ぶどうの名産地!? 大阪・柏原市で畑を守り繋ぐ、ぶどう農家のストーリー

Sponsored By 柏原市市民部産業振興課


大阪・柏原(かしわら)市発・ふるさと大阪
初夏から秋にかけてぶどう色に染まる大阪の柏原市。
山の斜面で育つ柏原のぶどうは、太陽のめぐみをいっぱいに受けて色づく。


歴史ある大阪・柏原ぶどうの物語

 昭和の初め、日本一のぶどうの産地だった場所がある。食い倒れの町、大阪だ。今では商いの町というイメージが強い大阪だが、当時はぶどうの産地だったのだ。そして、今もそのDNAを受け継ぐぶどう農家が数多く存在しているのが柏原市である。大阪府の中でも柏原市は雨量が少なく南風東風の影響を受けにくい気候がぶどうの栽培に適していたことから、古くからぶどう栽培がこの地に根付き、今も繋がっている。現在の大阪・柏原産ぶどうのレベルの高さは、この柏原市のぶどう栽培の長い歴史の中で受け継がれた技術と努力の賜物かもしれない。


 柏原市のぶどうシーズンのスタートを切るのは、赤紫色の小粒の種無しぶどう、デラウエアである。6月初旬から出荷が始まる小粒で甘さの際立つ品種だ。柏原の人はみんな縮めて「デラ」と呼んでいる。全国的には大粒ぶどうが主流だが、庶民派が多い大阪にはこの”デラ”を愛している人が多い。

 大阪でぶどう、と聞いてもなかなか畑のイメージが浮かばないかもしれない。奈良県と県境に位置する柏原市は、市の約3分の2がほぼ山間部であり、ぶどうの産地である特徴的な景色が広がっている。緑の木々の間の、険しい山の斜面に張り付くようにビニールハウスがあちこちに見えてくる。斜面を整地してからビニールハウスを建てているのではなく、自然の地形に寄り添うように建てられているのだ。たいていのハウスが南向きに建てられ、当然日当たりは良好、斜面なので水はけもよく、ぶどう栽培にはもってこいの環境なのだ。だから柏原のぶどうは色づきもよく、すこぶる甘い。

 柏原では約30品種ほどのぶどうが作られている。お盆休みまでは栽培しているぶどうの80%を占めるデラウエアの最盛期で、7月下旬になると、並行して藤稔(ふじみのり)、ピオーネ、シャインマスカットなどの大粒のぶどうの収穫もはじまり、月下旬からはベリーAを中心にぶどうのシーズンは10月頃まで続く。6月中旬から9月中旬くらいまで柏原市のあちこちにぶどうの直売所が立ち並び、夏の風物詩となっている。ご贔屓のぶどう農家の直売所に足繁く通う季節が今年もやってきた。柏原市には約150軒ほどのぶどう農家があるが、その中から代々続くぶどう畑を受け継いだ二人の農家を訪ねた。


「谷口ぶどう農園」谷口昌平さん・由香さん夫妻

 柏原市の中心を流れる大和川の土手に、ぶどう色の看板が目立つひときわ可愛い直売所が見えた。「谷口ぶどう農園」は、農家歴10年の昌平さん、由香さん夫婦と、昌平さんの両親の4人で営んでいる。昌平さんは3代目だ。ぶどう園を継いだきっかけは、大学生の時、企業に就職する予定で色々と就活していた時の両親の言葉だった。「就活してみて、自分には特にこれといってやりたいことがないなぁと感じてた時に、親から『畑を継がないなら、荒らすしかないなぁ』というのを聞いて、これはボクがなんとかせなあかん、って決心しました」ぶどう畑は一度栽培を放棄して荒れてしまうとなかなか元には戻らない。こうして3代目が誕生した。当時からお付き合していた由香さんはどう思ったのだろうか。「就活頑張っているなあと思っていたら、急に農家になるって聞かされたんで。結婚してからも、私は新大阪で別の仕事をしていたんですが、暇なら畑を手伝ってと言われて」と明るく答えてくれた。自身も柏原市で生まれ育ったためか、初めて手伝ったぶどう畑の作業は、楽しくてすんなり受け入れられたそうだ。

 車で谷口さんのぶどう畑を案内してもらった。ぶどう棚に入った瞬間、昌平さんの目つきが変わった。厳しくも温かみのあるキラキラした眼差しで、育ちつつあるぶどうを順番に見ていく。まさにぶどう農家の眼差しだ。ぶどう栽培の中で、一房ずつぶどうの果粒を間引いて行く摘粒(てきりゅう)作業がある。昌平さんはこの作業が一番好きだという。ぶどう1房がどんな形になるか、粒の大きさはどのくらいかなどイメージしながら摘果ハサミを使っていく。「でも、あまり時間はかけてられないんです。1房の摘粒はだいたい30秒以内でやらないと」と昌平さん。それもそのはず、「谷口ぶどう農園」の畑は1町5反(1町=約10,000平方メートル)(1反=約1,000平方メートル)もある。


谷口ぶどう農園

 昌平さんがぶどう農家になってから直売所も本格化した。それまでは出荷が中心で直売所まで手が回らなかったからだ。昌平さんがもたらした変化はそれだけではない。「谷口」という名前とぶどうのデザインをあしらった農園のロゴを作ったり、ぶどうを入れるかわいいデザインパッケージやパンフレットを作るなどのイメージ戦略も、他のぶどう園には見られない特徴だ。この直売所とネットでの注文で大活躍なのが由香さんだ。「直売所でもネットでもせっかくウチのぶどうを選んでくれた1人、1人のお客さんを大事にしたいんで。常連のお客さんなら毎年その人の顔を思い浮かべながら箱詰めしてます」と笑顔で話してくれた。


 昌平さんにぶどう作りへの思いを聞いてみた。「毎年、収穫時期になると毎日畑に出て、一喜一憂するんです。うまくいかなかったことがあれば、来年、もっとこうしようって」「地元のぶどう農家の集まりにも参加して、先輩農家さんにも色々教えてもらったりして、毎年の経験が勉強です」と謙虚だ。師匠でもあるお父さんのことを聞いてみたら「よう働くなぁ(笑)と思います」という答えが返ってきた。昌平さんが収穫のために畑に到着するのは朝の6時、お父さんは朝5時と、1時間も早い。

 デラウエアの季節はお盆頃までだが、そのあとは、次々と大粒のぶどうの季節が始まる。昌平さんが就農してからでも、大粒ぶどうの種類はどんどん増え続けている。シャインマスカットを始め、女性に人気のサニールージュ、粒の大きさがナンバー1の藤稔(ふじみのり)など、約20種類の大粒ぶどうを栽培しいる。育苗中のぶどうもあり、種類はまだまだ増えそうだ。祖父から父へそして昌平さんへと受け継がれた農園はご家族の支えもあってこれからも今までのぶどう農家の枠を超えてどんどん進化していくのだろう。


谷口ぶどう農園の方々

谷口ぶどう農園のぶどう

「まるつね葡萄農園」 生津浩司(なまずこうじ)さん・貴由子(きよこ)さん夫妻

 柏原市の山間部にある「横尾地区」に100年続くぶどう農家「まるつね葡萄農園」がある。4代目の生津浩司さんと奥さんの貴由子さんが中心となってぶどうを栽培している。浩司さんに畑を案内してもらった。軽トラックが通るのがやっとの山道をぐんぐん登っていくとぶどう畑が見えてきた。車内から見るぶどう畑は山の斜面にビニールがペタリと貼りつけているように見えた。

 「足元、気いつけてくださいよ」と、浩司さん。「あっ、頭も気いつけて」。ハウスの中は急勾配の斜面だ。体のバランスを保ってしっかり歩かないと転びそうだ。まるで、登山をしている気分である。10m移動するだけでも息が切れる。しかも頭上にはぶどうが実っているので、気をつけないとぶどうに頭が当たって傷つけてしまう。背の高い浩司さんはかなり腰をかがめなければならないのだが、慣れた様子で器用に歩いていく。頭上の棚には、収穫を待ちかねているかのように、きれいな赤紫のデラウエアが行儀良く並んでいる。貴由子さんが整形と誘引をしているのだそうだ。実は、貴由子さんが栽培に関わることになったのは、4年ほど前からだ。それまでは別の仕事をしていたのだが、人手が足りなくなり、急遽、本格的に手伝うことになった。「大変そうなのは分かってたけれど、こんなに大変だとは・・・」と貴由子さん。おかげで大助かりなのが浩司さんだ。今では貴由子さんにかなり助けられているようで、「畑の日当たりもよくなって、かなり品質もあがった」とべた褒めである。「結婚するまでぶどうをあまり好きだとか思っていなかったんですけど、ここにきてぶどうを食べて、とてもおいしくて大好きになったんです」と貴由子さん。今では貴由子さんなしでのぶどう栽培は考えられないほどらしい。


 「デラウエアの魅力は栽培が難しいところやな」と浩司さんは言う。平成26年に雪害で全国的にビニールハウスが倒壊したことがあった。その時に多くの産地がデラウエアを辞めて大粒のぶどうに切り替えたそうだ。それでも浩司さんは、せっかく受け継いできた技術があるのにもったいないと、デラウエア栽培に力を入れている。小粒なゆえに手間もかかるし、技術はあってもマニュアル通りにいかない。気象状況によって微妙に作業のタイミングを調節しなければ失敗してしまうという、ややこしいぶどうなのだが、それがまた、やりがいでもあり魅力でもあると言うのだ。幸い、デラウエアは人気も上がってきているので浩司さんの努力が報われるようになってきた。浩司さんにぶどう栽培で一番好きな瞬間を聞くと「きれいにみんな収穫し終えたときのぶどう畑の景色。ぜんぶ収穫して、葉っぱの緑色だけになってるのを見るのが気持ちいいよなぁ?」と貴由子さんに聞く。貴由子さんも深くうなずく。一年間苦労したぶどう作りの苦労が報われる瞬間なんだろう、すがすがしい緑一色のぶどう畑に立つご夫婦の幸せそうな姿が目に浮かんだ。


まるつね葡萄農園

 「まるつね葡萄農園」はぶどう狩りもできる。ぶどう狩りができるぶどう畑は、斜面ではなく作業場の裏にあり平地だ。約2反(1反=約1,000㎡)の広さで、ピオーネ、シャインマスカットなど20種類以上のぶどう狩りができる。しかも2時間食べ放題である。普段なかなか食べられない大粒ぶどうが、新鮮なまま食べ放題とあってリピーターも多い。(期間:8月下旬頃~10月15日まで 料金:大人2,000円・小人1,500円・園児1,000円)

 代々受け継いだぶどう畑を減らしたくない。守っていきたい。そのためには、誰もがおいしいとうなづけるぶどうを作り続けたい。4代目の思いは熱い。


まるつね葡萄農園の方々

まるつね葡萄農園のぶどう


大阪の柏原の地にぶどう畑あり。代々継がれてきた畑を守る農家さんの熱い思いと、ひと粒、ひと粒に愛を注いで育て上げた大阪・柏原のぶどうをぜひご賞味ください。

柏原市の生産者さん一覧はこちらの特設ページからチェック!
https://poke-m.com/lp/kashiwara-meshi

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