み焼き屋さんでも「絶対松波がええ」ってお店は多いかな。店の入り口前に「松波使ってます」みたいな看板を出しているところもあるよ

『松波』は美味しいお好み焼きの代名詞みたいになっているんですね。ということは、『松波』が旬の12月から1月は「お好み焼きの旬」でもあるのかも?

ははは、そういうことかもしれんね

泉州で松波を育てるワケ

収穫1ヶ月前、11月中旬ごろの松波。既に結球が始まっており、手のひら大のミニキャベツができていた。

そんなに美味しいキャベツなのに、関東に住む私は『松波』の名を見た記憶がありません……

キャベツを品種名で売ること自体が、珍しいことですからね。例えば「春キャベツ」は「春に収穫できるキャベツ」のことで、地域ブランドとして有名な「嬬恋キャベツ」は「嬬恋地域で生産されたキャベツ」のことです。どちらも品種名ではありません

確かに、スーパーでは産地は書かれていても品種名までは書かれていませんね。もしかして、スーパーでただ「キャベツ」とだけ表示されて売られている『松波』もあるのでしょうか

そういうこともあるかもしれないし、あとは東京でも食材にこだわる飲食店などでは『松波』を指名して仕入れていることもあると思います

ところで、加藤さんたちはなぜ『松波』を栽培しているのでしょう?

泉佐野で農業をしようと思ったら、『松波』は必修科目やからね。もし、新規就農するときに「松波を知らん」と地元の農家さんに言ったら、「これ持ってき!」って『松波』を10玉くらい渡されるんじゃないかな(笑)
『松波』の栽培が始まったのは20年前くらい前と比較的最近のことやけど、それからこの地域の人たちが力を入れてブランドを育ててくれて、今や泉佐野を代表する野菜になっているんです

「泉州野菜」を地域ブランドに

大阪湾に面している泉佐野市は、近年では関西国際空港のある街として有名になった。空港へ渡る橋の周辺は「りんくうタウン」と名付けられ、海沿いに観覧車やアウトレットモール、人工ビーチなどが整備され観光地となっている。

もはや、『松波』はこの地域になくてはならぬ存在なのですね

そう。だから泉佐野のお米は早期米しかない

と、いいますと?

お米は本当は9月から10月頃に収穫する品種の方がおいしいんやけど、その時期はちょうど『松波』の植え付け時期なの。9月上旬の苗植えの前に稲刈りを完了させるために、泉佐野では8月に収穫できる早期米しか育てないんです

『松波』を軸に年間作付け計画が作られていると……泉佐野の『松波』にかける本気度が伝わってきました

泉佐野市がある大和川より南側の大阪湾岸部のあたりは「泉州(せんしゅう)と呼ばれていて、昔から農業が盛んな土地でした。都市型農業やから徐々に農地は減ってしまっているけれど、消費地がすぐそばにあるという利点を生かして頑張ってるんです

泉州地域には『松波』の他にどんな野菜があるのでしょう?

春は『泉州玉ねぎ』日本の玉ねぎ栽培はここ泉州から始まったと言われています。夏は『泉州水なす』「泉州の地で育てなければ本来の味に育たない」と言う人もいます最近は『泉州玉ねぎ』『泉州水なす』『泉州キャベツ』の3つをまとめて『泉州野菜』としてブランド化しています

12月、松波の旬が始まる

取材終了後、畑から臨んだ夕焼け空。はるか先には、りんくうタウンのランドマークであるタワービルや観覧車が見える。

12月からはいよいよお好み焼き……もとい、『松波』の旬が始まりますが、加藤さん率いる泉州アグリが作る『松波』のアピールポイントはどんなところでしょう?

まずは大きさ。市場出荷のキャベツは1箱に8玉入るくらいの大きさが主流やけど、うちは同じ箱に5〜6玉でいっぱいになる大きさまで育てます。キャベツは放っておけばどんどん大きくなるんやけど、うちでは苗を植え付けるときに普通より間隔を2cmだけ広くしています。普通は33cmにするところを35cmで

よりのびのび育てているんですね。大玉だとどんな良いことがあるんですか?

やっぱ大きい方が嬉しいやん。大阪の人は大きいのが好きやからな。マルシェで販売すると「こんな大きいのん重たいわ〜」と言いながらうれしそうに買ってくれます

なんと大阪らしい理由(笑)。でもそれって直接販売してきたからこそわかるニーズですね

あとは収穫のタイミングも重要です。『松波』の収穫ベストタイミングは、12月の冷え込んだ日外側の葉っぱが紫色になる頃です。それより早く収穫することはありませんよ

そうして、大玉で葉っぱがぎゅっと詰まって芯まで甘い『松波』が完成すると……

後日、取材班の元に届いた松波。芯の甘みにびっくり仰天した(2020/12/12 撮影)

聞けば聞くほど、『松波』のお好み焼きが食べたくなってきました

大阪の人にキャベツを丸ごと1玉渡すとするやろ。したら6割の人は「今日キャベツもろたからお好み焼きしよか〜」ってなるくらい、大阪ではキャベツといえばお好み焼きなの。あとな、お好み焼きに入れるキャベツの切り方にもみじん切り派と千切り派がいてな……いや、やめときましょ。この話題は大阪人同士やったら言い争いになってしまうんで

その論争もまた大阪愛ゆえですね

松波には泉州の粋が詰まっている

品種・地理的特性・栽培のこだわり・収穫のタイミングのすべてが揃ってようやく完成する泉州キャベツ『松波』と、泉州で暮らし・泉州野菜を育て・泉州のおいしさを人々に直接手渡してきた加藤さん。

この2つが出会うことで聞くことができた「やっぱ大きい方が嬉しいやん」の言葉には、加藤さんの泉州人・農業人としての「粋」が詰まっているような、特別な響きを感じました。

さあ、今年も松波キャベツの季節が始まります。

後編はこちら>>農家だけが生産者じゃない。泉佐野アグリカレッジに見た農業の多様性 [PR]

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取材・制作

いいきじ生産組合(なかゞわ、おゝしろ)

取材で集めた種から『いいきじ』を育てる仕事をしているweb編集ライターのチームです。2017年から農林水産業系の取材記事制作に携わり、2020年11月末までの取材歴は全国29カ所以上、制作記事数は39記事以上。2人とも宣伝会議「編集ライター養成総合講座」東京32期卒業(最優秀賞)です。

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