つぶつぶ溢れるフィンガーライムとは何か。買って観察して愛で尽くしてみた

滅多にお目にかかることのない”へんなくだもの”がやってきました! その名もフィンガーライム」。オーストラリアやアメリカでは「フルーツキャビア」や「キャビアライム」の愛称でも呼ばれているそうなのですが……。

一体どんな姿形をしているのか、どんな味なのか、どうやって食べればいいのか、わからないことだらけのフィンガーライムの謎を解いていきます。

 

目次

 
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これは芋虫?未確認物体がやってきた! 

とある日、ポケマルオフィスに顔を出すと、ちょうどYanagi Farmさんの柑橘詰め合わせセットが届いていました。


その中に、芋虫というべきか未確認生物というべきか……とにかく怪しい物体が混入しているのに気付きました。


えええ、ちょっと何ですかコレ。柑橘らしからぬ物体が柑橘セットの中に紛れ込んでいるんですけど

ふふふ、これもれっきとした柑橘の一種。フィンガーライムという名前の珍フルーツなんです!

これが!? 柑橘!! どこが!?

ポケマル豆知識:「フィンガー・ライム」とは?

フィンガー・ライムはオーストラリア原産の柑橘類で、 長さ4~8cmの円筒形、重さは10~20g、ライムのような酸味がある。 粒状の果肉とその食感から「キャビア・ライム」とも呼ばれている。果肉の色がグリーン・黄・オレンジ・赤・黒・茶など、 カラーバリエーションが豊富なことも、注目を集めた理由なのだとか。

参考:東京税関


ネットで調べれば「いま最もアツイ!」や「業界注目の!」の文字が出るわ出るわ……。でも一般人の私はフィンガーライムの「フ」の字も知りません。

いやそんなん言っても何がキャビアどこが柑橘なんすか


へんなくだものを徹底観察!

というわけで聴覚を除く四感をフル活用してフィンガーライムを観察することにしました。

①触覚

触り心地はとにかくゴツゴツ。「第二〜第三形態のゴジラ*ってこんな触り心地なんだろうな……」と思いを馳せてしまいます。指で押しても凹むことはなくかなり硬いということも判明しました。

*2016年夏に公開された『シン・ゴジラ』内に登場するゴジラの形態の一種。劇中では第二形態が東京都の蒲田、第三形態が品川で活躍するため、ネット上ではそれぞれ「蒲田くん」「品川くん」の愛称で親しまれている。

②視覚

表皮の色はは深緑や黄緑、赤色がグラデーションのように混じり合っています。表皮の凹凸はゴツゴツとしており爬虫類館の生き物を彷彿させるようです。それでは包丁で切ってみます。

まずは大胆に真っ二つに!


あれこれって……オクラ?


この見た目にどこか既視感があると思えばオクラの断面じゃないですか。


いやでも放射状の部屋に分かれているところが柑橘っぽいよ。見慣れているいつものみかんを縦にうにょーんって伸ばしたみたい


ここで気になるのが中の果肉。何やらつぶつぶの透明なビーズが詰まっているようです。


試しに押し出してみると……

ぷつぷつぷつ!!


中からキラキラとした果肉が飛び出してきました。かなりの力で押し出しましたが果肉は一切潰れず。粒の硬さはかなりしっかりとしていることがわかります。

見てください、このキラキラ繊細な果肉を。まさに見た目は男前、中身は乙女なフルーツのようです。

果肉の色は黄色からほんのりとしたピンク色。外見からは想像できない可愛らしさです


ためしに縦にも切ってみます。

どんな感じになるのだろう、ワクワクしながらナイフを入れる

パカッと開いたフィンガーライム縦断面


房ごとに果肉がぎっしり詰まっていました。房の中から丁寧に取り出してあげます。

こちらの身は黄色い果肉が中心でした


ひと果実ごとにこれだけの中身。指のサイズと比較すると果肉の細かさがわかります。


③嗅覚

鼻を近づけるととても爽やかな香りが。けれどこれ、柑橘ではなくてもっとしっくりくる香りがあったはず……。

そうだ山椒だ! 確かに山椒もミカン科だものね


④味覚

さてお楽しみのテイスティングタイムです。それでは一口……

「ぷつん」って音が聞こえそうな弾力感のあとに広がる——柑橘系の酸味とやはり変わらぬ山椒のような清涼感! 確かに今まで食べたことがないタイプの果物ねアナタ。


◎総括

見たり嗅いだり触ったりした結果、わかったような気もするし、より謎が深まったような気も。さらにどこかで見たことある気がするんだよね…と頭を捻っていたところ、

これってなんだか子供の頃に持ってた香り玉に似てない?


香り玉——それは小学生女児だったならば一度は入手したことのあるであろうアイテムのひとつ。キラキラとカラフルな粒に色々な香りが付いており、文房具屋などで買うことのできる当時の女の子の憧れでした。


キラキラとかわいらしい見た目と、いい香りのする粒、確かに香り玉にそっくりかも。ストンと腑に落ちた!


このことを踏まえて、フィンガーライムはこのような果物だということが判明しました。

  • 外見は第二〜第三形態のゴジラ
  • 果実断面は確かに柑橘っぽい
  • 中身は香り玉
  • 味はライム+山椒


う〜ん、さすが珍フルーツ! 発見と驚きの宝庫です。


フィンガーライムの食べ方を考える

フィンガーライムの風味と美しさを活かすには、トッピングとして添えるのが1番! ということでポケマルコミュニティなどで情報を収集し、フィンガーライムが映える食べ方を考えました。

取り出した果肉を一粒ひとつぶ丁寧にすくい上げる


・ドリンクのトッピングとして

柳坪さんのコミュニティに寄せられたごちそうさま投稿にあったこちらの食べ方。

本日到着したので、さっそくどどんと2分の1本分を炭酸水に入れていただきました。

まず香りで楽しみ、炭酸水の中で上下にふわふわと動く姿で楽しみ、そして口にいれた食感&さらに広がる香りで楽しませてもらいました!

(2018.12.10 きょうさん)


炭酸の泡とともに果肉がふわふわと舞いとても可愛らしいです。これはぜひやってみたい! ということで用意したのはスパークリングワインとフルートグラス。


フィンガーライムの果肉を先にフルートグラスに入れておき、


スパークリングワインを静かに注いでいきます。


できた!……と思ったのですが、写真で目立つのは果肉より種という結果に。

浮いているのは種。果肉はシャンパンと同じ色であまり目立たなくなってしましましました


面倒臭がらず種は取り除くべきだったかな、と試しに飲んでみるとこれがまたイケる口でして! というのも種のサイズも小さいため口の中であまり邪魔にならない上に、噛みしめるとプチプチとした食感がとても楽しいのです。


ピンクグレープフルーツジュースの炭酸割りにもトッピングしてみます。


ここでもまたひとつ発見が!

ソルティドッグのお塩のように、コップのフチに果肉をつけると可愛いしとっても美味しいかも!


コップのフチにきらめく果肉はフィンガーライムだからこそなし得るもの。甘いドリンクも柑橘らしい清涼感で味を締めてくれます。さらにぷちっとした食感も面白い!


ということで付け合わせのムニエルとクラッカーにもトッピングしました。

左:未利用魚のムニエルと生ハムチーズのクラッカー



普段お肉のソテーや焼き魚にレモンを絞るところへフィンガーライムをちょこんと乗せる。それだけで特別感あふれるフィンガーライムは、ホームパーティーや特別なシーンでのお料理に一役買ってくれそうです。


栽培は難しい!農家さんの苦悩と努力の賜物だった

これだけ面白いフィンガーライム、じゃあなんで“珍”なの? 今回いただいたフィンガーライムの生産者、栁坪さんに聞いてみました。

Producer

栁坪美紀(Yanagi Farm)|長野県下伊那郡喬木村

37歳の時に主人と結婚してから、農業を手伝ってきました。これからYanagi Farmを通じて、全国の多くのお客様に、フィンガーライムと言う果物を知って頂ければと思っております。


そもそもなぜ育てようと思ったのですか?

4年ほど、苗木屋さんのカタログにフィンガーライムが載っており「面白そうな果物だな」と思い、試験的に6本購入したのがきっかけです。

日本で苗木が買えるのですね。ということは私でも育てられますか?

購入はできるのですが、栽培するのはすごく難しいんですよ。というのも日本での栽培方法がまだ確立されておらず。購入した当時は水やりの加減が分からず、高級な苗なのにも関わらず初年度に何本か枯らしてしまい。

なんてこったい、難しいし高いとは……


フィンガーライムの苗がどれだけ高級なのか気になった筆者は、インターネットで一般的な柑橘苗木の値段をサーチしてみました。するとおおよその相場はこのように。

  • フィンガーライム(2年生接ぎ木)…5,000円〜
  • 温州みかん(1年生苗木)…1,000円〜


しかも、フィンガーライムと言ってもいくつかの品種があり、珍しい品種になれば苗木1本10,000円になることも。それがあっけなく枯れてしまうのはなんともつらいもの。心中お察しします。

水やりのコツを掴んで2年目にやっと少量収穫でき、3年目に本格的な収穫を迎えることができたそうです。


手探りから無事収穫にこぎつけたんですね!

ですが、実が収穫できるようになっても苦悩の連続で……

なん……ですと!?

収穫の適期を見極めるのが難しく、早過ぎれば美味しくない、かといって木に実らせたまま完熟してしまうと自然に落果してしまったり、落果する前に先端が腐ってきてしまったり。

う〜ん、試練の連続ですね

収穫後も日持ちしずらいため、収穫から販売まで時間があるときは冷凍保存するなどこれからも色々考えなくては。まだまだ試行錯誤の日々が続いています


せっかくの苗木を枯らせてしまう悲しみ、やっと実をつけたと思ったら落果したり腐ってしまったり。想像するだけで胸がぎゅっと掴まれるようです。

キラキラとした果肉は生産者さんの努力の塊ということですね。まさに“噛み締めながら”いただきました。

栁坪さん、ごちそうさまでした!


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Writer

大城実結/MIYU Oshiro

フリーランスライター・編集者。自転車や地域文化、一次産業、芸術が専門。紙雑誌やWeb媒体問わず執筆中。ポケマルでは農業初心者を生かし、わかりやすく愉快な記事の執筆を目指す。イラストや漫画も発表中。

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