長野りんごとアメリカがマッチング🍎ジェニーさんのアップルバター&ソースを買ってみた

みなさまこんにちは。編集部員の尾形です。

採れたてりんごの旬はとうに過ぎ去り、来シーズンまであと約2ヶ月ほど。シーズンオフのこの時期に、りんごのおいしさを味わえる貴重な商品を見つけました。

長野県の池上ジェニーさんの「アップルソース」と「アップルバター」です。

日本ではあまり馴染みがありませんが、アメリカではポピュラーな食べ物なのだとか。いったいどのようなものなのか、実際に買って試してみることにしました。

目次

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アップルソース、アップルバターって何だ?

購入したのは、アップルソース2個とアップルバター1個のセットです。

アップルソースはプラカップ入りで、濃い黄色をしています。原材料はりんごだけというシンプルさ。

封を開けると、ほわっとりんごの香りが漂ってきました。

「ソース」という名前ではありますが、トロトロではなく、ゆるめのジャムのようにドロドロです。

基本はスプーンでそのまま食べるすりつぶしリンゴです。ヨーロッパやアメリカでは子供も大人も、皆が食べる定番のおやつです

アップルソースの商品情報より)

商品説明にはこのような記載があったので、まずはそのまま食べてみることにしました。

甘さ控えめの煮りんごのようで、りんごの味をぎゅっと凝縮したような濃さがありました。

水っぽさは全くなく、すりつぶされた部分はザラザラとした食感。その中に、程よく残された果肉のシャキシャキ食感もありました。

1カップでそこそこ満足感があり、小腹を満たすのにぴったりでした。

アップルバターは焦茶色で、手のひらにすっぽりとはまる、かわいいサイズ。

こちらには、りんごの他にシナモンが入っているようです。

蓋を開けるとまずシナモンの香り、その後にりんごの優しい香りを感じました。

「バター」と言っても乳製品は一切使わず、じっくり丁寧に煮詰めることでクリーミーさとコクがあり、その外観からバターと表現されます

アップルバターの商品情報より)

事前に商品情報の予習はしていたものの、やはり「バター」という名前のイメージが先行し、固い状態を想像していた筆者。スプーンでひとすくいしてみると、柔らかなクリーム状に驚きました。プリンのようになめらかです。

口に入れるとすーっと溶けていき、アップルソースにはなかったりんごの酸味を感じました。そして、最後にほんのりとシナモンが香り、上品な余韻に浸れます。

日本風に名付けるなら、「シナモン風味のりんごクリーム」でしょうか。

日本で生まれ育った私にとって、「アップルソース」は、ソースだけれどもソースではない。「アップルバター」は、バターだけれどもバターではない、不思議な食べ物でした。

生産者に聞く、加工品作りのこだわりと長野りんごの魅力

これらを作っているのは、池上ジェニーさんです。商品についてより深く知るべく、池上さんにお話をうかがいました。

池上ジェニーさん|長野県飯島町

1981年の春、アメリカから長野県へ嫁ぎにやって来ました。長野りんごのおいしさに感動し、現在は自分で栽培したりんごで加工品を作っています

商品づくりのこだわり

ソースとバター、それぞれの作り方を教えてください

ソースは皮を剥いて果肉を切り、りんごの塊を残しつつ、きれいな黄色になるまで煮ていきます。バターは皮ごと6時間ほど、キャラメル色になるまで手鍋で煮詰めます

それぞれ、どれくらいのりんごを使うのでしょうか

ソースは1カップ(73g)につき中くらいのりんご1個分、バターはひと瓶(155g)につき1kgのりんごを使います

ソースの方が、りんごがぎゅっと濃縮されているのですね。加工する上でのこだわりはありますか

ほとんどを手作業で、水や砂糖、香料などを使わずに作っています。りんごの自然な甘味・酸味・風味を生かすためです

池上さんは、昔からよく食べていたのですか

子供の頃はよく食べていましたが、日本に来てこれらが存在しないことに気づきました。とてもおいしい長野りんごでつくったら最高のものができると思い、作り始めたんです

日本で知ったりんごのおいしさを広めたい

りんごはもともとお好きだったのですか

アメリカにいた頃は、りんごをおいしいと思ったことがありませんでした。しかし、初めて長野に来たときにりんごをひとかじりして、りんごに対する「おいしい」の定義が変わりました

長野りんごに、どのような魅力を感じたのでしょうか

甘くて、酸味もあって、ジューシーで、パリッとしている……そんな風味が一気に口の中に広がったんです。それからは長野りんごの虜になり、今は自分でも栽培をしています

栽培までしていらっしゃるのですね!

後継者がいないことを理由に、遥か昔に植えられて代々育てられてきた木が、切られていきます。それを見て「もったいない」と思い、2015年から知り合いの畑を引き継ぐことにしました

商品パッケージには、100歳近いりんごの木を描いたのだとか……?

私の農園の中で一番歳をとっているので、「祖父の木」と呼んでいます。できるだけ長く育てたいと思っています

「祖父の木」……池上さんの、りんごに対する親しみと尊敬を感じます

池上さん直伝、おすすめのアレンジ方法

そのままでも十分おいしいのですが、池上さんに本場アメリカでの食べ方を教えていただき、尾形が実践してみました。

アップルソースの食べ方

① ヨーグルトやバニラアイスに

ヨーグルトと混ぜたり、バニラアイスにかけるのもおいしいです

無糖ヨーグルトに入れて食べると、ヨーグルトの酸味でりんごの甘さが引き立ちました。ごろごろと果肉が入った、贅沢なデザートになりました。

バニラアイスの甘さにも、りんごの味は負けることなくしっかりと感じられました。


②凍らせて食べる

凍らせて食べたり、それを氷がわりに使ったり、スムージーにして飲んだりもします

凍らせてみると、スプーンが入らないくらいガチガチに固まりました。ジャキジャキ食感でひんやりとして、暑い季節に重宝しそうだと思いました。


③ローストポークに添える

アメリカ、スウェーデン、デンマークでは、ローストポークチョップやポテトケーキ※に添えて出されることもあります

※池上さんによると、「ポテトケーキ」とは、千切りもしくは潰したじゃがいもを卵・片栗粉と混ぜ合わせ、小さなパンケーキ状に成型して揚げたもの。塩味のカリカリ食感と、アップルソースの甘くて滑らかな舌触りがとてもよく合うのだそう。

ローストポークに添えました

豚肉とりんごの相性は抜群でした。豚肉単体で食べるよりも、りんごが合わさることで、マイルドな味わいになりました。

アップルソースは、5ヶ月ほど日持ちもします。おやつに、デザートに、調味料にと、あらゆる場面でお供にしたい一品です。

アップルバターの食べ方

①トーストに塗る

温かいバタートーストにアップルバターを塗ると、アップルパイのようになります

これは想像以上に、アップルパイそのものの味でした。

8枚切りの薄めの食パンにすると、サクサク感が出てよりパイに近くなる気がしました。アップルバターはもったいぶらず、たっぷり塗るのがベストだと思いました。


②サンドイッチにする

ピーナッツバターやクリームチーズなどとサンドイッチにするのもniceです!

クリームチーズと合わせてみました。乳製品との相性も抜群で、甘くなくさっぱりとした味なので、何個でも食べられそうなサンドイッチになりました。


③ベーコンソテーに添える

ベーコンソテーの上に、アップルバターをちょこんとのせてもおいしいですよ

ベーコンの脂っこさが、りんごの酸味でさっぱりとしました。パンと合わせて食べたくなる味で、ベーコンとアップルバターのサンドイッチなどもいいかもしれません。

これからの商品づくりに向けて

池上さんのりんご栽培、そして加工品作りには、3つの軸があるそうです。

  • Simple・・・誰でもできるようなシンプルな加工方法で
  • Natural・・・できるだけ農薬や肥料に頼らない栽培をし、加工の際はりんご以外の材料をなるべく使わずに
  • Good・・・シンプルとナチュラルを組み合わせた先にある、健康にも精神にも環境にも良い世界を目指す

これからもできるだけ自然に近い農法でりんごを育て、加工品のレパートリーも増やしていきたいです!

アメリカから長野にやってきて、りんごに心を奪われたひとりの女性。長野りんごとアメリカの食文化を融合させた「アップルソース」と「アップルバター」は、池上さんだからこそ作り出せたものだと感じました。

栽培から加工までを手がけ、祖国の食文化を広めようと奮闘する姿に、食べて応援したい気持ちが湧きがってきました。池上さんの愛情がたっぷりと込められたこれらのりんご加工品を、ぜひ手に取ってみてください。

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文・写真=尾形希莉子、編集=中川葵

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