みなさまこんにちは。ポケマル編集部の尾形です。
柑橘好きの筆者は、食べたことのない品種に出会うとウズウズします。それを知ってか、部員仲間から「これ知ってる?」のメッセージと共に、こちらの商品リンクが送られてきました。
※記事公開時には販売終了。来シーズンをお楽しみに。
「香橘(こうきつ)」......食べたことがないどころか、耳にしたこともありません。商品説明にも、「広く世に知られていない柑橘」という表記があります。
知人のみかん農家に尋ねてみても「知らない」の返答があり、かなりレア度の高い品種であることが推測されました。
そんな柑橘がポケマルで手に入るならば、買わない手はありません。実際に購入して、脳内柑橘図鑑に新たな1ページを刻むことにしました。
しかし、この柑橘の謎は私の想像をはるかに超えるほど深いものだったのです……。
謎多き柑橘「香橘」を観察してみた
注文からほどなくして、我が家に届いた「香橘」。初めましての柑橘との対面は、これまでのみかん箱開封の儀にはない、緊張と胸の高鳴りがありました。

封を開けると、18玉の香橘がきれいに並んでいました。想像よりも少し大きめで、1玉の大きさは私の手にすっぽりと収まるくらい。


3個持ちが限界でした
果皮はごつごつとしていて、その姿は柚子を彷彿とさせます。

重さを量ってみると、小さめのもので86g、大きめのもので122gありました。全体的に多かったのは、110g前後のものです。

110gくらいだと、温州みかんの規格では、Mサイズに当てはまります。
包丁で横半分に切ってみると、果肉は濃い黄色をしていました。

種もそこそこ入っているのがわかります。黄色い表皮と白いワタの厚みを合わせると、0.5cmほどです。

「香橘」の味はいかに?食べてみた
香橘は果肉離れがとてもよく、表皮は包丁を使わずに手で剥くこともできました。親指で皮にキズをつけた瞬間、レモンにも似た爽やかな香りが漂います。

一房食べてみると、一番に出てきたのは「甘い!」という感想。見た目も香りも黄金柑※に似ていると思いましたが、香橘の方が甘みが強い気がします。
※黄金柑(おうごんかん)とは:温州みかんと柚子の自然交配で生まれたとされてている、酸味の少ないグレープフルーツのような柑橘
甘さを感じるのは、果汁の多さとも関係があるかもしれません。内皮があることによって、かろうじて形を保っているような果肉です。
内皮を試しに剥いてみたものの、ジュワーっと果汁が溢れてきて、剥ききることができないほどでした。

これ以上剥いたら、テーブルがびしょびしょになります
ジューシーな果肉は、まるで濃いジュースを飲んだかのようで、しばらくはコクが舌の上に残ります。
生産者に聞く。香橘って、何者なの?
観察と実食によって香橘についてわかったのは、以下のようなこと。
香橘はこんな柑橘
- 皮・・・柚子のように黄色くてゴツゴツ
- 香り・・・レモン系の爽やかさ
- 味・・・すっきりとした甘さながらも、果汁が豊富であと引くコクがある
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もっと深掘りしようと資料を探してみるも、なかなか確実な情報が見つかりません。
そこで、生産者の浜岡さんに尋ねてみることにしました。
浜岡佐和子さん

和歌山県東牟婁郡串本町
本州最南端、紀伊大島東端の樫野地区で、主に柑橘類の生産を3代にわたり行っています。皆様に「美味しい」と言って頂けるよう丁寧に育て、皆様の元へお届け出来るようこだわった果実の生産を目指しています。宜しくお願いします。
しかし、程なくして、浜岡さんからはこんなお返事が……。
生産者ですら、よく知らないという不思議な柑橘でした。
その後も浜岡さんは情報収集を続けてくださり、待つこと10日。香橘の誕生について、A4一枚分の資料をお送りいただきました。
そこに書かれていた内容は……
・紀伊大島内の農家さんの手記によると、原産地は現在の中国南支(かつての中国南部の称)。紀伊大島にある植物実験所にて交配され、家庭用として栽培されるようになったらしい。 ・香橘の存在は串本町内でも知る人は少なく、「幻の柑橘」「謎の柑橘」とも呼ばれていたらしい。 ・浜岡さんの栽培経験上、日当たりの良いところで育つと表面がボコボコし、影になりがちなところで育つとなめらかになる。 |
結論:香橘は謎柑橘だが、おいしい
観察したり食べたり、古い文献にあたってみたり、農家さんに地元で調査してもらったり。いろいろ試みましたが、今回、香橘という柑橘について判明したのは、【「香橘」は、生産地でも詳しく知る人が少ない謎の柑橘である】ということ。
しかし、情報の少なさに喜んでいる自分がいるのも事実。そんな柑橘が手元にあることの嬉しさは、大きいものです。
そして、情報がないのであれば、食べて自分で感じるしかありません。さっぱりした中の、あとひく甘さとコクには、魅了される人も多いはず。
限られた地で、限られた農家さんしか作っていないこのローカル柑橘は、見かけたらラッキーかもしれません。その時は、ぜひ一度食べてみてください。
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文・写真=尾形希莉子、編集=中川葵