高山村・有機農業者たちの歩み

高山村で耕す、ゆうきの人

美味しくて
美しい野菜を
笑顔の畑から

渡辺 藍

農園花笑み

Goto AkihiroGoto Akihiro

美味しくて
美しい野菜を
笑顔の畑から

夫の仕事の都合で高山村へ移住。それまで農業を職業として意識したことはなかった。けれど、村の有機農家が育てた作物を味わい、「こんなに美味しいものをつくって、こんなに人を幸せにできる世界があるんだ」と強く心を動かされた。感動の原点となった農家での学びを経て、独立。試行錯誤しながら作物を育て、好奇心と行動力で販路を切り開いてきた。これからも丹精込めた作物を通じて、多くの人に笑顔を届けていく。

高山村で耕す、ゆうきの人

ひと口の感動が人生の転機に

群馬県伊勢崎市で生まれ育ち、地元で福祉の仕事に携わっていた藍さん。当時は農業に関心はなかったけれど、夫の仕事の都合で高山村に移住したことが転機となった。ほどなくして参加した農業体験で、村の農家が持ち寄った野菜の味に衝撃を受ける。なかでも銀河高原ファームの後藤明宏さんが栽培した原木マイタケとマコモダケは、「こんなに美味しくて、美しい食べ物があるの!?」と思うほど印象的だった。
その感動を後藤さんに伝えると、「そんなに気に入ったなら、バイトに来れば」と誘われ、農場に通うように。次第に「自分も後藤さんのように農家として独立したい」と思うようになり、県の支援制度などを活用して、後藤さんのもとで就農に向けた2年間の研修を受けることを決意した。
研修の2年間は覚えることが多く、体力的にも負担が大きかった。「でも、ここを乗り越えられれば、自信を持って独立できると思いました。農場で収穫された新鮮な野菜の味や、後藤さんのあたたかな人柄にも支えられ、辞めたいと思うことは一度もありませんでした」。
こうして2年間の研修を修了。農園花笑みを立ち上げ、農家として本格的に歩み始めた。

試行錯誤と行動力で切り開く

独立後は、高山きゅうり、白なす、ゼブラなす、にんじん、さつまいもなどを有機農法で栽培し、食材宅配サービスなどに出荷するようになった。けれど、最初の2年ほどは石だらけの土壌に苦労し、思うように出荷量を伸ばせなかったという。それでも諦めず、ほかの農家からアドバイスを受けながら土壌改良を重ねた結果、3年目には「いける」と手応えを掴むことができた。
その後は徐々に畑を拡大し、現在ではエディブルフラワーやマイクロリーフなども栽培。群馬県内だけでなく、埼玉、東京、岡山のレストランや食材店などにも出荷している。こうした販路は、藍さんが自ら足を運んで開拓してきた。「私は食いしん坊なので、気になるお店がたくさんあって。食事や買い物に行くときに、エディブルフラワーやマイクロリーフを持参して、お店の方に使ってもらえないか直接お話ししています」。
また、自身が初めて高山村の野菜を味わったときの感動を、より多くの人に感じてほしいとの思いから、一般消費者に向けて定期的に野菜セットの直接販売も行っている。実際に食べた人からは、「甘みが強く、調味料を使わなくても美味しい」「野菜嫌いの子どもが食べてくれた」といった、嬉しい声が届いているという。藍さんは、「やっとここまで来た」と喜びを噛み締めている。

ひとつひとつに愛情を込めて

今後はさらに、エディブルフラワーやマイクロリーフなど、プロユーザー向けの作物づくりと販路開拓に力を入れていきたいと考えている。その際には、量よりも味や美しさといった質にこだわっていきたいという。「これまでは収穫量を重視してきましたが、それだとどうしても手が行き届かないことも。これからは自分の手が届く範囲で、手間暇かけた美味しく、美しい作物をつくって届けたいですね」。
そうして生まれる作物が、農園花笑みの個性となり、高山村の魅力の一部として広がっていけばと願っている。移住者の自分だからこそ伝えられる、高山村の魅力がきっとあるはず。これからもこの畑から、花が咲くように笑顔が広がっていくことを信じて、藍さんの挑戦は続いていく。

その歩みをひとりずつ
じっくりと辿ってみてください。

始まりは一人仲間と重ねて村の「ゆうき」に

銀河高原ファーム

後藤 明宏

ルーツを辿り見つけた価値を地元・高山村から

Kimidori farm&kitchen

平形 清人

自然に寄り添う農と編集のほどよい暮らし

上州高山農園

中澤 浩明

美味しくて美しい野菜を笑顔の畑から

農園花笑み

渡辺 藍

輪と輪が広がる食への思いが導いた土地で

農園わとわ

渡辺 聖光

高山村有機農業者座談会「土と人と、この村と。」

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