【コラム】
数年ぶりに書きます。
今日でついに25日連続休漁となりました。写真は今日の日本海になります。
これまでの最長休漁ワースト3
③令和5年11月25日~12月11日 〈16日〉
②令和4年1月10日~1月28日 〈18日〉
①令和6年11月21日~12月16日現在 〈25日継続中〉
全てこの3年以内に起きています。
この時期に海が大時化になるメカニズムは極めて単純、地球温暖化に他なりません。大嵐が続く理由は高温になった海水と冷たい空気が常にぶつかり合うことにより強烈な渦が発生し続けることによります。簡単に言えば、日本海沖で竜巻が常に起こり続け、それが毎日秋田県沖に押し寄せている。そうした状態が今日まで延々と続いているのです。
4,5年ほど前、ここで「地球は壊れかかっているのではない、すでに壊れている」と書きました。「地球温暖化というのは夏暑くなることではなく、四季が無くなり強烈な熱波と寒波が交互に襲う」との書きました。全く同じことが、今現実に起こっています。
先日、ポケットマルシェの高橋博之社長のXにて、東北北部太平洋側の養殖業の窮状が紹介されています。是非ご一読ください。岩手、青森、宮城県ではカキやホタテ、ホヤや海苔がこれまで名産として知られてきたのは皆さんご存じの通りですが、遠くない将来それらは全て無くなります。代わりに三重県では名産の伊勢海老が全くいなくなり、それが稚エビとなって三陸沖に住み着いている。10年前では全く考えもしませんでした。
これがどれだけ異常な事態か、漁師以外で危機感を抱いていている人があまりに少ないのが現状です。
10年前の海→現在
沖縄→フィリピン
三重、下田→沖縄
三陸沖→三重
北海道→三陸沖
完全に変わってしまいました。
有明の海苔の壊滅。広島の牡蠣の不漁。明石のタコの高騰。三重伊勢エビが皆無。下田の磯焼け。三陸養殖の半減。秋田ハタハタの大不漁。青森サケ、ホタテの壊滅的ダメージ。北海道大ズワイガニの記録的豊漁。サンマの不漁。例を挙げればキリがありません。
程なく、日本の伝統漁業は姿を消します。その地に長年根差した漁業文化も間違いなく無くなります。当然後継者もおらず、日本の漁業は衰退するでしょう。
それでも私たちは、この地を離れる訳にはいきません。命ある限りここで漁師を続けると思った限りは諦めることなく、足掻き続けていきたいと思います。
どうか皆様にお願いです。
とにかくこの惨状を正確に知って頂きたい。それだけで構いません。私達漁師はそれぞれの海で生きることでしかできません。だからこそ今、地元の海の現状がどれほど狂っているのかを肌で感じながら、日々これまでに経験したことがない困難に直面しております。それでも、だからこそこれから先を見据えて全く新しい生産物を模索し、それぞれの地域で発展させて行くしかないと模索している最中でもあります。
それなのに…連日ニュースで「今日も寒いですねー。困りましたねー。」「どうして今年はハタハタ来ないんでしょうかねー。困りましたねぇー。どこいっちゃったんでしょう?」と笑顔で談笑するキャスターを観るたび、怒りと暗澹たる気持ちに苛まれます。
全国の漁師を代表して、なんて偉そうに言うつもりもさらさらありません。このポケマル内には私より素晴らしい漁師はごまんといます。ただ、その方々も想いは一緒のはずです。毎日目の前の海と向き合い、足掻き、真摯に立ち向かっているに違いありません。
私たちは次の世代に日本の漁業を継承していかなくてはいけない義務があります。そのためにも、ここで未来の灯を消すわけにはいかない。
そのためにもどうか皆様には、ポケマルが新鮮な海産物が届くアプリという括りではなく、その裏にある私達漁師の思い、というか想いをご理解して頂けたら幸いです。
このポケットマルシェが設立されるときのキャッチフレーズは「生産者に寄り添う唯一無二のアプリ」でした。どうかこれから未曽有の苦難に立ち向かう私達日本中の漁師を応援してくださいますよう心からお願い申し上げます。
もちろん、私も頑張ります!
いつも通りまた明日も、4時に海を眺めに起きていきます。