生産者さんからみなさんへ 〜自然環境の変化と向き合う #カナリアの声〜 vol.9 酪農を営む宮嶋望さんより


年々深刻化している気候変動。みなさんは、何か環境の変化を感じているでしょうか?

私たちの食べものをつくってくれている生産者さんたちは、自然と向き合う中で日々環境の変化を感じ、また、すでに生産活動において様々な影響を受けています。

そんな生産者さんたちの状況を、少しでもみなさんに知ってもらいたい。そして、私たちにできることを一緒に考えていきたい。

ポケマルでは、自然環境の変化に直面する生産者さんたちの声をお手紙の形にして、連載形式でご紹介していきます。自然からの警告を「炭鉱のカナリア」のように私たちに伝えてくれている生産者さんの声を、まずは知ることから、一緒にはじめませんか?



北海道上川郡新得町で酪農とチーズづくりをしている、共働学舎新得農場の宮嶋望です。


自然環境の変化は、近年肌で感じています。暑くなってきていますし、2016年には新得町に通常とは異なる向きの台風が来て洪水になり、農場近くの橋が3本流されてしまいました。

共働学舎新得農場では、牛舎や食堂などの建物を木造にし、その地下に炭を埋めることで、生活の場のエネルギーを整えています。もともと生き物である木は、生き物に必要なエネルギーを保持してくれるんです。生き物がいる場所のエネルギーを高めると、自然の中にいるのと同じような状況になるので、牛は気分がよくなり、健康にも結びつきます。また、気候の影響を和らげてくれている実感もあります。



今、十勝で行われている農業では、トラクターに人が乗っていません。人間の食料を、人間ではなく機械が作っています。機械は大量生産できるので、食料の価格は下がります。そして、農家の収入も農家が生きられるかどうかギリギリのところまで下がってしまいます。それは、寂しい農業です。「なんかおかしくない?」と思うのです。

人間が手づくりしたものは高くつきます。ですが、心身にハンディを抱える人たちと一緒に働いて生活している僕たちは、手づくりにこだわってきました。障害を持っていても、生きている限りなにかができるからです。本当においしいものをつくって、みんなが望んでくれるなら、少し高くても買ってもらう。そのような生産でないと、僕らは生き抜けません。

「手づくりは機械よりも、なんかおいしくない?」と思うんです。本来人間がどんなものをおいしいと感じて、食べるべきなのかという話をもう少しすべきだと思います。そうでないと、ロボットがつくったものを食べる選択肢しかなくなって、食の世界は貧弱になります。豊かな食を維持していくためには、手づくりの良さがわかる人が必要です。

みなさん、「本当においしいもの」を食べてください。




自然環境の変化を含む、生産現場でのさまざまな変化について、私たち消費者の理解も必要だということを、生産者さんはよくお話しされます。

生産現場との接点が少ない私たちは、それを自分ごととして捉えることがなかなか難しいかもしれません。でも、生産者さんを通して、変化について知ること、理解すること、心を寄せることはできると思います。

生産現場の変化は、やがて私たちの食卓の変化にもつながります。生産者さんの「カナリアの声」が、みなさんの食に対するあり方や暮らしそのものについて、改めて考えるきっかけになれば何よりです。

まだまだ知られていない、生産現場の変化のお話。生産者さんの「カナリアの声」を、ぜひ周りの方にも届けてください。


今回お話をお聞きした生産者さん

Producer 

宮嶋望|農事組合法人共働学舎新得農場|北海道上川郡新得町   


前回・次回の記事はこちらから

生産者さんからみなさんへ 〜自然環境の変化と向き合う #カナリアの声 〜 vol.8 ぶどう農家・育種家の林慎悟さんより


生産者さんからみなさんへ 〜自然環境の変化と向き合う #カナリアの声〜 vol.10 野菜農家の鍋嶋亜由美さんより

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