【生産者に聞く⑨】農業を通じて誰も諦める必要のない社会を作りたい!ーー阿波ツクヨミファーム・芝橋宏治さん

「生産者に聞く」シリーズ、第9回は、徳島県阿波市の阿波ツクヨミファーム・芝橋宏治さんです。

芝橋さんは、生物多様性をテーマに、耕すことをせず農薬・肥料・動物性堆肥を利用しない農業を行っています。

そして、安心・安全は「一生産者として当たり前」、ネガティブな情報ではなく、最大限正確な情報を消費者に届けていきたいと言います。

一問一答の中でも色んな気持ちを語ってくれました。


ーー自慢の生産物は何ですか?

夏期はパプリカ、冬期はサラダセットです。


単純に国内で流通しているパプリカの9割は韓国・オランダ産、残り1割の国産の9割は水耕栽培、残り1割の土耕栽培の9割は慣行栽培、残り1割の有機・自然栽培の中で、農薬も施肥も耕しもしない自然農はほとんど無いのかなと妄想します。徳島ではまともにしてるのは2軒だけなので。。。


あとトマトも甘味と酸味、コクのバランスが良く、オクラもBBQに持っていくとみんな貪ってます。


サラダセットは何が生えてくるかわからないパルプンテハウスで育っています。

パルプンテハウスは秋に定植した野菜が翌春に花を咲かせ、夏に種を落とします。そしてまた秋になると芽を出し始め、毎年定植する野菜と一緒に雑草の様に野菜をボーボーに生やしていきます。

そうしてできた数種類のレタス類や少しアクセントのある葉物などをミックスしたセットです。


ーー生産地はどんなところですか?

ラフティングの世界大会が行われるなど、日本一の暴れ川でもあり清流でもある吉野川が、近年までほぼ隔年位のペースで何千、何万年と氾濫し続け形成されてきた扇状地です。

火山も無く、昔の文明でいう氾濫農耕ではないですが、ミネラルなど山からの養分が分厚く堆積した豊かな土壌です。


県単位で年間晴れ日数が2位、年間日照時間6位の中で一番香川県の瀬戸内海式気候に近い場所で、植物の生育に不可欠な日照条件に恵まれています。

まぁ雨がホントに降らないんですが。。。

吉野川を境に土壌や気候がガラッと変わる面白い土地柄です。


ーー生産者歴何年目ですか?

農業に関わってから16年、独立して11年です。


ーー農家になられた経緯を教えてください。

実家が建築業で農業もしていたので昼間に家業を手伝い、夜間にダンスのインストラクターをしていました。

米を20ha、キャベツ、レタス、ブロッコリー、玉ねぎなど葉物を中心に2〜4haづつ慣行栽培をしていました。


独立時に農業を続けるか続けないか選ぶことができましたが、大いなる勘違いを元に有機栽培に転向し、20a程で現在は自然農に取り組んでいます。


ーー仕事をする中で一番楽しい・嬉しいことはなんですか?

草の上で寝てみたり、鳥とか虫とか色々いるのでどこに行くのか何をするのか見てみたり、植物がどんな成長をするか眺めたりすること。

これでいいやと思ったやり方を残しつつ、常に変えているので思った通りいかないことや、時間がかかることも楽しいです。


さすがに夏は虫の餌食だろうなと思うものができたりするととても嬉しいです。

収穫ついでの朝ゴハンがうまくて朝日が最高に気持ちいいです。


市場出荷などは行わずポケマルをはじめとし、ほぼ全量通販で販売しているのでお客様からメッセージがよく来ます。めっちゃ充電になります。


ーー仕事で一番大変なことはなんですか?

事務作業と、草が大きくなり過ぎた時の対応は大変です。

夏の暑さと冬の寒さも暑がり寒がりにはキツイですね。

それから、楽しみに待ってくれているお客さんの期待を裏切ってしまい辛い気持ちになることもあります。


ーーみんなにぜひ食べてもらいたい、一番好きな食べ物・食べ方はありますか?

野菜本来の味をシンプルに楽しむのもいいと思うのですが、今はレシピなんかも色々すぐに見つけられるので、せっかく注文した食材を特別に調理して料理自体も楽しんでほしいなと思います。

週に一度じゃなくても、月に一度からでもいいので野菜を大量に食べてみて欲しいですね。例えばキャベツ1玉一日で食べきるとか、オクラ500g位食べてみるとかそういう単純なのでもいいので。


ーー最近のマイブームは?

Spotifyと娘。

音楽とテンションがはまると終わりの無い作業も続けられます。

日々進化する娘の成長が糧になります。


ーーどんな想いで生産活動されていますか?

自然農に取り組み始めてからは、こんなの合法的に革命が起こせてしまう気がするんだけどいいの?と思うようになり、農業は未来と今の距離を縮められる産業だなあと感じます。

誰も諦める必要の無い社会、誰もが挑戦し続けられる社会をつくれると思っています。

おじいちゃんになるまで待ってられないので、タイトなスケジュールですが目標はオリンピックまでに農産物を無料にすること、かつ持続可能にすることです。

余計なことを気にする必要なく、食べたいだけたらふく農産物が食べられる様に頑張ります!



※この記事は一問一答への生産者さんの回答をそのまま掲載しています。

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