「やりすぎじゃない?」鍛えられ過ぎた甘〜いトマトを味わえるのはあと1週間!

「食」にこだわる方なら、きっと〝甘〜い〟トマトは食べたことがあるはず。では、〝ビックリするほど甘〜い〟トマトを味わったことってありますか?そんな〝仰天トマト〟が、京都の最北端にある京丹後市に潜んでいました!

その名も、「やりすぎトマト」・・・

聞くところによると、普通のトマトに比べて小ぶりなのに、味がとっても濃厚甘いんだとか・・・。この謎多きトマトを生産しているのが、和田農園の和田泰幸さんです。

和田さんは、このトマトをはじめ自身が手がけるものを「アスリート野菜」と呼んでいます。

今回は、そのアスリート野菜・シリーズの第1弾として出品している「やりすぎトマト」の驚きの魅力に迫ってみました!


甘えはカット。甘みは凝縮。


ー「アスリート×野菜」って、初めて耳にしました・・・

最初は不思議に思う人が多いですよ(笑)。これは、栽培するときに水分を極力控え、あえて野菜にとって厳しい環境で育てることを意味します。甘えを許さない厳しい環境に置くと、野菜たちは「子孫を残さないといけない」と頑張って、栄養を蓄えようとする。そうすることで、野菜本来の味が引き出されるんです。


ーだから、トマトはとても甘くなると?

その通りです。水分が少ない分、実に栄養がぎゅっとつまっていて、味が甘く、濃厚に仕上がります。


ー具体的に、水分はどれくらいの量に減らすんですか?

今の時期なら、通常は1日6リットルほどの量が必要ですが、それを約3リットルと半分ほどに減らしています。


ーなんと半分に?それでもトマトは育つんでしょうか?

水が足りない中でも、トマトはどうにかして生きようとします。例えば、表面から毛を生やして、そこから空気中の水分を吸い取ろうとしたり、水分の蒸発を抑えるために皮を厚く頑丈にしたりするんです。

なので普通のサイズよりも、2回りくらい小さくなります。重さは1玉30gくらいなので、一般的なトマトの約半分です。ミニトマトに近いイメージです。でも、1玉あたりの栄養分の量は、普通のトマトと実はそれほど変わりません。つまり、小さい実に甘みが凝縮されているんです。


ーなるほど〜!

しかも、私の場合は木に成った状態、つまり「ほぼ完熟」の状態になってから収穫するので、その分さらに甘さが増します。


ー食べた人は、やっぱり驚かれるんでしょうか?

都会のスーパーなどで買う、普段食べているものとは全然違うと聞きますね。つい先日も、マレーシアの商社が来園して「いままで食べた中で一番うまい」と最大級の評価をしてくれました。各地のバイヤーがうちに来ると、即契約するケースが多いです。みなさん、私もびっくりするくらいの反応を見せてくれます。


野菜にとって厳しい環境で育てる・・・。例えるなら、マラソン選手が酸素の薄い高地でトレーニングを積む。そんなイメージでしょうか・・・。

ちなみに、「やりすぎトマト」と名付けたのは周りから「やりすぎじゃないか」と指摘されたことから生まれたそうですよ。


5年以上かけて辿り着いた「感動の味」

和田さんのこだわり・哲学を貫く姿勢には頭が下がります・・・。きっと、納得の味に辿り着くまでに数え切れないほど多くの苦労を重ねてきたはずです。


ーそこまでこだわる理由は、どこにあるんでしょうか?

小学生の頃に、甘いフルーツトマトを食べたときの感動が忘れられないからです。昭和50年代の当時、トマトは酸っぱくて食べられないようなものばかりでした。そんな中、親父が水分を控えてつくってくれたトマトを口にしたんです。それが甘くて甘くて・・・。


ー衝撃の味だったんですね。

そうです。あのときの味を再現したい。その思いでここまでやってきました。


ー再現するのは、大変でしたか?

長い道のりでした・・・。理論も学びましたが、地域によって気候や生育条件が異なるので、理論通りにやってもうまくいきません。微妙な水分量の違いで、大きく味が変わってしまいます。途中であきらめようとしたことは、何度もありましたね。


ーどれくらいの年月がかかったんでしょうか?

自分の目と感覚で試行錯誤しながら、5年以上経ってようやく納得の味をコントロールできるようになりました。


ー微妙なさじ加減が味を大きく左右すると?

例えば、水分を極端に減らしてしまうとパチンコ玉くらいに実が小さくなってしまいます。しかも、水の量を変えればすぐに効果が表れるわけではありません。天候条件などを見極め、毎日ちゃんと生育状況を細かくチェックしながら徐々にツボを押さえていきます。


ー〝トマト愛〟ですね(笑)

いろんなトマトを食べてきましたが、「おお!」とビックリするほどおいしいトマトに出会う機会はなかなかありません。私が小学生の時に味わった、あの感動をみなさんに味わってもらいたい。お客さんをあっと驚かせたい。その一心ですね。


トマト嫌いも〝余裕で〟克服

そんなトマトは今、まさにシーズン真っ盛り!しかも、和田さんの「やりすぎトマト」は、子どもの〝トマト嫌い〟払拭にもバッチリだとか。


ー暑い夏にも、トマトはピッタリですね。

一番おいしい時期は、6月中旬〜7月中旬ですね。収穫を開始したばかりは少し味が薄めで、その後どんどんと甘みが増していきます。あとは10月〜12月も第2のおいしいシーズンです。


ーお子さんの〝トマト嫌い〟に悩んでいる親も多いと思いますが・・・

うちのトマトなら、余裕で食べられますよ!ただ、うちのばっかり食べていると、他のトマトは食べられなくなるとお客さんの母親たちからよく言われます(笑)


ーどうやって食べるのがオススメですか?

やっぱり「生」で食べていただくのが一番いいです!卸先のレストランでは、ポトフやスープに使うケースが多いようです。やっぱり他のトマトと比べて、甘みや旨みの出方が全然違うそうです。


「あとは使ってみてのお楽しみ!」と和田さん。
みなさんお好みの料理で、ぜひこの希少な味を堪能してみてください!

甘みと栄養素がぎゅっと詰まった「やりすぎトマト」。残念ですが今年の夏の出品は間もなく終了予定です。
味わうことができるのは、残り1週間ほどです。ぜひみなさんお見逃しなく!

和田さんは、「やりすぎトマト」を使った無添加のトマトジュースなども出品予定です。和田さん曰く「トマトジュースもこれまでいろんな商品を味わってきましたが、間違いなくうちの方がうまいですね。飲んでもらえれば、わかると思います。」とのこと。

さらには、やりすぎトマトに続くアスリート野菜第2弾である小松菜の出品も予定しています!

小松菜も、ある時期からほぼ水をやらずに栽培しており、「トマト同様甘みがあってしっかりとした味」なんだとか。

これからも、和田さんから目が離せません!


■ライタープロフィール

近藤快

化粧品専門誌の記者として8年勤務。東日本大震災後、業界紙・東北復興新聞にプロボノで参加、その後専属に。他に、企業のCSR・CSV、一次産業、地方創生などのテーマで取材〜執筆している。

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