カボチャの利賀風植え付け術に戦慄の潜入ルポを添えて…

こんにちは。ハロウィンデコの吉田です。
利賀村に潜入すること2年。村の重鎮(Sさん)から「お前のカボチャ、うちの畑に植えていいぞ。ついでに植え付け方を教えてやる。」と声をかけていただきました。

ついに念願成就です。長年に渡ってベールに包まれていた秘術を解き放つときが来ました。猫をかぶってご近所付き合いを積み重ねた甲斐があったというものです。

後年、貴重な資料となるであろう記録をここに残します。

【序章】

ある日の夕刻、北の最果てにある一軒の民家に向かいました。

この家の奥に畑があるということで、逸る気持ちを抑えて一歩足を踏み入れた刹那、信じられない光景が目に飛び込んできました。
それは、これから起こる惨劇を予兆するものでした。
なんと、あろうことか、、
無造作に置かれた血塗れの金属バット…

さらには、鮮血に染まった鍬……

そして、にじり寄る目つきの悪い猫………

畳み掛けてくる恐怖に卒倒しかけましたが、利賀に伝わる秘術に迫りたいと欲する僕のジャーナリスト魂が済んでのところで意識をつなぎとめてくれました。
ここで何が行われたかの真相究明はまたの機会に譲るとします。

 

【カボチャの利賀風植え付け術】

さて、前段の出来事は何も見ていなかったことにして、ハロウィンかぼちゃの苗を植え付けたいと思います。

まず、周りの土を集めてこんもりとしたモニュメントをつくります。例えるなら新橋の中年サラリーマンのメタボなお腹といったところでしょうか。

「今年も頼むよ。かぼちゃを大きく育ててくれよ。」と語り掛けながらイノシシの血で染めた軍手で形を整えます。

お腹が冷えるとおじさんが風邪をひいてしまうのでマルチをかけてあげます。頑張って仕事してもらって日本経済を支えて頂かないといけませんからね。

「何だ。優しさにあふれた心温まるやり方じゃないか。」と思った矢先、

Sさんが鋭利な刃物を突き立てました。

「嘘だろ!?」と呆然としている間に、続けざまに四度。十字を切るような感じで。

我に返り「ちょっと!何てことするんですか!」と止めに入ろうとするも、Sさんは全く意に介さず

瞬く間に切り口を掻っ捌き、

ハラワタを抉り出し始めました。

思いも寄らぬ急転直下の惨劇に目を背けているうちに事は全て済んでしまっていました。肝心なところを抑えられず、ジャーナリストとして自分を恥じています。

 

その後も腰が抜けて動けないでいる僕を尻目に、5人のおじさんのお腹にカボチャの苗が植えられていきました。

収穫の際にはカボチャの実をもぎ取る度にマンドレイクが如く、家に帰りたくないおじさん達のけたたましい叫び声が響き渡るとか渡らないとか…

 

おしまい。

この話は一部フィクションが含まれています。

(2017.6.13)

Writer

富山県南砺市

吉田信一郎

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