田畑から教育を

 

教育ってやっぱり昔から畑でしていたんだなと思った。

四歳の息子は今日、僕ら大人が植えた数百本のナスに一人で水やりをやりきった。

趣味ではなく、プロとしてやるなら水やりは難しい。

やり過ぎると水の勢いで地面がえぐれてしまう。

少なすぎると根本まで水がいかず表面だけ濡れた状態になり、すぐ乾いてしまう。

うちのばあちゃんは昔から『水やりができてようやく一人前だ』という。

農家になって年月が経てばたつほどその意味がわかるようになった。

今日は息子が水やりをやりたいと言ったから、僕は息子の後ろをついていきながら息子の水やりを見ていた。

そしたら息子は驚くほど上手かった。

どうやらずっと僕がやっていたのを見ていたらしい。

ほんの少しの助言程度で息子は一人で水やりをやりきり、お前は凄いと誉めるとジャンプしながら喜び母親に出来たことを走って伝えに行っていた。

子供たちが農作業を手伝う。

こんな光景が昔はどこの家庭でも見れたんだろう。

僕は人の人間性は幼少期に決まってしまうと思っている。

子供が小さい頃に、いかに自然に関わらせられるか。

どれくらい海、山、田畑を身近に置いてやれるかはとても大事だと思っている。

でも、小さい子どもを持つお父さんお母さんが田畑を耕している光景も珍しくなってしまった。

だけどうちでは出来ないと諦めずに、子どもたちにそんな体験をさせてあげたいと思ったら、農家さんの家に連れてきてあげてほしい。

自分たちの家庭でやれた時代が終わったのなら、子供たちを受け入れてくれる農家さんともっと繋がればいいだけなんだから。

いつの時代になっても、人間性を育てる根本は変わらない。

子供たちは田畑で泥にまみれながら、確実に人として成長していっている。

時代が変わったと思い子供たちを教育の場である田畑から遠ざけてるのは、僕ら大人の方なんじゃないだろうか。

少しずつ少しずつ、またこんな時代も変えていきたい。

 (2018.4.23)

Writer

福島県相馬市

菊地将兵

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