
私たちの食べものをつくってくれている生産者さんたちは、自然と向き合う中で日々環境の変化を感じ、また、すでに生産活動において様々な影響を受けています。
そんな生産者さんたちの状況を、少しでもみなさんに知ってもらいたい。そして、私たちにできることを一緒に考えていきたい。
これまでこの「カナリアの声シリーズ」では、自然環境の変化に直面する生産者さんたちの声をお手紙の形にしてご紹介してきました。
今回は、有明海の海苔漁師のみなさんから言伝を預かっています。
佐賀県、福岡県、熊本県、長崎県にまたがる有明海産の海苔といえば、国内有数の最高級海苔の一つ。全国シェア6割を占めると言われています。
例年、周辺の河川から栄養を含んだ水が流れ込むことによって、豊かな漁場が育ってきました。
しかし今、様々な理由によって有明海に「未曾有の危機」が起こっていると言われています。
・・・
有明海の海苔の栽培は、秋と冬の2期作制が一般的です。秋海苔は、10月までに準備していた養殖漁場に、網に海苔の胞子を植え付けるようにして種付けを行い、それから11月に収穫される、最も高品質な「一番摘み」。そして、1月以降には、2期目の収穫期として、冷凍保存した海苔網を海に持ち出して育てる「冷凍網初摘み」が行われます。
しかし、今季は、秋の降水量が少なかったことや、海水温の上昇、赤潮の発生によるプランクトンの増殖、さらには冬の暴風などの影響を受けているようです。
この数ヶ月の間、現場で起こってきたこと、私たちの食卓への影響について、5名の海苔漁師さんたちからそれぞれ話を伺いました。


「種付けから11日目。ようやく肉眼視できるようになった。海の栄養がないため例年より成長が遅れ気味。」
ー 古賀さんのtwitterより。(2022年11月5日)


「一昨日の晩から海苔を根こそぎ刈り取り海苔網の撤去を始める。また赤潮が発生し、海苔の色落ちが進行したので、予定より数日早めの撤去。秋芽(一期作目)にこんな色落ち海苔が採れるなんて。来年1月3日から始まる本番の冷凍(二期作目)が心配になる。こんな海況悪い年初めて。」
ー 古賀さんのtwitterより。(2022年12月18日)同じ有明海を生産地としているといっても、地域によって状況は様々です。
この厳しい状況は、冬海苔のシーズンも続いたそうです。


「ずっと風が続いてなかなかはかどらなかった、壊滅した漁場の海苔網回収完了。網を片付ける時は通常海苔を根こそぎ刈り採ってから撤去するけど、刈り採れる状況ではないから海苔が付いたまま回収。すごく重かった。順調であれば、この海苔網からあと数回収穫できたのにな。初摘みだけで生産不能に。」
ー 古賀さんのtwitterより(2023年1月31日)

熊本県熊本市の浦山さん、佐賀県小城市の森永さん、そして福岡県柳川市の田中さんは、今現在も続く厳しい状況について、教えてくださいました。
最後に、5人の海苔生産者の皆さんから、消費者の皆さんに向けたメッセージをいただきました。

日々の微細な自然環境の変化が、自分の生活空間から切り離された生産現場にどのような影響をもたらしているか、なかなか想像しにくいことかもしれません。
生産現場の変化は、私たちの食卓の変化にもつながります。生産者さんの「カナリアの声」が、みなさんの食に対するあり方や暮らしそのものについて、改めて考えるきっかけになれば何よりです。
まだまだ知られていない、生産現場の変化のお話。生産者さんの「カナリアの声」を、ぜひ周りの方にも届けていただけると嬉しいです。
Tweet
前回の記事はこちらから
生産者さんからみなさんへ 〜自然環境の変化と向き合う #カナリアの声〜 vol.12 農家の五十嵐大輔さんより
