餅つきにかける想い〜オーガニックタウンへの挑戦〜

明後日は、出張餅つきをしてきます。

そもそも何故、こんな餅つきをしているのかって疑問に思う人もいるでしょう。百姓になろうと思って帰秋した年の瀬。うちの婆ちゃんは、近くの農家さんに作ってもらったもち米を買って、自動餅つき機なるもので餅をついていました。それはそれで美味い。でも、まてよ、これを杵と臼で搗いたら何が違うんだろうと思い、翌年、もち米を育てて自分で搗いてみたわけです。その当時のもち米は「たっこもち」八郎潟と田沢湖をまたいで伝説となった八郎太郎と辰子姫への想いを馳せた見事なネーミングのもち米でした。

そしたら、その自分で搗いたもちが、機械のもちと全然違う。なんでこんなに違いがでるのかと自分なりに検証した結果は下記。
・機械餅は、搗くという工程がない、こねてるだけ
・ガスでもち米を蒸している
・かなり加水しないと適度な餅にならない
・機械に頼りすぎて人のぬくもりがが感じられない(手間を省略)
・そもそもお米の栽培に農薬と化学肥料を頼りすぎている

それで、農薬・化学肥料を使わない田んぼで育てたもち米を天日乾燥して、籾殻を燃料とするかまど(写真2)で蒸して、ケヤキの香り漂う臼で杵で搗いたら最高になるだろうと、今の形に結実したのです。いやでもこれはまだ過程であって、結果ではない。

途中、たっこもちからコガネモチへ切り替えました。粘り、香り、味、現在モチ米の最高峰であるコガネモチは秋田では最晩生の類の品種で、コシヒカリよりも出穂が遅い。ぎりぎりのタイミングで刈り取り天日乾燥を施す。調整が完了するのは12月に入ってからです。
それでも、原種に近い特性を有するこの糯米を選ぶのは、無肥料で7俵を結果させることのできる稀有な米だからです。

さてさて、今シーズンは村の木船や(写真参照)、竹内さん家のうさと展でも試験的に搗いてきた出張餅つき業ですが、いよいよ本格的なワークにしていきたいと考えています。

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周辺環境が整えば、籾殻燃料によるぬかくども持参し(できない場合はガス釜)、杵と臼でどこでも搗きます。今回のひのめ商店では、数に限りのある我が家で生産した小豆を使ったぜんざいに仕上げて提供したいと考えております。

ひのめ商店を主催する船木 一人 (Kazuto Funaki)君とこれから先のビジョンについて語りあう機会がありました。彼は男鹿をオーガニックな街にしたいというビジョンを描いており、もうそうじゃないものは男鹿にはいらないという最先鋒。決して排他主義ではなく、周囲を納得させるだけの表現を持ち合わせています。

昨今、男鹿に複合生涯施設を造るという計画が持ち上がったり、移住促進のための動きがあることも彼から聞き、それをどうにか間違った方向にしたくないという強いメッセージをうけとりました。

草の根運動からのひのめ市だけど、船川・男鹿を一変させるだけの活動にしていきたいという意思も受け止めたいと思いました。

オーガニックコンビニ、男鹿ヘラ(オーガニックな、例えば特産である梨などをもちいたババヘラ)とか、アイディアはどんどん湧いてきます。

オーガニックは足元の土から再生させることだと僕は考えています。
そういう文脈からひのめ商店がひのめ農園を運営し、男鹿の人たちが有機的な暮らしの持続を考える。個々の暮らしにビジョンがあって、それを有機的につないでいくことで自立できる社会が生まれるのではなかと思います。地域内だけでの循環(地産地消)ではなく、コミュニティの概念を外に拡張し、取り込むこともできると思います。土を持つ暮らし。土がなければ、家内創業の自営業を受け継ぐことも有機だと思います。土台だけ受け継いで、中身をインフィルする。すべてをスクラップビルドでやり直し、作り替えるよりもずっとローコストに変革可能でしょう。

その雄大なビジョンを個が抱いたとしても、政策を決めるのは市政だ市長だという既成概念を覆していくこともまた有機的なコンセンサスでしょう。その間に立ってバランスを取れるリーダー。そういう存在を社会は求めているのだと思います。

土木建設事業の継続がなければ失業する人々が生まれる。では、それを未来に向けた事業へと転換することはできないのだろうか。トップからの公金システム依存を乗り越えて、新しいOgaが生まれることを心から期待しているし、応援したい。

ばらまき行政から草の根自立への転換期が迫っていることを感じたじかんでした。

はたまた、20年後ビジョンは?と問われうろたえる自分。
それは国民皆農と答えることしか僕はできない。

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(2016.12.09)

Writer

秋田県潟上市

菊地晃生

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