土屋直史 | つちや農園
2018.12.19\\\京都で「神代穂」を観てきたよ///
先日、稲の事を調べていたら、たまたま見つけた論文に「神代穂」なる品種が紹介されていた。
曰く、とある神社に古来から伝えられている「特殊稲」の品種で、背丈が2mを超える赤い色素を帯びていない長粒インディカ種の稲である。と。
おお、ユニワの農を目指す俺こと土屋直史としては、これは是非とも、この目で拝みたい。
早速アポをとり、妻と2人で、京都は梅宮大社に向かった。
梅宮大社につき、時間には早かったのでこちらでお待ちください。と案内された待合室で、われわれを迎えてくれたのは、長さ1.8mはありそうな稲のお飾りだった!!
ここここここれが!あの「神代穂」か!?
時が経つのを忘れ、興奮冷めやらぬ2人が待つ待合室に、小柄で優しそうな男性が入ってきた。
なにを隠そう彼こそが梅宮大社宮司の橋本氏である。
橋本宮司は、我々の為にかわからないが、改めて「神代穂」について文献等を調べてくれており、優しく丁寧な口調で説明してくださった。
梅宮大社は歴史上の動乱に巻き込まれることが多く、資料や文献がほとんど散逸してしまったそうで、そのなかでも残っている文献や伝承、由来、縁起を稲と神社の両方に絡めて詳しく聞かせてくださった。
その話の中で衝撃の事実が発覚した。
この品種が論文に書かれていたインディカではなく、熱帯ジャポニカであるというのだ!!
なんたる事だ!
この品種は本当に「神代穂」かもしれないではないか!
なぜなら、温帯ジャポニカやインディカ以前、初期の渡来は熱帯ジャポニカ種であると言われているからだ。となると、初期に渡来した稲の形質を保ってきているかもしれない。
しかも、倒伏した際はすぐに節から根っこが生えてくるとの事!
橋本宮司は「これは船に乗り穂抜き収穫した品種じゃないか?」ともおっしゃっていた。
橋本宮司によると、やはり数多くの動乱の中で、もともと伝えられていた品種はとだえ、伊勢神宮から、もともとの品種に近い品種を譲り受けたのではないかと考えられる。とお話されていた。文献にはもともとの品種も伊勢神宮からの系統だと書いてあったそうだ。
しかし、それでも、渡来初期の品種だったら面白いと夢をみてしまう。
同じく、農法についてもお聞きしたが、太古から伝えられる農法もあったであろうが、動乱の中で途絶えてしまったのであろう。との事だった。
神職を継ぐ前は音楽史学者であった橋本宮司は、さすが歴史学者を思わせる語り口と切り口で、大変わかりやすく、面白かった。橋本宮司!ありがとうございました!
す
世の中には、まだまだ知らない米や稲がある。
ユニワの道はまだまだ遠く果てしない。
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