「今日はどうしても本格的なカレーが食べたい!」
時折やってくる耐えがたい衝動ってありませんか?
カレールーは市販の本格派レトルトを購入すればいいけれど、問題はお米の種類。
一般的に私たちが食べているお米は、もっちり艷やかな「ジャポニカ米」と呼ばれる品種群ですが、インドやタイなどの本格エスニック料理にぴったりのお米は、パラパラと細長い「インディカ米」。
しかし、ポケマルでは日本在住の生産者さんが育てたお米しか販売していません……。国産の安心なお米でおいしい本格カレーを食べるにはどうしたらいいの……。
そんなカレーLOVE!国産米LOVE!な方に朗報です。
兵庫県の高橋清紋さんがカレーに最適な『カレー米(品種名:プリンセスサリー)』を販売中です!
インディカ米とジャポニカ米の長所を受け継いだ、日本向けカスタマイズ済みの長粒種のお米です。
カレー米ってなに? お米の世界を学んでみる
到着した高橋さんのカレー米。袋はとってもいい感じに和風ですが、さっそく開封してみます。
途端に立ち上ってくる香りはどこかポップコーンを思わせる香ばしさ。私たちの慣れ親しんだお米の香りとは違ったものでした。
品種名は『プリンセスサリー』。エレガントなお名前です。
まずはそんなプリンセスサリーをもっと知るべく、オフィスにあった他のお米と比較してみました。
比較したのはお馴染み『ひとめぼれ』と、岐阜を代表する『はつしも』。
一粒ひとつぶ比べてみると、プリンセスサリーの異国情緒がさらに際立ちます。
私たちが普段食べているお米はジャポニカ米(短粒種)。お米の形は楕円形で、粘り気があります。
一方、インドやタイをはじめとする東南アジア圏で食べられているのはインディカ米(長粒種)。お米の形は細長く、粘り気が少なく香ばしい匂いがします。
1993年に日本で大騒動となった米不足を覚えている方は、あの時緊急輸入された「タイ米」と同じ種類といえばわかりますよね。日本のお米とは全く性質の違うお米なので、当時の日本でのインディカ米の扱われ方は散々だったといっていいでしょう。
しかし、それは日本のお料理に使用する前提での話。東南アジアのお料理に合わせなければ、インディカ米の実力は発揮できません。
そんなインディカ米にも、日本のお米と同じようにいろいろな品種があります。その中でも高級品種と呼ばれているのが『バスマティ』と呼ばれる品種です。
バスマティとはヒンディー語で「香りの女王」という意味なのだそう。それほど芳潤な香りが魅力のお米なのです。
そのバスマティとジャポニカ米をかけ合わせて作られた品種がプリンセスサリー。本来、日本の気候での栽培に向かない長粒種のお米を、日本でも栽培できるように改良したものです。
豊かな香りを纏いながら、パラパラとした舌触りが印象的。その一方でぱさつくことなく、しっかりとした弾力も楽しめる良いとこ取りの贅沢なお米となっています。
失敗知らず。カレー米を「ゆとり法」で炊いてみた
生産者の高橋さんが推奨するのは、『湯取り法』と呼ばれる方法。日本のお米のように「炊く」のではなく、パスタのように「茹でる」のだそうです。実際にトライしてみます!
①お米をざっと洗う
とにかく吸水しやすい性質を持つプリンセスサリー。余剰な水を吸わせぬように、手早く簡単に洗います。また粒が脆いのでやさしく取り扱ってあげてくださいね。
②水をたっぷりと沸かす
大きめの鍋にたっぷりと水を沸かします。炊きあがりのパサつきが気になる方は、お米1合に対して大さじ1のオリーブオイルを湯に加えます。お好みで1合に対してひとつまみの塩を入れてもOK。
③お米を入れる
お湯が沸騰したらお米を投入し、まんべんなく湯がくようにしましょう。
④そのまま5〜6分茹でる
時々お米を味してみましょう。お米の中心に少し芯が残る「アルデンテ」になったら茹で時間終了の合図です。
⑤米をザルに取り出す
お湯を捨てて、お米をザルに取り出します。
だいぶ膨らみました。
⑥米を鍋に戻し軽く水分をとばす
ここが『湯取り法』の面白い工程。一度お湯から取り出したお米を再度鍋に戻し弱火にかけ、お米をつぶさない程度に軽く炒めるようにして水分を飛ばします。軽くぱちぱちと音がしはじめたら火を止めます。
⑦5〜10分蒸らす
フタを閉めて5~10分蒸らします。
⑧完成!
なんて簡単なのでしょう。お水を計量する必要もありませんし、「赤子が泣いてもフタを取ってはいけない」という精神的プレッシャーもありません。あまりにも簡単すぎて拍子抜けしました。
カレー米をエスニックカレーで食べてみた
炊飯するにつれてどんどん濃厚になる甘くて香ばしい匂い、すでに胃が空腹のあまりに悲鳴を上げています。待ちに待った実食タイムです!
某高級スーパーで入手したレトルトタイカレーでいただきます。
一口いただくなり、思わずため息が漏れる美味しさ。
「これ、タイ料理屋のカレーじゃないですか……!」
インターン金澤も満足の様子。
カレーが似合うゆとり世代である
トロリとした日本のカレーとは異なる、サラリとしたエスニックカレーにぴったりのパラリ感。それでいて確かに存在感のある米粒に、女王のような気高ささえ感じてしまいます。まさしくこれが唯一無二のプリンセス!
……あれ? 突然あやしいヒゲの方が乱入してきました。
「ちょっとそれカレーじゃないの? ていうかレ・ト・ル・ト??」
ゆとり世代、唐突の煽りに困惑
やけに突っかかってくる彼はただのヒゲではありません。
以前、南アジアをはじめとする世界を放浪した経験のある、本場を知り尽くした男ことポケマルCOOホンマは、ニヤリと不敵な笑みを浮かべこういいました。
これがオレのおもひでの味! ホンマ流ビリヤニ
ビリヤニとは、インドとその周辺諸国で食べられているスパイスの炊き込みご飯のこと。地方ごとに少しずつレシピの違う様々なビリヤニが存在する、東南アジアの伝統的なお料理のひとつなのだそうです。
それぞれの家庭によって少しずつお味が違い、実は明確な定義がないビリヤニですが、日本ビリヤニ協会ではこう定めています。
1. 高級米バスマティを使用していること
2. フライパンで炒めておらず、パッキ*・カッチ**・生米のいずれかを用いていること
3. 2種以上のスパイスを使用していること
4. 豚肉以外の肉を使用していること
*パッキ:グレービー(カレー)を作り、炊いたお米を上に乗せ層にし煮込む調理法
**カッチ:マリネした生肉の上に半分くらい炊いたお米を層にして、長時間炊き込む調理法
「そう、ビリヤニはインドでは高級食なんだよ。基本的にインドで食べられているのはダルカレー(豆のカレー)。お肉は全般的に高級品とされているから、ビリヤニは普段なかなか食べることはないんだよね」
そういいながら、懐から数種類のスパイスを取り出すホンマ。
左からローレル・コリアンダー・クミン・ガラムマサラ……一瞬でキッチンがインドに
「僕が旅をしているとき、必ずバックパックにスパイスを数種類持ち歩くようにしてたんだ。行った先々でときどき一般家庭に泊めてもらってたんだけど、そのときお礼としてビリヤニを作ったんだよね」
というわけで調理開始です。今回は「パッキビリヤニ」を作るということで、まずはグレービー作り。
ヨーグルトとスパイス各種を合わせたものに鶏肉を漬け込みます。
その間に深鍋でプリンセスサリーを湯取り法で炊きつつ、浅い鍋で玉ねぎをちょっぴりカリッとするまで揚げ焼きします。
玉ねぎの加熱を終えたら、鶏肉に加熱。トマトソースを加え、塩やスパイスで味を整えればグレービーの完成です。
その後グレービーの上に炊き上がったプリンセスサリーを平らになるように敷き詰めていきます。
ここでホンマが一言。
「僕の思うビリヤニの秘訣はまさにこの層。最終的に混ぜ合わせたときに、グレービーが浸み込んだ米と浸み込んでいない米がマダラに合わさってカラフルになるのがポイントなんだ」
米の上に粗く砕いたナッツ類と先程フライしたオニオンを乗せたあと蓋を閉め、煮込むこと数分。
蓋を取って下から混ぜ合わせると……
『ホンマ流ビリヤニ〜これがオレのおもひで味〜』が完成しました!!
気づけばオフィス中に香ばしいスパイスの香りが広がり、スタッフ全員空腹に。張り切って実食です!
男性一同「いただきまーす!(野太い声)」
食欲そそるスパイシーな味に、スプーンが止まらない!!
* * *
カレーに合わせると最高に能力を発揮するカレー米。芳潤な香りと独特の食感は、我々のお米の常識を覆すほどでした。
「カレーを食べたいからカレー米にしよう」ではなくて、「カレー米を食べたいからカレーにしよう。あ、ビリヤニもいいな」
そんなセリフが思わず漏れ出す、素敵な出会いがありました。高橋さん、ごちそうさまでした!
高橋さんのカレー米の出品はこちら
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おゝしろ実結
writer&editor&illustrator 自転車や地域文化、芸術を専門に執筆。東西奔走、自転車に荷物を積み離島へひっそり渡航するのが生きがい。2012年に短編小説『常套的ノスタルジック』が筑波学生文学賞 大賞を受賞。2016年執筆のルポルタージュ『ワニ族の棲む混浴温泉』が宣伝会議 編集ライター講座大賞を受賞。他、自転車雑誌やグルメ系Web媒体など幅広い分野で執筆を行っている。旅のイラストなども随時発表中。公式サイトmiyuo10qk.wixsite.com/miyuoshiro