ポケマルから見えてくる👀「資材高騰」のいま −第1回 生産者編−

世界情勢の変化などによる資材高騰により、生産現場にも大きな影響が出ています。農作物の肥料や畜産の飼料、農業機械の燃料など、生産現場のあらゆる資材が高騰しています。この度、ポケマルでは生産者・消費者への資材高騰に関するアンケート調査を行いました。今回は、アンケート結果を見ながら、ポケマルの生産者・消費者を取り巻く資材高騰の現状をお伝えしていきます。
第1回は「生産者の現状」です。
今回、ポケマル登録の生産者さん約7000名のうち、236名の方からアンケートへの回答をいただきました。

■ 調査概要
調査方法:インターネット調査
調査期間:2022年6月16日(木)〜22日(水)
調査対象:2022年6月16日時点で「ポケットマルシェ」へ登録済の生産者
有効回答数:236件(耕種農業:201件、畜産農業:11件、漁業:19件、林業:5件)


Q1.あなたはどの業態に属していますか。N=236名

Q2.資材高騰によって、生産を行う際の資材(重油/農薬/農機具/網/ビニール等)のコストが軒並み上昇していますが、ご自身のトータルの生産コストは2021年と比較してどれほど上昇していますか。N=236名
※高騰の度合いを%で提示しています。

コストの上昇率について、「10%以上、30%未満」が5割程度と最も多かったものの、「30%」と大幅なコスト増となっている生産者も3割を超える結果となりました。

実に生産者の「83.5%」以上が10%以上のコスト上昇となっています。

Q3.昨今の資材高騰に伴い、直販において販売価格を変更する予定がありますか(または、過去1年において販売価格を変更しましたか)。N=232名

資材高騰によるコスト上昇が8割を超える中、価格を上げた(上げる予定)の生産者は6割程度となっています。

Q4.前問で「価格を上げる予定(価格を上げた)」とお答えの生産者の皆様にお尋ねします。実際に何%ほど値上げを予定していますか(値上げをしましたか)。N=138名

値上げ率については、平均値は12.6%、中央値は10.5%、最頻値は10%となりました。Q2のコストの上昇率と比較すると、値上げ率はコスト上昇率と比例していない可能性が高いことが窺えます。

Q5.直販に限らず一次産業全般についてお尋ねします。生産コストの上昇分を一次生産物の販売価格に転嫁しやすいと思いますか。N=236名

「転嫁しづらい」と答えた生産者が8割を超えました。

Q6. Q5で「転嫁しづらい」とお答えされた方に質問します。それはなぜですか。複数ある場合は最もあてはまるものを2つまで選択ください。N=194名

「消費者サイドの理解が得られない」という懸念から、値段を転嫁しづらいと感じている生産者が4割を超えています。

Q7. 今後、生産資材の高騰は消費社会にどのような影響を及ぼすと思いますか。

  • 野田清照さん|白砂ヶ尾地鶏牧場
    全体的な収入が増えていない中、値上げをすると、買うお客様はかなり気合いがいると思います。しかし、飼料のコストの値上げと鶏の売値の幅が広がり続けると、存続さえ危うくなります。
    個人のお客様だけの値上げでは自分達の中で不公平感がありますが、業者(居酒屋)等の店もコロナで客数が減ってダメージがありますので、なかなか値上げを言えない現状があります。
  • 戸島宏裕さん|戸島農園NS
    一次産業の衰退と農業生産者の急激な減少傾向が有るかも知れないと思います。 新規就農も、これまで以上にコスト高となりハードルが上がるので、新規就農者が減少するかと思います。
    それらによって、食料供給事情の悪化が危惧されるのではないでしょうか? また、生産資材メーカーの衰退による事業者の規模縮小や倒産の可能性も有りうるかと思います。
     恐らく一次産業生産食材の高騰を受けて、低所得者層の食糧難が大きな社会問題になるかも知れませんね。 世界経済に対する色々な要素が有り、先行き不透明なので予想は出来ません。
  • 鳥海友紀江さん|TORIUMI FARM 
    自身で価格設定できる直売やECでの販売はいいとしても、市場販売ではコスト増分を反映できません。なので零細事業者は生産量を縮小するか、もしくは廃業もあり得るでしょう(年金がある方は借金してまで続けません)。
    今後は例年通りの出荷物は見込めず、価格が不安定になると予想します。その状況を見つつ、ポケマルでも価格を設定したいとおもいます。

※フリーワードで回答いただいた生産者さんのなかから、数名を抜粋させていただきました。

ほぼ100%の生産者が資材高騰の影響を受け、コストが上昇している現状がアンケートの数字からも浮き彫りとなりました。
また、度重なる資材高騰の要因となっている世界情勢など、先行きが見えない中で値上げのタイミングや値上げ幅について生産者が悩んでいる状況も見えてきました。
対して、消費者は資材高騰の状況に対しどのように感じているのでしょうか?


>第2回 消費者編をぜひご覧ください…!

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