フライパンで燻製!自家製ベーコンの作り方を解説します

こんにちは、ライターの大城です。

こちらの記事→畑のロッカーで、ベーコンとタコの燻製をつくってきたよ。 でも書きましたが、最近マイブームの燻製に熱をあげるあまりに、自家製ベーコンづくりに辿りついてしまいました。

今回は数回にわたる試行錯誤を経て編み出した、決定版・自家製ベーコンづくりのレシピを、茨城県の山西牧場さんの豚バラブロックを使って紹介します。

*ベーコンは肉を長期間熟成させ、燻製する保存食の一種です。家庭で実施する際には、衛生面や管理を徹底し、食中毒のリスクを回避するように加熱をしっかり行ってください。

 

目次

 
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ベーコン作りの工程と材料は?

ベーコンづくりの工程はおおまかに、肉を塩漬けする→熟成→塩抜き→乾燥→燻製となっています。

所要時間は、熟成に7〜10日、塩抜き・乾燥がそれぞれ半日、燻製は4時間ほど。そのため完成から逆算し、約2週間前に肉を入手するのがベストです。

使用する材料・道具はこちら

  • 豚バラブロック:ベーコンにしたいだけ
  • 塩:豚バラブロックの重量の2〜10%(ここがミソ。後ほどじっくり説明します)
  • スパイス各種:この日はブラックペッパー・オレガノ・ナツメグ・クローブ・月桂樹


今回の主役はなんと言っても、茨城県・山西牧場さんの豚バラブロックです。見てください、この惚れ惚れする脂のりと重量感を。


これこそが、作り手である倉持さんのこだわりポイントです。

山西牧場の豚肉の脂は餌にこだわって作られており、サラリとつっかえず自然な甘みを感じられ食べやすさは抜群です。豚肉の匂いや胸に残る感じに苦手意識のある方が喜んで食べて頂ける、そんな豚肉です。


確かに巷では豚肉は脂がおいしいと言われています。しかし、山西牧場の豚は、それだけではありません。

赤身部分も桜色でとても美しい! これは期待大です。


ベーコン作りは塩漬けが重要!

1,重量を計り、塩の分量を計算する

塩漬けの下ごしらえをします。ここがベーコンづくりの最初の難所、「塩の計量」です。


まずは肉の重量を確認。

どっしり694g! やりがいがあるぜ


自家製ベーコンを謳うWebページやレシピ本も複数参考にしたのですが、すり込む塩の量は肉の重量の2〜10%と、媒体によって異なる上に幅広いのです。初心者にはどの割合がベストなのか、全くわかりません。

一説*によると、ベーコンは紀元前数世紀頃にデンマークで誕生したとされています。海賊が暗躍していた当時、長期間の航海に耐えうる保存食としてベーコンが重宝されたのだとか。

*参考:ハムソベ史|日本ハム・ソーセージ協同組合


保存食として考えるならば、大量のお塩でしっかり漬けておけば間違いないはずと考え、今回は10%を選択しました。果たして、吉と出るか凶と出るか……!?


結論を先に明かすと、10%で試した結果、ベーコンは無事にできあがりましたが、塩抜きの工程でかなり時間を要すこととなってしまいました。また、別の機会に塩分控えめを狙って2%でも試したところ、表面のお肉がだいぶ傷んでしまいました。筆者は包丁で表面を削ることで完食できましたが、初めての方にはおすすめしません。

というわけで、5〜7%の塩分量で漬けるのが良い塩梅ではないかと筆者は推測しています。


2,お肉にフォークで穴を開ける

塩をすり込む前に、お肉にフォークでまんべんなく穴を開けます。上下面のみならず側面もバランス良く刺していきましょう。

3,塩をすり込む

ここで先ほど軽量した塩を全体にすり込んでいきます。穴を開けたときと同様に、塩を均一にまぶすように。

側面も抜かりなくすり込む

隙間にもしっかりごしごし

4,好みのスパイスをすり込む

ここからは自由演技です。手持ちのスパイスを好きなだけすり込んでいきましょう。ハーブを育てている方は、ハーブを添えても良いかもしれません。

筆者は大のオレガノ信者。手を抜いてもオレガノは抜かないをモットーに日々料理をしています。そんなオレガノを主体にローズマリーやブラックペッパーをゴリゴリすり込み、これにて仕込み完成です!

ローズマリー

ハーブミックス


5,冷蔵庫で1週間〜10日保存

お肉をキッチンペーパーや脱水シートで包み、密封袋にいれます。

キッチンペーパーでしっかり包み

漬けた日を記録しておきます


冷蔵庫に入れてしっかり休ませます。

おいしくなって帰っておいで。おやすみ〜!


数日おきに様子を見て、上下ひっくり返してあげるのがよいそうです。


漬け込み1週間後、塩を抜く 

待ちに待った1週間後の燻製前日、とうとう塩漬け肉の開封の儀を行います。

ちらっとお目見え。良い感じじゃない?


じゃん、と取り出したるは、1週間塩漬けした豚バラ肉です。

うん、色も美しいピンク色で、においも健全。なかなか上手に漬かってくれたのではないでしょうか! やったね!


ここから、明日の燻製に備えて塩抜きと乾燥の工程に入ります。


1,塩抜きをする

ボウル等に張ったにお肉を浸して塩抜きを行います。

流水での塩抜きが速いと言われていますが、筆者は諸事情から、数十分おきに水を取り替える作戦で代用しました。

およそ1時間後、一部をそぎ落として加熱し味見を。ここで塩辛かったら塩抜きを再度行います。

しょっぱかったら再度水につけて、塩抜きを行う


2,乾燥させる

半日ほどかけて肉を乾燥させます。気候が良ければ風通しの良い日陰で干し、気温や湿度の高い季節であれば、冷蔵庫で乾燥させます。一晩乾燥させて翌朝回収する形でもOKです。

生肉が風にそよぐ我が仕事部屋


フライパンでキッチン燻製

さあ、いよいよ自家製ベーコンづくりのメインイベントである燻製をしましょう。

専用器具は不要で、家庭にある台所用品+100円ショップやド●キホーテにあるもので簡単に道具を揃えられます。

※ちなみに外で燻製をする場合、筆者はいつも段ボールの中で燻製をしています。が、以前実験した際に、段ボール燻製だと内部の温度が上がりきらず、豚バラブロックの内部まで十分に加熱しきれませんでした。そのため、今回はキッチンでの燻製を紹介しております。

1,必要な道具

  • 鉄製フライパン(本当は底が深い鉄製の中華鍋がおすすめ)
  • ケーキクーラー(100円ショップで購入。本来は焼きたての菓子を冷ます時に使用するもの)
  • 燻製用チップ(ドンキホーテやホームセンターで購入。今回は桜チップを使用)
  • アルミホイル
  • 温度計(100円ショップで販売していた500円商品)
2,ポイントは”じっくり温燻”

作り手の倉持さん、ときにベーコン燻製のコツって何ですか?

はい、お答えしましょう。ずばり”温燻でじっくりと”です。とは50〜80℃で燻すことを指します。中でもベーコンを燻す際には60℃前後で3時間ほど燻すことをおすすめします。

60℃前後で3時間……焦らずじっくり立ち向かう、と


ということで、さっそくセッティングを。

フライパンにアルミホイルを敷き、燻製チップをまんべんなく広げます。コンロに火を付け、燻製チップからモクモクと煙が出始めたらはじまりです。

中心部から焦げ始めました


ケーキクーラーの上にアルミホイルを敷き、お肉を乗せます。

※燻製チップに脂が落ちてしまうと発火の原因になります。ケーキクーラーの上には必ずアルミホイルをかぶせてください


鍋のフタに温度計を突き刺し、温度を見つつ弱火にしたり中火にしたり、時折火を止めたりして、60℃前後に調整します。


長期戦になるな。よし、キッチンスタンディング業務と洒落込みますか……!

——説明しよう、キッチンスタンディング業務とは、筆者が編み出した独自の業務スタイルのひとつ。煮込み時間や燻製時間を設定し、料理が完成するまでに予め決めたタスク(ex:初稿完成や修正作業)を終わらせようとするもの。料理が完成するか、業務が終了するか、沈黙なるデッドヒートが繰り広げられるのだ。

約3時間、温度を調整しながら原稿を執筆するの図


業務が終盤に差し掛かった頃、3時間を告げるタイマーが鳴り響きました。試しにフタを取ってみると……

おおっ、 これは誰が見ても明らかに最高のベーコンなのでは!


かぐわしい香りが台所を満たし、思わずお腹がグゥと唸ります。お肉全体がカラメル色に染まり、脂が溶け出し艶が美しく……。

すぐ食べたい、けれど! 一晩冷蔵庫で寝かすのがコツなんですって!

粗熱を取り、冷蔵庫へ戻し、翌朝を待ちます。わくわくして床に就きましょう。


実食 とっておき朝ごはんを食べるの巻

——翌朝

おはよ、ベーコンちゃんたち


一晩しっかりと冷蔵庫で寝かしたベーコンは、燻製したてと比較しても身が締まったことが分かります。発色も心なしかより鮮やかになった気がします。

厚めにカット。中までしっかり火が通っており、ほっと安心


最初は絶対にカリカリベーコンにすると、心に決めていました。意気揚々とフライパンに並べます。


中火で加熱すること数分、じゅわじゅわと脂がしみ出してきました。

こんな光景見せられたら、空腹が加速しちゃうよ


ベーコンを引き上げ、フライパンに残った脂をそのまま活用し目玉焼きを作ります。豚の旨味を存分に吸い込んだ目玉焼きがこれまたたまらん。

そして、夢にまで見た朝ごはんの完成!

美しい、美しすぎる。


ベーコンを思いっきり噛みしめます。

——じゅ…じゅわ……じゅわわわ…

ボロボロボロ(涙がこぼれる音)

思えば1週間以上、この瞬間を待ち望んでいたような気がします。到着後から塩漬けにし、水に浸し、干し、燻し……。思えば色んな試練を豚バラブロックとくぐり抜けてきました。嚙むごとに思い出が蘇りました。


スーパーへ行けば、1000円以下でさまざまな種類のベーコンが並んでいます。ですが、文字通り”手塩にかけた”ベーコンほど、可愛らしくおいしいものはありません。

素敵な朝ごはんをありがとう、愛しのベーコンちゃんたち。

そして倉持さん、ごちそうさまでした!

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Writer

大城実結/MIYU Oshiro

フリーランスライター・編集者。自転車や地域文化、一次産業、芸術が専門。紙雑誌やWeb媒体問わず執筆中。ポケマルでは農業初心者を生かし、わかりやすく愉快な記事の執筆を目指す。イラストや漫画も発表中。Webサイト:https://miyuo10qk.wixsite.com/miyuoshiro

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