生産者さんからみなさんへ 〜自然環境の変化と向き合う #カナリアの声〜 vol.2 米農家の内山幸一さんより


年々深刻化している気候変動。みなさんは、何か環境の変化を感じているでしょうか?

私たちの食べものをつくってくれている生産者さんたちは、自然と向き合う中で日々環境の変化を感じ、また、すでに生産活動において様々な影響を受けています。

そんな生産者さんたちの状況を、少しでもみなさんに知ってもらいたい。そして、私たちにできることを一緒に考えていきたい。

ポケマルでは、自然環境の変化に直面する生産者さんたちの声をお手紙の形にして、連載形式でご紹介していきます。自然からの警告を「炭鉱のカナリア」のように私たちに伝えてくれている生産者さんの声を、まずは知ることから、一緒にはじめませんか?



新潟県南魚沼市でお米やしいたけなどを栽培している、内山幸一です。

農業に携わって7年目になりますが、5年ほど前から天候が読みにくくなってきていまして、お米を作る難易度は年々上がっているな、と感じています。

2〜3年前の冬は雪が例年よりも少なかったので、雪解け水が少なく、春の田んぼ作業に必要な水が足りないほどでした。地域によっては、田植えができなかったところもありました。

また、近頃は夏になると、田んぼに手を入れたら「熱い!」と感じるほどに水温が上がっています。そういう時には水を入れ替えるのですが、雨が降らなかったので水の入れ替えもできず、思うように管理できないまま収穫を迎えたこともありました。水温が高いままだと、「シラタ」と呼ばれる真っ白なお米が増え、お米の等級が下がってしまうんです。

今日なら効くだろうと肥料をまいても、夕方のゲリラ豪雨で田んぼの水があふれ、肥料が流れてしまうこともありました。



このような状況に対応していくために、新潟県ではコシヒカリの品種改良を進めています。暑さに強くて倒れにくい品種などの試験栽培がどんどん始まっているんです。これからはそうした品種に切り替えることで、お米の収量や品質をできるだけ下げないようにすることもできると思います。

でも、基本的にぼくらはお天道様には勝てないので、ぼくらが今できることはあまりないです。気候の変化などでうまくいかないこともあるんだということを、みなさんには理解してもらえたらと思っています。そのためにも、ぜひ生産現場に足を運んでみてもらえると嬉しいです。




「お天道様には勝てない」「自然には敵わない」という言葉を、生産者さんはよく口にしています。そんなどうにもならない状況の中で、今できることを考えながら、すでに起きている環境の変化に適応していっているのです。

自然との接点が少ない私たちは、その変化を自分ごととして捉えることがなかなか難しいかもしれません。でも、生産者さんを通して、変化について知ること、理解すること、心を寄せることはできると思います。

生産現場の変化は、やがて私たちの食卓の変化にもつながります。生産者さんの「カナリアの声」が、みなさんの食に対するあり方や暮らしそのものについて、改めて考えるきっかけになれば何よりです。

まだまだ知られていない、生産現場の変化のお話。生産者さんの「カナリアの声」を、ぜひ周りの方にも届けてください。


今回お話をお聞きした生産者さん

Producer 

内山幸一|株式会社うちやま農園|新潟県南魚沼市  


前回・次回の記事はこちらから

生産者さんからみなさんへ 〜自然環境の変化と向き合う #カナリアの声〜 vol.1 サバ養殖を営む横山拓也さんより


生産者さんからみなさんへ 〜自然環境の変化と向き合う #カナリアの声〜 vol.3 養鶏家の薄羽哲哉さんより


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