飾って食べて癒されて…生ハーブスワッグがある生活をたしなんでみた。

筆者が愛読する"とある漫画"に、「オレガノ」というハーブが登場する。

料理上手な登場人物の家にはハーブの鉢植えがあり、彼は手料理の隠し味に何かと生ハーブを千切って散らす。そして自慢げに言うのだ──「俺のオレガノ料理」と。くだらないギャグだと思いながら、主人公はいつしか彼に心惹かれていく。気付けば筆者も主人公と同じように、胸をときめかせていた。

久しぶりに当時の胸の高まりを思い出した。なぜなら、家にオレガノとセージが届いたからだ。

目次

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スワッグを愛でたいのだ

湯浅純さんのハーブを我が家に迎え入れた理由、それは一目惚れにも似た感情だった。

美しい写真の下に躍る商品タイトルは「セージ&オレガノのミニスワッグセット」

スワッグ……恥ずかしながら初耳だ。意味を調べてみるとスワッグというのは、花や葉の付いた枝などで作る壁飾りを指す言葉らしい。それを知った時、筆者は思った。

——どんぴしゃりだ。

家で過ごす時間が増え、殺伐とした部屋をどうにかしたいと思っていた。インスタグラムで目にするドライフラワーを飾るステキなお部屋に憧れる一方、食欲が先行してしまう筆者にとって、食べられる草の束であるそれは「どんぴしゃり」以外の何物でもなかった。

それにしても「飾れて、食べられる」とはなんと素敵なのだろう。このスワッグがあれば、もしかすると我が家ももっと快適な場所になるかもしれない……と、妄想で胸が膨らんだ。

到着したのは5月中旬のある日、ハーブたちはクロネコ宅急便コンパクトで我が家へやってきた。

(注)5月下旬以降、湯浅さんの生ハーブの商品は高温対策のため冷蔵便のみになっています。


箱から取り出して数回揺すってみると、フワリと葉が広がり青い香りが部屋中に立ちこめた。

写真左がオレガノで、右がセージ。

根元には水分たっぷりの脱脂綿が巻き付けられていた。

葉が畑からやってきたばかりかのように瑞々しいのは、この湯浅さんのひと手間のおかげかもしれない。

丸くかわいいオレガノ

イタリア料理の定番で、ピザやパスタに何かと入っているイメージが強い「オレガノ」。

その生葉は、丸く可愛らしい形をしている。香りは想像していたよりずっと優しいものだった。湯浅さんによると、乾燥させることで香りはより際立つようになるらしい。ポプリにしてシューズキーパーとして活用することもあるそうだ。

シュッとさわやかなセージ

肉や魚の臭み消しとして重宝される「セージ」。

"セージ"という音から、筆者はどうしても映画「耳をすませば」のバイオリン職人を目指す少年を思い出してしまう。ハーブのセージも彼を思わせる清涼感溢れる香りを発しており、葉の形もシュッとスマートだ。

この日のために知人から借りたハーブティーの本をめくると、「殺菌作用や消化を促す働きがあり、うがい薬やパウダー状のものを歯磨き粉代わりに使うこともある」と書かれていた。何かの拍子にサバイバル生活をすることになった時にも重宝しそうだ。

さらに読み進めると、なにやら重要そうなことが書かれていた。

セージご利用のご注意

摂取は1日4〜6グラムまで。高用量の長期間の連続使用(3週間以上)は避ける。妊娠中や授乳中、高血圧、糖尿病の薬を服用中の人は特に注意。てんかんをもつ人も使用を避けること。

参考書籍:「ハーブティー事典」佐々木薫著, 池田書店 2007年

スワッグで部屋を飾りたいのだ

2種類のハーブと同居することになった筆者は、一部を生で楽しみ、残りは長期間にわたって楽しめるようドライにすることを決めた。

生ハーブを部屋に飾る

まずは部屋をハーブで飾りつけよう。ハーブを水切りし、水を入れた小瓶に差し……

壁に設置した飾り棚へ置けば完成だ。


ドライにしながら飾る

ドライにするのもかなり簡単だ。

湯浅さんのミニスワッグセットは予め根元を麻紐で縛ってくれているので、その部分をフックなどに引っかけて吊り下げておくだけ。

そのまま壁に画鋲で留めても十分雰囲気は出るが、100円ショップで購入した木製の洗濯ばさみで吊ると手軽に取り外しできるので便利だった。

しかし筆者は大切なことを忘れていた。

お部屋に飾ってからお料理にご使用になる場合は、埃や汚れなどがつかないように保管していただくか、洗ってからご使用ください

と、商品説明に記載されていたことをすっかり失念していたのだ。

気付けば1週間。ドライにしたスワッグたちはすっかりカラカラに乾燥している。

それぞれ生のものと比較してみると、違いは一目瞭然。

上:オレガノ、下:セージ

少し遅くなってしまったが、ドライハーブスワッグの埃よけを作ってみる。

用意した材料は3つ。

  • クッキングシート
  • 麻紐
  • マスキングテープ

乾燥したスワッグをそれぞれクッキングシートで包み、

麻紐で束ね、

マスキングテープで補強して完成!

干すとこのような雰囲気となる。

2種のハーブのおかげで、部屋の雰囲気ががらりと明るくなった気がする。かなりうれしい、ありがとう湯浅さん。

スワッグを味わいたいのだ

生ハーブを味わう

さて、視覚でたっぷりハーブを楽しんだので、お次は味覚と嗅覚で堪能することにする。

ハーブを味わうといえば、第一に思い浮かぶのはハーブティー。レモングラスやミントティーをイメージし、セージを千切り食べてみたものの……これはかなりパンチが強く、筆者は単体でお茶にすることに思わず尻込みをしてしまった。

ひよった挙句、とりあえず普段から飲んでいるルイボスティに加えてみることにした。

瓶に生けてある葉を数枚取り、洗ったあとに香りが良く出るように細かくちぎる。

あとは沸騰したお湯をゆっくり注げば……

ルイボスセージティーの完成。

見た目はかなり良いものの味は未知数で、筆者は内心、戦々恐々としていた。

飲んでみたところ、これがかな〜り良い。色眼鏡抜きに、非常に素晴らしい!

ルイボスティの風味にスゥッとした清涼感が足され、食後にホッとしながら飲むお茶としてぴったりだ。食欲が湧かない夏場の飲み物としても、冬の鼻づまりにも威力を発揮しそうだ。

筆者は今回あまりのハーブの香り高さに慄き、ブレンドする形でお茶にしたが、調べてみるとハーブ単体でも美味しいお茶が淹れられるという。好みや季節によって調整し、ベストなティーを探していこうと思う。

生ハーブの保存方法

なお、生でより長く楽しみたいときは保管方法に注意が必要だ。

商品説明欄には湯浅さんから、生の保管方法についてアドバイスが記載されていた。

  • 枝から葉を取る
  • よく洗う
  • 冷蔵庫で保管

生を部屋に飾るのは到着後1日以内にし、その後はドライにするか、冷蔵庫で保管するか、適切な保管方法をおすすめしたい。

なぜなら筆者は……

瓶に挿したまま2日ほど放置したことにより、筆者のハーブたちはしょぼんと俯いてしまっていたからだ。一度しょぼくれたら、いくら水切りをしても復活しなかった。とてもかなしい。

読者のみなさまには保管方法に気をつけながら、貴重で一瞬の"生"を味わっていただきたい。

ドライハーブを味わう

それではドライハーブを使ってみよう。部屋に飾っているスワッグから、ハーブを数枚拝借する。それにしても部屋の装飾品から収穫するなんて、とても不思議な気分だ……。

すり鉢で擦ってもいいが、面倒くさいので指で小さく千切っていく。すると……

「ふわわわ〜ん」

鼻腔をくすぐる濃厚なオレガノ&セージの香り。いままで加工済みのハーブスパイスしか手に取ったことがなかったため、ここまで強い香りははじめてだった。なんじゃこりゃ〜、鼻詰まりも治ってしまいそう!

クンクン香りを嗅いでいると、脳裏にステーキ肉が浮かんできた。下ごしらえ時にたっぷり刷り込んで焼き上げれば、普通のお肉でもワンランク上のステーキになるのではないか…?

思い立ったが吉日、筆者は近所のスーパーへと走っていた。本当はポケマルのお肉が食べたかったが、いまこの瞬間にお肉を欲しているのだから止むを得ない

調達したステーキ肉に、塩胡椒とともにたっぷりとハーブ&オレガノを擦り込んでいく。

好きな焼き加減まで火を通して、

自家製ドライハーブで隠し味をしたステーキの完成!

ひと切れ口にして、香りの濃さにかなり驚いた。たっぷり擦り込んだからか、肉の味に負けないほど濃厚なハーブの香りが鼻から抜けていくのだ。

これは大正解だ。いつもより上品で深みのあるステーキ肉へと変貌を遂げていた。うれしい!

そして振り返れば、リビングの壁にはちょこんとミニスワッグが飾られている。かわいくて、おいしいことが、こんなに幸せなことだと、今まで知らなかった。

毎日、ときめいていたいのだ

在宅勤務が増え、正直なところ精神的に気が詰まってしまうことがある。ニュースや新聞には相変わらず不安な文字が並び、気を抜けば自分の気持ちまで不安に襲われてしまいそうだ。

けれど、日々はずっと続くし、食べることなしに生きてはいけない。

気分転換に振り向いたとき、大好きな空間が広がっていて、それが食卓までつながっているのだとしたら。まだ頑張れるかもしれない──と、柄にもなく思ってしまったのだ。

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