
農家と漁師。あるいは生産者。
それは、土や水に触れ、働きかけ、自然から人間の食糧を得る職業。
かつて、今のように豊富な食料はなく、「食べられるものなら何でも食べてみよう」という精神で、狩猟や採集を行っていた時代がありました。
その後、人類は味覚と文化を発達させながら、自分たちの都合に合わせて自然に働きかけ、「美味しい」と感じる作物を育てたり、さらに技術の向上により食料の獲得効率を上げていきました。
かつての人間の仕事といえば、そのほとんどが食料の獲得にあてられていたのです。つまり、私たちの祖先もかなりの確率で、生産者であった可能性が高いと言えます。
時代は流れ、現代では、日本国内で一次産業に従事する人口は、15歳以上就業人口に対して、4.2%(2010年時点)と、かつてとは比べものにならないほど、その割合を減らしています。
それだけ食料獲得の効率が上がったとも言えますし(もちろん輸入もありますが)、人間の「暮らし」というものが、ただ食料を獲得して食べるということだけでなく、余暇の時間の使い方を含め、その広がりを増してきたと言えるでしょう。
ですが、もちろん、それだけライフスタイルに広がりが出たとしても、人間の暮らしにおいて「食」が消滅することはありません。そしてそれを根底で支えるのは、少なくとも今の段階においては、自然から食糧を得る農家であり漁師なのです。
ではその担い手は誰なのか。
それを生業とする人は減少を続け、今あらゆる一次産業の現場が危機に瀕しています。
かつては誰にとっても当たり前であったその職業は、今や魅力を失っているのでしょうかーー。
代々続く家業を継いで生産者になった人、
祖父母の姿を見て生産者になった人、
何にも所縁はなかったけれどどうしてもやりたくて生産者になった人、
一度は家業に背を向けたけれど戻って生産者になった人。
いろんな背景や理由があって、生産者になった人たちがいます。
私たちの「食」をこれからも支え、一次産業の未来を担う人たち。
彼らは何を想い、農家・漁師になったのでしょうか。
きっとそこには私たち消費者にも通ずるルーツがあるはず。
【私はこうして農家・漁師になった】シリーズ、始まります!
(参考)
原田 信男(2008). 食べるって何?—食育の原点 ちくまプリマー新書
総務省統計局(2010). 全国の産業3部門別就業者(第8章 産業) 平成22年国勢調査最終報告書 「日本の人口・世帯」
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