365日ハチさんと共に・・・はちみつを作るだけではない「養蜂家(ようほうか)」の仕事について聞いてきました

こんにちは、毎度おなじみ編集部のぬのいです。

最近はいろんな生産者さんのところへ行って、素人代表としてお話を伺っています。

そして気付いたことーー。


生産活動は、どこまでも、自然ありきということです。

私のような仕事とくらべて、圧倒的に「どうにもできないこと」に対峙し、そのなかで、知恵や経験や技術を駆使することで自然から効率よく恩恵を受けるやり方を追求していく必要があるのです。


そんな一次産業のなかでも、少し特殊な仕事があります。


それが、「養蜂家」。


養蜂とはズバリ、ミツバチを飼育する仕事ですね。

そして先ほどの話になぞらえて言うならば、養蜂は、ミツバチさんありきです。

ミツバチさんはミツバチさんの生き方をしているので、養蜂家はそれを理解し、活かしてあげなければなりません。

ミツバチさんに対して「こうしろ〜!」といくら思っても、ミツバチさんが嫌がればそれはうまく行きません。

ミツバチさんが生きたいように生きられて、かつ、人間もその恩恵をたっぷり受けられるような、そういう飼育が求められるのです。


では具体的には、どんな働きかけによって美味しいはちみつは採れるのか?養蜂家の方にお話を伺ってみました。



今回お話を伺ったのは、和歌山県海南市で養蜂をおこなう、西村養蜂場の西村洸介さん。曾曾おじいさんの代から続くという養蜂場の4代目です。


養蜂家さんのお仕事

1. ミツバチに蜜をとってきてもらう

西村さん:

向こう側の山がみかん畑なんですよ。


斜面にみかん畑が広がる


ミツバチってだいたい2〜5kmくらい飛ぶので、このあたりに置いておくと、蜜を採って持って帰ってきてくれます。



5月や6月のお花が咲く時期が採蜜の時期ですね。


ぬのい:

どういう仕組みしているんですか?


西村さん:

飛んでいった蜂が、ストローみたいなもので蜜を吸い身体の中に入れるんですね。そのまま飛んで戻ってきて、巣の中にいる保管係の蜂に口移ししているみたいな感じです。


※イメージです。


2. 花粉(餌)を食べさせる、梅の受粉を手伝う

西村さん:

蜂にとっては、蜜と花粉が餌なんですね。

和歌山は梅の産地でもあるのですが、この梅の花粉というのが蜂にとっての重要な食糧になります。

一方、梅の農家さんからすると、受粉をさせるために蜂に来て欲しいんですね。

梅の花の咲く時期になると、車で良い場所まで蜂を運びます。

梅農家さんとはとても良い関係を築いているんですよ。


※イメージです。



3. 巣のスペース管理をする

西村さん:

採蜜のシーズン以外ももちろん年間通して蜂を維持し、そして増やす必要があります。

自然の餌が豊富でない冬の時期などは、餌もやりますし、あとは巣の管理ですね。



ぬのい:

巣の管理って何ですか?


西村さん:

1箱に対しての蜂の数の多さのことを「大きさ」っていうんですけど、その大きさを管理したり、巣の中のスペース管理をしたりします。



巣の中って、蜜を採ってきて貯めておくスペースもあるんですけど、別のスペースで卵も生むし、子育てもするんですよ。

餌がありすぎたら産卵の場所がなくなってしまいますし、逆にスペースが空きすぎても死んでしまうこともあるので、スペースを人為的に分けてつくってあげたりするんですね。



※イメージです。



4. 蜂を上手に増やす

ぬのい:

蜂はどういう蜂を使っているんですか?


西村さん:

西洋ミツバチなんですけど、西村家で代々飼育している蜂ですね。



蜂ってラーメンのスープみたいに、元があって、徐々に増やしながら続いていくような感じなんですよ。

なんですけど、ずーっと西村産の蜂だけで増やしていっていると、交尾する時に近親になってしまって、全体にとってよろしくないんですね。

なので最近5千円くらいする、新しい女王蜂を仕入れて、投入しました。

その前は蜂の気性の荒さが目立っていて、自分もよく刺されていたんですけど、新しい女王蜂を入れてからは、とても大人しくなりました。



5. スズメバチを退治する

西村さん:

ミツバチの天敵であるスズメバチが発生する時期は、とにかく注意して見て退治しなければなりません。


ぬのい:

えっスズメバチがミツバチを!?


西村さん:

食べるんですよ。放っておくと、本当に全部やられてしまいます。

朝見て大丈夫だったとしても、午後に来てやってしまうかもしれないので、手遅れにならないように1日2回は見回りする必要がありますね。



6. 蜂さんが換気する、糖度が上がるのを待って蜜をとる

西村さん:

蜂が蜜を持って帰ってきた時って、水分が多い状態なんですが、ミツバチたちは羽ばたきをすることによって巣箱の中の湿度等、環境の管理をします(つまり換気)。

その過程で貯蔵している蜜の水分が蒸発します。そうすることによって粘り気が増して、濃縮されて糖度が増していくのです。


私たちは、十分な糖度と濃度になるのを待ち、良いタイミングを見計らって採蜜をしていきます。

採蜜は、遠心分離機で蜜を集めていきます。


ぬのい:

蜜をとった後って、何か処理とか必要なんですか?


西村さん:

基本的には何もしないですね。余分なものをこしたり、寒い時期は結晶してしまわないように湯煎みたいな感じで温めることをするくらいで。


ですから、はちみつをつくる過程において、最後ミツバチが集めてきた蜜を瓶詰めする以外には、人為的な行為はしないので、「純粋蜂蜜」ということになるんです。


ぬのい:

本当にそのままなんですね!!


※(2/8修正)「人為的に換気をしている」とみられる記述がありましたが、「ミツバチは羽ばたきで自分たちで換気をする」が正しいです。お詫びして訂正いたします。



7. とにかく様子を見る!

西村さん:

管理する回数を増やすほど、つまり手をかければかけるほど、蜂は元気になるし大きくなる(数が増える)なあと思っています。



数百箱あるので、さすがに全部一つ一つを日々見るわけではないですし、毎日毎日箱をあけたりしても蜂にストレスがかかってしまうのでそれはしませんが、4箇所蜂を置いている場所があるので、その4か所を順番に回りながら様子を見ていくんですね。

それで蜂の様子を見て、さっき言ったような餌やり、スペースの管理などをします。


ぬのい:

そうなると、ほとんど休みはとれないという感じですか?


西村さん:

そうですね。少し家を空けなきゃいけないことはあっても、やっぱり連休とかはとれないですね。


ぬのい:

ずっと蜂と一緒にいる感じなんですね。


西村さん:

はい。でもずっと蜂をみてたら可愛くなってきますよ!



毎日ミツバチとともに過ごし、美味しいはちみつづくりにいそしむ西村さん。

お話を聞いていて、蜂と心が通っている感じが伝わってきます。


次回は、西村さんが養蜂家になられた経緯や養蜂にかける想いについてもご紹介します!


西村さんが現在出品中の百花蜜は、和歌山のはぜの木の蜜を中心に蜂が集めてきた蜜です。とっても華やかな香りが口いっぱいに広がる、本当に美味しいはちみつです!

1200gは、かなり大容量なので、使用頻度によりますが1年間ほど持つとのこと。


※イラストは、すべてイメージです。


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