花粉症の方の間で話題のじゃばらについて、和歌山県有田市でじゃばら(他さまざまなかんきつ類)を生産している、紀伊路屋(きいじや)・長谷光浩さんのお話を元にご紹介します。
長谷さんとじゃばらの木
「じゃばら」の検索結果一覧をみる
多くの日本国民を悩ませている花粉症。推定3,000万人以上、国民の4人に1人がスギ花粉症ということですから、凄まじい数です。
読者の方の中にも花粉症の方がいるでしょうか。
重度の花粉症をお持ちの方にとっては、「花粉症の時期に嬉しい柑橘がある!」と言われたら気になるでしょうか?
今回紹介するじゃばらは、花粉症に効果がある!?という口コミで広まり、テレビでも取り上げられたことによって、近年注目されている柑橘なのです。
「じゃばら」が花粉症話題になっているワケ
2001年から2004年にかけて、花粉症の症状がある方を対象とした「じゃばら果汁、果実及び商品の消費者モニター調査」が行われたそうです。
これによれば、「じゃばら果実は花粉症に効果がありましたか?」との質問に対し「大変あった」または「少しあった」と回答した方が61%という結果でした。
(※和歌山県果樹試験場の資料を参照)
では、専門家はどういう見解を示しているのでしょうか。
和歌山県工業技術センターの調査によると、
「じゃばらには花粉症(アレルギー)の原因となる脱顆粒現象を抑制する機能があり、香酸カンキツ果実の中で特異的に多く含まれるフラボノイドのナリルチンがその一つである可能性が高い」
ことが示唆されているとのこと。
香酸柑橘のフラボノイドの含量を比較すると、じゃばらはナリルチンの含量が桁違いに多いことがわかります。
(※和歌山県果樹試験場の資料を参照)
つまり科学的見地からもその効果は認められており、個人差はあるものの効果を実感できる方も一定数以上いるということが言えそうです。
というわけで無責任な言い方にはなってしまいますが、花粉症に悩まれている方で「なんでも試してみたい」という方は、一度試されるのが良いのではないでしょうか。
そもそもじゃばらって何?
花粉症関連の話についてはこれくらいにして、じゃばらとはそもそも何なんのか、ということについて簡単にご紹介を。
じゃばらは、レモンやライム、かぼす、すだちなどと同じ香酸かんきつ類で、ビタミンCやクエン酸が豊富に含まれており、そのままの生食よりも絞った果汁を調味料や飲料に利用することなどに向いています。
じゃばらはもともと和歌山県北山村に自生しており、かつては外にその存在は認知されていませんでした。
そもそも農産物というのは、品種登録がされていない限り、社会的には存在を認められていないことになります。しかし、北山村のとある住人の働きによって、じゃばらは世界に他に類のない柑橘であることが認められ、1979年に、育苗法に基づき「じゃばら」は品種登録されることになりました。
じゃばらの葉は、他の柑橘とは違った葉の形をしている。枝側にちょこっともう一つの葉みたいなのが付いています。
その後北山村では本格的にじゃばらの生産を始め、じゃばらを広めていく活動も積極的に行っていくことになります。
和歌山県有田市のみかん農家がじゃばらに目をつけた理由
今回お話をうかがった、和歌山県有田市でさまざまな柑橘類を育てる長谷光浩さん。約10年前に、じゃばらに目をつけ生産を開始しました。
なぜ目をつけたかというと、当時長谷さんは猿による獣害に悩まされていました。そこで猿が食べない柑橘としてじゃばらに目をつけたのです。
固くて酸っぱい香酸かんきつ類は、猿の被害に遭いにくいのだそうです。
周辺のみかん畑には獣害対策のため、網が張り巡らされている
その当時は、まだじゃばらは北山村での生産が中心で、全国的には生産されていませんでした。
先に挙げた種苗法では、品種が新品種であると認められてから25年間は、新品種の開発者に「育成者権利」を認め、誰でも同品種を増殖したり販売することができないように防いでいます。
じゃばらの木は少し小ぶり。収量は少ないが、収穫はしやすい
しかし長谷さんがじゃばらに目をつけた頃は、種苗法の育成者権利の期間が過ぎており、生産が可能な状態になっていました。
長谷さん:
「ただその頃はまだじゃばらの苗木があまり出回っていなくて、種苗屋さんに行っても1本とかしか売っていないのです。なのでまずは1本購入し、その後は徐々に買い足したり、自分で育苗したりしながら、数を増やしていきました。今では毎年、重さにして約1tほどのじゃばらを育てています」
じゃばら農家にとって加工品が重要な理由
じゃばらが「花粉症に効果がある」という噂が広まったのが2001年。その頃からじゃばらは爆発的に売れるようになり、長谷さんの紀伊路屋でもいまだに人気が続いているのだそうです。ただし少しだけ落とし穴があるそうで・・・。
長谷さん:
「じゃばらの収穫は11月中旬頃から始め、ちょうど花粉症が最も流行する時期には、じゃばらの旬シーズンは終わってしまうのです。ですから花粉症の需要に応えるとすると、収穫したじゃばらで加工品を作っておいて花粉症の時期には売ることになります。うちでは100%果汁のほか、みかん果汁とミックスしたジュースや、ジャムを製造・販売しています」
紀伊路屋さんで生産・加工・販売しているじゃばらの加工品
じゃばらの食べ方?
じゃばらの果汁や果皮はレモンと同様の用途で、様々なお料理に使うことができます。
鍋物はポン酢にじゃばら果汁を絞って「じゃばら鍋」。
熱燗にじゃばらの果皮を削り入れるもよし。
酎ハイに輪切りにしたじゃばらを入れて「じゃばらハイ」。
和風サラダのドレッシングに。
はちみつと混ぜて、水で割ってスタミナドリンクに。
はちみつ・牛乳と混ぜ合わせて一晩おいたらヨーグルトに。
じゃばらを購入された方の中には、じゃばら果実を使って1年分のポン酢を仕込んだという方もいらっしゃいました。
スタッフも、じゃばら&はちみつ&ソーダでドリンクを作って飲んでみたところ、じゃばらの爽やかな香りが広がってリフレッシュになりました!
またゆず風呂のような形で、じゃばら風呂なんて使い方もできますよ。
花粉症対策にもいいですが、ビタミンC、B1、B2も豊富なので栄養補給にもオススメの食材です。
長谷さんに聞くと、すでに花粉が飛び始めているため、その反響がき始めているとのこと。
ちなみに今シーズン紀伊路屋さんのじゃばら果実は、2月後半〜遅くても3月上旬までだそうです。
「和歌山らしい様々な柑橘を楽しんでいただきたい」と語る長谷さんご夫婦
じゃばらの果実があるうちは、ぜひ皮まで楽しんで、果実が出回らない時期になったら、じゃばらストレート果汁や果皮粉末、ジャムなどをお料理や飲み物で活用されるのがオススメです!
いろいろな活用方法がある万能果実なので、花粉症に悩まれている方も、そうでない方も是非お料理に取り入れてみてはいかがでしょうか。
関連出品
長谷光浩さんの出品をもっとみる
#みかん・柑橘の出品をもっとみる
文=ポケマル編集部