【漁師・かずまる親分に聞く人生のあれこれ】第一回:「海は俺の恋人」

漁師のことばを聞けば、元気が湧いてくる――。



はじめまして。2011年に宮城県気仙沼市に移住し、まちづくりに取り組んでいる加藤ともうします。

自分自身、漁師さんと関わるなかで、その仕事に対する姿勢に感銘を受けたり、その包容力・人間性に惚れ込み、元気をもらっている一人です。


漁師は、自然と対峙する職人集団です。

そんな彼らの生のことばは、ときに僕たちのような働く大人の心にもガツンと響いてくるのです。


活魚も美味しいけど、漁師の生きた”活”言も届けたい。


日本有数の漁獲高を誇る宮城県気仙沼市からお送りします。


レジェンドと呼ばれる漁師

気仙沼の北東部に位置する唐桑(からくわ)半島に「レジェンド」と呼ばれるメカジキ漁の漁師さんがいます。

佐々木夫一さん、第18一丸(かずまる)の船頭さんです。



「誰も獲んねぇもんを獲る。


漁師のやりがいをそう言い表す一丸(かずまる)親分(※佐々木夫一さんの愛称)


「自然のものを、獲るよろこび、得るよろこびだよな。

狩猟民族の血が残ってるんだろうなぁ。


こういうところに住んでるとな、本当に毎日海を見ねぇと安心できねぇんだ。

海に無性に行きたくなるんだよな


子どもの頃、中学校から帰って来てそのまま浜から30分えっちらおっちら櫓で漕いでイカ釣りにいったんだ。

マンボウ獲った奴もいたなぁ。


手で漕いで行ったんだぞ?

今だと考えられるか?

ひと昔前は、沿岸にタナゴだ何だ魚がごちゃまんかい(たくさん)いたからな。


努力すればするほど、なんぼでも魚が獲れた。

努力すればするほど、海は応えてくれる。


それが分かると海が好きになる。


そうしてたら、あっと言う間に67歳になってた。」



毎日わくわくどきどき

一丸親分の漁師歴はおよそ半世紀に及びます。

その継続の秘訣を聞いてみました。


「恋人がいるときは、毎日わくわくどきどきするべ?


あー、明日は彼女どんな服着て来るのかなって。

デートの前の日から楽しみだべ?


そういうときは「希望」がある。


今日はどんな魚獲れっぺかな?

明日はどんな魚獲れっぺかな?って。


気仙沼には「森は海の恋人」っていう有名な言葉があるけど、

俺にとっちゃ「海は俺の恋人だわな。


今でも。


50年経ってもその気持ちは変わらない。」



インタビューはつづく...


書き手:加藤拓馬

一般社団法人まるオフィス 代表理事。気仙沼市移住・定住支援センターMINATO センター長。

大学卒業後、東日本大震災を機に宮城県気仙沼市に移住、まちづくり事業に取り組む。2011年に一丸親分に出会い、長らく飲み友達。その後「このままだと30年後唐桑で魚獲るヤツはいねくなるぞ」という親分の言葉を受け、2014年から県外の方や、今は地元の中高生に向けて、漁師体験を共に行っている。親分の好きなところは、包容力、まっすぐさ、仕事への誇りなどなど。



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