畑に向かう途中、まわりを見渡すともうすっかり稲刈りの時期が始まっており、あっという間にあちらこちらの田んぼでせわしなく稲刈りが進められています。 当然うちも今年から始めたわずか２枚の田んぼを稲刈りといきたいところですが、じいちゃんと共同で持ってた稲を刈るコンバインが壊れてしまい、まずは修理に出して返ってきてからやろうとなりました。 しかしコシヒカリはゆっくりでいいのですが、もち米は先にやっときたいとじいちゃんと話し合い、近所の人に頼んでうちの分もモチ米だけ刈ってもらいました。 今まで幼少期から私の見ていた田んぼは、じいちゃんがいて、ばあちゃんがいて成り立っていました。 それがばあちゃんが急に他界してじいちゃん一人になり、もうじいちゃんも足を引きずって歩くようになって、米袋も持ち上げることが出来ないと言うようになった。 私が小学生の頃は、ばあちゃんは３０キロの米袋をひょいと担いでしまう力持ちで、じいちゃんは犬小屋でも鳥小屋でも自分で造ってしまう器用さと、無口なんだけど暗くなるまで農作業を辞めない真面目な人だった。 私はそんな二人の姿をいつも見ていて、夕方の日が沈む頃になるとじいちゃんとばあちゃんが二人で軽トラックに乗って畑から帰ってくる姿も見るのが好きだった。 それがもう見れなくなってから、寂しいと思うようになった。 そして昨日と今日、私はじいちゃんに刈り終わったモチ米をモミスリ機にかけるやり方を教わりました。 農業が好きな私ですが、新しいことを覚えた喜びより、伝えることで最後に向かうじいちゃんの姿の方が目に焼き付きました。 これからはじいちゃんとばあちゃんの想いを受け継いで、私が大事に田んぼを護って行くんだと思えましたが、正直、今は寂しさの方が勝っています。 それでも【大野村農園の米】が美味いと言ってもらえると、私よりあの頃の二人が笑顔になってくれそうで嬉しい。 今年は下手くそながら田んぼをなんとかやり遂げた私のモチ米と、じいちゃんのモチ米とを一緒に袋に詰めました。 この一袋一袋に、私たちの想い、生きてきた時間が詰まっています。 顔も想いも知らない人のもとに出荷するより、食べてくれる人にこの想いごと届けたい。 これが今年の大野村農園のお米です。