特別な日のごちそうの代表選手といえば、ステーキ!
さまざまな食材が手に入り、いろいろな国のおいしいものがあふれるこの時代でも、「記念日=ステーキ」という公式が根強く残っているのではないでしょうか。
今回はなんと……! そんなごちそうの予行演習をさせてもらうことになりました。
佐賀県杵島郡江北町の山下秀弥さんの佐賀牛のステーキを焼きます。
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ところで佐賀牛って何? なんで高級なの?
JAグループ佐賀によりますと、
全国に約150程ある「○○牛」といった牛の銘柄の中で、全国トップクラスの高品質の牛肉として安定的に供給できる産地がJAグループ佐賀です。
そのJAグループ佐賀管内肥育農家で飼育された黒毛和種であって、(社)日本食肉格付協会の定める牛取引規格の最高の肉質である「5」等級および「4」等級のBMS「No.7」以上を「佐賀牛」と呼び、それ以下を「佐賀産和牛」と分けてブランド化しております。(佐賀牛ホームページ「佐賀牛とは?」より引用)
とのこと。
なんだか難しいですが、せっかくなので興味ある方のためにもう少し詳しく説明させてください!
牛肉の格付は、①歩留等級と②肉質等級の2つの基準で決められます。
①歩留等級
1頭の牛からどれくらい多くのお肉を取ることができるかを表す記号で、数値の高いものから順にABCの等級に分けたもの。
②肉質等級
肉質に関係する4つの判定項目をそれぞれ5〜1の5つに等級分けしたなかの、最低の数字。(4つの判定項目は、「脂肪交雑(=サシの入り具合)」「肉の色沢(=色やつや)」「肉の締まりとキメ」「脂肪の色沢と質」)
たとえば、私たちがよく耳にする、「A5ランク」というのは、①歩留等級がA、②肉質等級が5という意味。「佐賀牛」はこの等級がA4ランクの最上級からA5ランクのものだけが名乗れる銘柄なのです。
そしてそして、山下さんの出品はA5ランクの佐賀牛! 本当に最上級のお肉なのですね。
超高級佐賀牛様の到着に緊張がはしる!
高級感でいっぱいの地模様の入った黒い箱に入って佐賀牛様が到着です。これなら、特別な方へのギフトにも安心です。
山下さんが生産する佐賀牛は、まさに肉用牛のエリート中のエリート! 上下の緩衝材によって丁重に守られて登場です。
大きい! そして、なんてサシの入り方でしょう。
今まで、こんな立派なステーキ肉に出会ったことはありません。
それもそのはず、2枚9,000円と、お値段も段違いなのです。これは、失敗できない……と背筋に緊張がはしりました。
困った時の「おばあちゃんの知恵」だのみ
「ステーキ 焼き方」でネット検索をすると、120万件以上の結果が出てきます。プロの料理人のものから、ステーキ肉の販売をするお肉屋さんのもの、料理自慢の主婦や、男の手料理を極めた強者まで……。
でも、見れば見るほど、どうしていいのかわからなくなってしまいます。
塩をふるタイミングひとつにも、「焼く直前にふるのがいい」とするレシピがあれば、「早めに塩をしてしばらく時間をおきなさい」というのもあり、「塩は焼く前にはふらないほうがよい」というものまであります。
「えええ? 一体どうしたらいいの???」
そんな時、ふと思い出したのが、おばあちゃんが教えてくれた魚の切り身の焼き具合を見る時のコツ。
「表面ではなく、側面を見る。生っぽさがなくなっていたら、焼けているよ」
というもの。これはお肉でも応用できるかも?
おばあちゃん子だった筆者は、幼稚園の頃からおばあちゃんが料理している手元を横で見ているのが大好きでした。手際よく美味しいものができていくのを、飽きもせずに見ていたものです。
おばあちゃん自身も、小さい頃から病弱だった母親の代わりに家族の食事を作っていたそう。
料理好きなのはもちろん、美味しいもの好きかつ好奇心も強い人だったので、本職の料理人さんの料理の仕方を見よう見まねで覚えてきて、お祝い用の鯛を串打ちして炭火で焼きあげたりするなど、腕も確かでした。
筆者は、おばあちゃんの横でおしゃべりをしながら、魚のおろし方や、煮魚のコツ、危なくない包丁の洗い方などを、覚えていきました。今の料理好きの自分は、おばあちゃんのおかげでできあがっているのでしょうね。そして、これまでに執筆したポケマルの記事にもその知恵は注がれてきました。
インターネット×おばあちゃん……知恵袋のハイブリットで焼いてみよう
では、ネットで調べた中で共通することと、おばあちゃんの知恵を総合して、今回のステーキの焼き方を整理しておきましょう。
1.肉は常温に
焼く30分前くらいに冷蔵庫から出しておきます。
2.塩は焼く直前に
山下さんの佐賀牛はしっかりサシの入った非常に状態のよい肉なので、早めに塩をして水分を出して旨みを増すなどの必要はないようです。
3.強火で旨みと肉汁をとじこめる
側面を見て裏返すタイミングをはかる。ここからがおばあちゃんの知恵です!
4.裏返したら、肉の側面を見て焼けているかを確かめる
さっそく、焼いてみましょう。
肉の状態をまずは見極める!
冷蔵庫から出して常温にしておいたお肉を真空パックから取り出して、余分な水分を取り除きます。
素手で触った肉は脂が染み出しトロトロの手触り。このお肉の状態を見て、大きな決断をしました。
——これは、フライパンに油をひく必要はない!
フライパンを強火にかけ、肉に軽く塩をふります。フライパンから煙があがってきたら少し火をしぼって、塩をした側を下にして肉をフライパンへ。
フライパンからはみ出しそうな肉! フライパンは20年以上使い続けた鉄製です
ジュウゥ!! と威勢のいい音とともに肉の表面が焼けます。
余分な脂をキッチンペーパーで吸わせながら……
肉を側面から見て……
側面の焼け具合に注目
下側に焦げ色が出たところで……
焦げ目が出てきました
ひと息に肉をひっくり返します。
まだ返していない状態。ここから一気にひっくり返す!
そして、また側面を見て……
側面がこんがり
こんがりした色になったところで火を止めて肉は皿へ。軽く黒コショウをふります。
火を止めて皿へ
皿で肉を休ませている間に、フライパンに残った脂で玉ねぎのみじん切りを炒め、白ワイン、しょう油、クミン少々を入れて強火でひと煮立ちさせてソースをつくります。
肉の匂いが部屋中に盛大に広がっています。
幸せが肉のかたちでやってきた! いざ実食
つけあわせには、今が旬のホワイトアスパラを。
まずは、そのまま何もつけずに。
表面はカリっと香ばしく、カットした面はほんのりとピンク。生っぽさは感じられませんが、そこからも脂がじんわりあふれ出してきます。
口の中に入れると……うわー! トロトロ!! 口の中がとろけます。脂ってこんなに甘いものなのですね。
玉ねぎソースを添えると、さっぱりとした味わいに変化します。幸せが肉の形でやってきたようです。
ところで、2枚のお肉を1枚ずつ焼いたため、フライパンには2回目の脂が残っています……。シメのごはんアレンジいってみましょう!
そのままごはんを炒めて、しょう油を少々たらし、黒コショウをたっぷり。
見た目は地味ですが、ギュギュっと旨味が凝縮されています。
これは旨すぎる!!
上品なバター醤油ごはんのようです。そりゃあ、そうですね。バターは牛の乳からできているのですから。
超高級な佐賀牛様をすみずみまで、徹底的に堪能させてもらいました。
今回の勝因は、フライパンに油をひかなかったことだと思います。しっかりサシの入ったお肉は旨味のつまった脂に包まれていますから、お肉自体の油だけで十分でした。
ステーキ肉も状態はそれぞれ。よく見た上で、塩をふるタイミング、フライパンに油が必要かどうかを判断するのがいいかと思います。
そして、焼き具合は側面を見よ! です。
さて、素晴らしく口の中でとろけるこのステーキ、次はどの記念日に食べましょうか!
今回使用した佐賀牛のステーキ肉はこちら!
1968年、北海道生まれ。設計デザイン、商品開発などに携わったのち、宣伝会議 編集・ライター養成講座 上級コース 米光クラス第7期受講。修了後ライターとして活動。現在、札幌国際芸術祭2017【大風呂敷プロジェクト】に運営サポートとして参加中。